芋出し画像

自分のパンツは自分で掗え〜3、あなたの粟子は老化しないんですか⑀


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 午埌にお芋合いをするさんの幎霢は歳だった。

 歳も幎䞊、本来なら察象倖の人だが、プロフィヌル写真の若々しさが印象的だった。幎収は䞇円超え、東京の䌁業に勀めおおり、札幌の支店ず行き来する生掻をしおいるずのこずだ。

 正盎、幎収に぀られた。そしお東京に勀めおいるのであれば、ゆくゆくは向こうに䜏むこずになり、出版瀟ずのやりずりもしやすくなるかもしれない。北海道ずいう地は䜜家ずしお䞍利であるず、デビュヌ間もないころ他の䜜家さんに蚀われたこずがあった。

 さんの䞍甚意な発蚀が頭にこびり぀いおいるが、次に切り替えなければならない。埅ち合わせ堎所は奇しくもさんず同じずころだった。

 プロフィヌルを熟読しおいるず、さんが珟れた。指定のスヌツ姿だが、やはり代埌半ずは思えないすらっずした䜓躯をしおいる。コロナ犍でマスク必須のため、その䞋の顔はお芋合いが始たらないず芋るこずができない。

「久深さん、ギリギリになっおごめんなさい。急いで準備したもので」

 圌は遅刻寞前だった。日曜日、予定の倚い人もいるだろう。私は怒りもせず、近くの喫茶店ヌヌはさんず蚪れたばかりだ。別の店にしようず提案するず、さんも快くそれに応じた。

「さん、今日はお仕事かなにかだったんですか」

「午前䞭にゞムに行っおたんです。シャワヌを济びおいるうちに時間がギリギリになっちゃっお」

 なるほど、ゞムで鍛えおいるからこそのその䜓型か。お芋合いで出䌚う男性は代でもふくよかな人が倚く、突き出たビヌル腹だけで実幎霢より老けお芋える人も倚かった。

「マンションが近くお良かったです、ゞムにスヌツを着おいけばよかったんですけど」

「札駅の近くに䜏んでるんですか」

「そうですね。埒歩、分っおずころかな」

 札幌駅近くのマンションなど郜䌚䞊みの家賃だろう。さすが幎収の高い人は生掻も違うのだな  そう思っおいるうちに、手頃なカフェを芋぀けおそこに入った。

 前払いの店でコヌヒヌを頌み、狭い店内で膝を぀き合わせお座る。あらためお挚拶をし、マスクを倖しおお互いの顔を芋た。

 コロナ犍のため必須ずはいえ、マスクを぀けるず䞭で蒞れお口元ヌヌずくにほうれい線が深く刻たれおしたう。私もそれに気づいおから、埅ち合わせ寞前にメむク盎しをするなど察策をしおいた。

 歳。あの写真はい぀撮ったものだろう。ゞム終わりでシャワヌを济びた姿  湯冷めはしおいないだろうが、写真ずは唇の色が違う。


 あのプロフィヌル写真はメンズメむクをしおいたんですか


 そんなこず口が裂けおも蚀えるわけがない。写真から受ける印象が倧切なのは私も痛いほど理解しおいる。

 さんは気さくな方だった。倧きな䌚瀟で管理職ずしお勀め、東京ず札幌の二拠点生掻。幎収が高いのも玍埗だが、それを錻にかけない姿に奜感が持おる。

「久深さん、お仕事に副業ずありたしたが、なにをされおるんですか」

 この質問が来るずいうこずは、プロフィヌルもちゃんず読んでくれおいる。そしお私も、圌のプロフィヌルを熟読しおいるからこそ、迂闊な返事をできなかった。

「さん、嘘を぀くのがお嫌いっおプロフィヌルにあったんですけど  具䜓的な職業はもう少し仲良くなっおからでもいいですか」

 小説家であるこずを隠す、それを嘘だず受け取る人は倚いだろう。私だっお逆の立堎であれば、自分の仕事を隠したがる人を怪しいず思うのは圓然だ。

「倧䞈倫ですよ。東京の䌁業ずやりずりするっおこずは、デザむナヌずかそんな感じかな」

「たたに、職業を話すず調べおくる人がいるので  どうしおも初察面の人に蚀うのは抵抗があっお」

 私のこの気持ちは嘘ではない。小説家ず知るなりむンタヌネットで調べ䞊げる人が䞀定数いる。さらには、䜕かしらのグルヌプで䞀緒になった初察面の人に、「この子小説家なんだよ」ずわざわざ玹介する人もいるのだ。

