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我が家の桃太郎は『火曜サスペンス劇場』。~息子に嘘の昔話を聞かせ続けたパパの末路~

    我が家には、息子がもっと小さかった頃から、寝かしつけの際によく聞かせていたオリジナルの昔話がある。

    元々かなりの「根明(ネアカ)」な私のせいで、普通に桃太郎を読んでも面白くない。そこで、始まりは普通の桃太郎なのだが、途中からじわじわと不穏な空気が漂う『火曜サスペンス劇場』のようなアレンジを加えて話していた。

    これが、のちに保育園で大騒動を巻き起こすとも知らずに――。

    1. 我が家の夜の定番「火サス版・桃太郎」

    物語の導入は、誰もが知る普通の桃太郎だ。おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行く。桃から生まれた桃太郎はスクスク育ち、いざ鬼ヶ島へ。

    異変が起きるのは、最初の仲間であるイヌが登場するシーンからだ。

    イヌが「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたきびだんご、一つわたしにくださいな♪」とご機嫌に歌いながらやってくる。ここまでは完璧に昔話通り。

    「いいよ、あげるよ」と桃太郎がきびだんごを差し出し、イヌがそれを嬉しそうにパクッと食べた、その瞬間。

    \チャンチャンチャーン、チャンチャンチャーン♪/

    お決まりのあのBGM(口頭SE)とともに、イヌは「うっ……ぐっ……!!」と突然苦しみ出す。あろうことか、きびだんごを喉に詰まらせてしまったのだ。 そして、そのままバタンと倒れて死んでしまう。

    焦った桃太郎は、とりあえず証拠(?)を隠滅するために、その場にせっせと穴を掘って、イヌを埋めてしまう。完全にサスペンスの動きだ。

    2. イヌ、サル、キジの全員が迎える「同じ結末」

    そして桃太郎は、何事もなかったかのように再び歩き出す。

    すると次はサルがやってきて、「桃太郎さん、きびだんごください!」と同じように歌う。桃太郎は学習能力がないのでまた「いいよ」ときびだんごを渡すのだが、食べた瞬間にまたしても、

    \チャンチャンチャーン、チャンチャンチャーン♪/

    やっぱり「うっ……ぐっ……!!」ときびだんごを喉に詰まらせて死んでしまう。そして桃太郎は、また証拠を隠滅するために静かに穴を掘り、サルを埋める。

    最後に出てくるキジも、全く同じきびだんごのトラブルで死んでしまい、同じように埋められる。もちろんBGM付きで。

    「……というわけで、みんな喉に詰まらせて誰もいなくなっちゃったから、桃太郎は一人で鬼ヶ島へ行きました。おしまい」

    これが我が家の桃太郎だった。 息子は私のベッドサイドでのこの熱演が大好きで、毎回「パパ、今日は誰が埋まるの!?」と目を輝かせて大喜びしていた。

    ちなみに、浦島太郎も竜宮城でもらった玉手箱を開けた瞬間に大爆発して終わるし、金太郎も熊と相撲をとって負けて埋められる。我が家の昔話の登場人物は、全員が何かしらの不慮の事故に巻き込まれて土に還る仕様になっていた。

    3. 保育園で大ピンチ:息子が放ったまさかの一言

    そんな英才教育(?)を数年間にわたって施してきたある日、ついにその報いを受ける日がやってきた。

    息子が保育園から帰ってくるなり、憤慨した様子で私にこう言ってきたのだ。

    「パパ!保育園の先生もお友達も、みんな嘘の桃太郎お話してる!イヌもサルもキジも、喉に詰まってないって言うんだよ!本当はみんな埋められたのにねぇ?」

    息子の中では、私が毎晩語り聞かせていた「サスペンス版(きびだんごトラブル仕様)」こそが世界標準の本物で、絵本に載っている綺麗な桃太郎の方が「偽物」だと完全に信じ切っていたのだ。

    「違うんだ息子よ、みんなが言ってる方が本物なんだ……!」

    そこから「パパが今まで話していたのは、ぜんぶ嘘(冗談)の昔話だったんだよ」と説明し、息子の認知を修正するのが本当に大変だった。 先生やお友達に変なサイコホラーを吹き込まなくて良かったと胸を撫で下ろすと同時に、息子のあまりの純粋さと、自分の意見を「みんなの方が間違ってる!」と堂々と言える強さに、可笑しさが込み上げて仕方がなかった。

    4. 【結び】我が家だけの、少し歪で愛おしい時間

    今思えば、妻の病気の発作で家の中がどんよりと重苦しい空気になることも多かった我が家で、この不謹慎極まりない「火サス昔話」の時間だけは、親子で腹を抱えて大爆笑できる大切な避難所のようだった気がする。

    普通の絵本通りではないけれど、あの暗闇の時期を私たちらしく笑って生き抜くために、あの少し歪な昔話は必要なスパイスだったのだ。

    今ではすっかり本物の昔話を覚えた息子だが、たまに「パパ、今日は誰が埋まるお話?」とニヤニヤしながらリクエストしてくる。我が家のお調子者のルーツは、間違いなくあの夜のサスペンス劇場にある。

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    毒親育ちで解離性障害・PTSD・鬱の妻、4歳息子と幸せを模索中。育児の笑える日常、たまに看病や育児のリアルな裏話を等身大で発信しています。我が家の日々が誰かの力になりますように。固定記事、自己紹介も覗いてみてください! 育児のイライラを和らげるエンタメ育児記事を販売中

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