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自分のパンツは自分で掗え〜4、そうやっお遞んでるから駄目なんだよ④


         〇

     䞀幎埌、歳の月。長期䌑暇を利甚しお、私は再び東京を蚪れおいた。

     新型コロナりむルスの流行はい぀かの間にか日垞の䞀郚になり、䌚瀟も県倖移動に぀いおは事前申告による蚱可制で萜ち着いおいた。職堎の䞊長も甲斐さんも『せっかくの䌑暇なんだから、こっちは気にしないでお出かけしおおいで』ず快く了承しおくれた。

     長期䌑暇の目的は富士山登頂だった。登山ガむドがサポヌトするツアヌを申し蟌んだが、あえお北海道からではなく東京発着にした。前埌で東京に滞圚する時間が欲しかったからだ。

     䌚瀟で私の䜜家掻動を知っおいるのは䞊長ず䞊局郚のみ。甲斐さんは私が富士登頂に向けお日々トレヌニングしおいるのを知っおいた。東京滞圚䞭なにをするかずいう話になり、甲斐さんがふず、思い出したように蚀う。

    『そういえば、本州の友達が玹介しおくれた人っおその埌どうなったの』

    『あれっきり、䜕もないですね』

     瀧さんずはSNSで繋がったが、そこでやりずりする仲でもなく、ただただ名前を知っおいるだけの人どたりだった。鎌田さんは玹介だず蚀っおいたが、北海道ず東京の距離を埋めるほどの仲には至らなかった。

    『せっかく東京に行くんだし、ためしに田䞞ちゃんから連絡しおみたらいいんじゃない』

     歳の私は、たたマッチングアプリや婚掻パヌティヌで现々ず出䌚いを探しおいた。甲斐さんに背䞭を抌され、私は久しぶりに瀧さんに連絡をし――意倖にも再び東京で食事をするこずになったのだ。

    「お久しぶりです、元気でしたか」

     以前は倜の食事だったためお酒も亀えおいたが、今回は健康的に昌間のランチにした。なぜなら私は、翌日に富士登山が控えおいたからだ。

     䞀幎ぶりに話すずはいえ、SNSでなんずなくお互いの近況を掎んでいるような掎んでいないような  盞倉わらずの埮劙な距離感。しかし創䜜関係の盞手ずの䌚話に困るこずはない。お互いの近況報告をし぀぀、私は瀧さんから䞀冊の本を受け取った。

    「これ、小説じゃないけど僕が曞いた本です」

     それはビゞネス曞だった。

      今たで婚掻で出䌚った男性たちに、文章や創䜜を生業にする男性はいなかった。あらためお、圌は今たで出䌚った男性たちずは違うのだなず感じる。

    「田䞞さんは、小説の調子はどうですか」

    「先月、䜜目の本が発売しおひず息぀いたずころです。月は宣䌝だなんだで頑匵ったので、月は自分ぞのご耒矎で富士登山をしようかず」

     コロナ犍に出版した冊目『小暜おやすみ凊カフェ・オリ゚ンタル』は、小説の䞖界で旅をしようずいう『GOTO読曞』の流れに乗っお様々な曞店で展開しおもらえるようになった。

     しかし続刊には至らず、たた新しい䜜品を䞀から䜜る䜜業に戻っおしたった。売り䞊げが奮わないたびに心が折れるが、それでもあきらめずに曞き続けおいるからこそ出せた䜜品だ。

     富士登山から東京に戻り、担圓線集に䌚う予定はあるが、売䞊の話を聞くのは心が重い。今はなるべくそれを忘れ、念願の富士登山に向けお意識的にモチベヌションを高めおいた。

     創䜜の話から、やがおお互いのプラむベヌトな話に移る。鎌田さんの玹介により、どちらも婚掻䞭の身だずいうこずは知っおいたため、その話をするこずに抵抗もなかった。

    「私はマッチングアプリで婚掻しおいた時期もありたすけど、原皿に集䞭しおいる間はさっぱり䜕も  瀧さんのほうはどうですか」

    「俺も結婚盞談所で掻動しおるけど、なかなかね」

     歳䞊の瀧さんは歳。効率的に婚掻するなら結婚盞談所の掻動も倧切だろう。私も倧手盞談所の無料カりンセリングを受けたこずはあるが、瀧さんもweb完結の盞談所ではなく、仲人がサポヌトするタむプの盞談所で掻動しおいるらしい。

    「私もそろそろ婚掻頑匵らないず」

     䜜目の『陞くんは、女神になれない』はシリヌズ化も䜕も考えずに曞いた話だった。同じ出版瀟で出した『眠りの森クリニックぞようこそ」も続刊に至らず、次䜜ぞのハヌドルが䞊がっおいる䞭に決たった出版。自分の䞭でずっず曞きたいず思っおいたテヌマだったため、勇気を出しお担圓線集に䌝えたずころ、䞍思議ずずんずん拍子で発売に至った䞍思議な䜜品だった。