 次の出版予定が決たるのも皀な零现小説家。䌚うたびに「次はただ」ず聞かれるのが蟛く、疎遠になった知人も少なくない。

「調べるず出おくるっおこずは、けっこう有名な人なんですね」

「いえ、やっおる人が少ないので、奜奇心であれこれ聞かれがちで  」 

 印皎っおいくらもらえるの ドラマ化ずか映画化ずかしないの あの䜜品映画化したら良いよね、マスタヌ圹はもちろん倧泉掋でさ ず、酒の肎にされお也いた笑みを浮かべる、あの時間がたたらなく苊痛だ。

「でもさ、そういう仕事をしおいるのに、どうしお東京に出おこなかったの」

 さすが生き銬の目を抜く䞖界で生きおいるさんだ。

 私がデビュヌしたのは歳。生掻拠点を倉えるなら決しお遅くない幎霢だ。薄絊ずはいえ今の仕事は経隓も長く、人手䞍足の医療業界なら転職もすぐに決たるだろう。

 しかし、私は小説家で食べおいけないこずを知っおいる。よほどデビュヌ䜜がヒットしない限り、初版だけで重版はしない。印皎も皆が思っおいるほどたくさんは入っおこない。

 それでも最初から東京に出お営業を頑匵れば良かったのか。いや、心身を病んで床に䌏せっおいた日々を乗り越え、ようやくここたで回埩したのだ。自分の力ではどうにもならないこずばかりのあの出版業界ず、札幌の地䞋鉄ずは比にならないほどの満員電車で通勀する生掻を繰り返せば、遅かれ早かれこた぀のコヌドで銖を吊っおいたこずだろう。


   そんな重たい話を、お芋合いの垭でするわけにもいかないし。


「コロナが流行しお、家族に䌚えなくなるのも心配でしたし。打ち合わせはリモヌトでもじゅうぶんできたすからね」

「そうだね、そういう面では良い時代になったよね」

 さんは副業に぀いお根掘り葉掘り聞きたいわけではないらしい。それに私は安堵の息を぀く。お芋合いの䞭で私を挫画家ず刀断したひずがいたのだが、なぜ東京に出おガツガツ行かないのかず糟匟された思い出がある。

「デザむナヌの人ずは僕も仕事をするんだけど、すごいよね。からを産み出す人っお尊敬するよ」

「ありがずうございたす。さんはゞムの他にもなにか趣味があったりするんですか」

「今はね、バむオリンを習っおる最䞭なんだ」

 音楜が趣味。なるほど、それで私のプロフィヌルに興味を瀺したのかも知れない。

「仕事があるから月に、回しか通えおいないけど、少しず぀匟けるようになるず楜しいものだよ」

「いいですね。私、音楜を匟ける人っお尊敬したす」

 最近、アコヌスティックギタヌに興味を瀺しおいるのだが、いかんせん安アパヌトでは音挏れが気になる。音楜教宀に通うにも月謝が高く、さんは蚀葉の端々に生掻の䜙裕さが窺えた。

「そろそろ定幎埌のこずを考えお、趣味を持った方が良いかなっお。料理教宀にも通っおるんだけど、久深さんっお料理が埗意なんだっけ」

「普通の家庭料理ですけどね。難しいものでなければ、レシピがあればひずずおりは」

「すごいね。僕は今たで仕事ばかりだったから」

 さんのプロフィヌルは未婚だ。結婚歎があれば、盞談所のプロフィヌルの现かく掲茉される。子どもがいるのか、それは同居なのか別居なのか、玹介文に逊育費に぀いお蚘茉のある人もいる、それが結婚盞談所ずいう䞖界だ。

 コヌヒヌを飲み干し、氎だけで䌚話が続く。そろそろ䞀時間か、腕時蚈で時間を確認したずき、私は芖線を感じた。


   いた、胞を芋たな。


 今日はシャツワンピを着おいた。䞭にレヌスのキャミ゜ヌルを着お胞もずが際どくならないよう配慮したのだが、やはりそこに目が行くのは男の本胜か。

 このワンピヌスで䜕床もお芋合いをしおいるが、胞もずを芋られたのは初めおだ。次からこの服を着るのはやめおおこう。

 さんは䌚話を楜しんでくれたのか、玄束の時間を過ぎおも垭を立ずうずしない。私が「そろそろ  」ず切り出すず、「ごめんね、最埌にもう䞀぀だけ」ずさらに続いた。

 䌚話が盛り䞊がっおいるずいえばそうかもしれない。

 しかし。


   どうしおも、䞊叞ず話しおる気分になるな。


 萜ち着いた話し方、盞手から䌚話を匕き出す話術、芋事だず思う。ずくにさんの埌だずそれを顕著に感じた。

 しかし、私は定幎埌の話をされおもピンず来ない。なんならいただ転職に぀いお悩んでいるし、定幎より身近なのは育䌑ず産䌑だ。

 定幎の話はするけど、本胜的におっぱいに目が行っおしたう。歳も幎䞊だずいうのにそこだけが生々しい。

 お芋合いの時間は䞀時間半にも及んだ。ようやく䌚話を切り䞊げ、ありがずうございたしたず解散する。すぐに垰宅する気にもなれず、地䞋歩行空間をぶらぶら歩いおいるず、桜田さんからメッセヌゞが届いた。

『お芋合いお疲れ様でした。さんから早々にのお返事があったので、前向きに怜蚎いただけたすず幞いです』

 さんは私のこずを気に入っおくれたらしい。䌚話に嫌なずころもなかったし、バむオリンや料理の話は玠盎に楜しそうだった。歳ずは思えない若々しさ、代だず切り捚おなくお良かったなず今埌の幅が広がる。

 しかし。


   なんか、お芋合いずいうより就掻の面接みたいだったな。


 䌚話の内容は玛れもなくお芋合いだ。しかし、さんずいるず䞊叞ず話しおいる気分になりそこから抜け出せなかった。

 いや、おっぱいを芋たあの本胜は玛れもない男性なのだろうが、かずいっお胞に芖線を感じるこずは、やっぱり、気持ち悪いず思っおしたう。

 結婚するっおこずは、倫婊になるずいうこずで。倫婊ずいう存圚も、突き詰めればひず組の男ず女ずいうこずで。


   だめだ、どうしおも䞊叞ずしか思えない。


 返事を即答するのを避け、私は近くの喫茶店に入った。

 疲れた頭に糖分を入れよう。ケヌキセットを頌み、さんずの䌚話を頭から远い出す。今埌もただただお芋合いの予定が入っおおり、盞手偎から申し蟌みのあったお芋合いも時間を空けずに刀断しおいかなければならない。

 さんずのお芋合いで、代埌半の男性ずの雰囲気は぀かめた。幎霢で足切りをせず積極的に受けおいった方がいいだろうが、なかなか刀断に悩むものだ。自分が決めた項目に圓おはたる人は断りやすいが  幎収の高い人はプロフィヌルも高圧的なものが倚い。さんほどの物腰の柔らかさはそうそうお目にかけるこずができない。

 実家暮らし、䞡芪ず同居、自分も家事は䞀通りできる旚、奥さんにも仕事をしお欲しい旚、そしお子どもが欲しい旚  このプロフィヌルをたくさん目にしおきた。

 歳。倧孊院卒・高収入。なんでこんなにハむスペな人が高卒で安月絊な私に申し蟌みをしおくるのか  画面をスクロヌルしながら、本人からのひず蚀コメントに目を留めた。


『子どもは二人欲しいです』


   歳で 


 子どもが、二人


   あなたの粟子は老化しないんですか



#創䜜倧賞2025
#オヌルカテゎリ郚門

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