     売り䞊げ云々の話は眮いおおいお、同じ出版瀟ですぐに次䜜が動き出さないのは今たでの経隓で分かっおいる。自由な時間ができた間に、たた婚掻をするのも悪くない。

     しかし。

    「でも  正盎、私の䜜家業を理解しおくれる人が芋぀かるずは思えなくお」

     OLず小説家の兌業生掻。䜜目の執筆状況は仕事の繁忙期ず重なりハヌドなものだった。

      4䜜目の執筆時から配属された郚眲が倉わり、5䜜目は環境が倉わり人間関係を再構築しおいる間に曞き䞊げたものだった。

      初皿こそ比范的萜ち着いた時期に曞き䞊げおいたが、新しい郚眲は通垞業務に加え、倖来が延長すれば垰宅が時を過ぎるのが圓たり前の䞖界だった。

      週明けの締切に向けお土日に培倜で原皿を曞き䞊げお、明け方にそれを送信しお仕事に行く。本来なら18時に退勀しおその埌ゆっくり䌑めるのだが、繁忙期は圓たり前に残業が発生し時に退勀した。

     片道時間の通勀時間を経お、今日は早く寝ようず思うも、垰宅埌に担圓線集からリテむクの連絡が来お二日目の培倜。圓時配属されおいた郚眲は、兌業ずの盞性がずおも悪かった。

     日時間勀務を通り越し、時間、時間勀務は圓たり前。時間、時間勀務の倧残業を乗り越え、垰宅しおも自炊はおろか掗濯ですら間に合わず、スヌパヌで買った半額匁圓で腹を満たし、日付が倉わっおからパ゜コンを立ち䞊げ原皿を曞く。疲れ果おお動けない日は、垰宅しお寝萜ちするこずを防ぐためにあえおファミレスでゲラず向き合っおいた。

      どんなに残業をこなしおも、安月絊に倉わりはない。この生掻から抜け出したくおも、コロナ犍ではそう簡単に転職先も芋぀からない。配属された店舗は幎ずいう玄束だったが、それもずうに過ぎおいた。

     もし今埌も残業たみれの生掻が続くずしお。時間を芋぀けお婚掻を頑匵った結果、もし私でも良いずいう盞手が芋぀かったずしお。

     今日び共働きが圓たり前の䞖の䞭、結婚盞手がフルタむムの皌ぎを求め、転職を良しずしない人であったずしたら 繁忙期は時に垰宅する生掻、家に垰っおも自分のご飯はなく「俺の飯はただか」蚀われたら  もしここに出産育児が加わったら さらに盞手が家のこずを䜕もしない䟡倀芳昭和野郎だったら

     フルタむムで働き家事育児をしおさらに倫の面倒を芋お  私はい぀小説を曞けばいいのか 

     アルコヌルのない昌間の食事のはずなのに、気付けば私は瀧さんにその気持ちを吐露しおいた。

     䜜家業を理解しおくれる盞手がいるず思えない。すべおをひずりでこなしたらいずれ私は過劎で倒れるこずだろう。

     やはり小説の道を残したたた結婚するのは難しいのだろうか、小説をずるなら結婚の道は諊めたほうがいいのか。

     歳、呚囲の女性たちは結婚し子䟛を産み育おる人生を歩んでいる。玠敵だず思う男性も既婚者であるこずが増え、自分が結婚適霢期の枠からはみ出し぀぀あるのを実感しおいた。

     私だっお、結婚しお家庭を築く人生を望みたい。

     でも、小説の道を諊めるこずはできない。

     私はこのたた独りで生き続けるしかないのだろうか。

      䜕床も繰り返すこの悩みに、解決の光が芋えたこずはない。想像する男性像が䟡倀芳昭和野郎なのは今たで付き合った男性や自分の父芪がそういうタむプだったのもあるだろう。

     早く結婚しろず蚀っおくる芪戚も、私がこの悩みを話しおも有耶無耶にしお終わるだけ。さらには『そうやっお遞んでるから駄目なんだ』ずくる始末。

     私は、自分が倧切にしおいるこずを理解しおくれる人を探しおいるだけなのに。

    「俺はそういう男たちずは  」

     食埌のデザヌトを食べながら、瀧さんがもごもごず口ごもる。䞀幎ぶりに䌚った盞手に、こんな話をされおも困るだけだろう。

    「  あの、田䞞さん」

    「すみたせん、なんか愚痎っぜくなっちゃっお」

    「俺、田䞞さんの圌氏に立候補しおもいいですか」


    #創䜜倧賞2025
    #オヌルカテゎリ郚門

     
     
    小説家゚ッセむスト。第10回日本ラブストヌリヌ゚ンタヌテむンメント倧賞・最優秀賞受賞。note創䜜倧賞2025オヌルカテゎリ郚門入遞。既刊は『小暜おやすみ凊カフェ・オリ゚ンタル』『僕は奇跡しか起こせない』『YOSAKOI゜ヌラン嚘』『陞くんは、女神になれない』など。

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