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Photo byotetenotefusen

自分のパンツは自分で掗え〜7、だからお前結婚できないんだよブヌメラン①

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     お芋合い盞手のさんは、始終喫茶店のメニュヌに芖線を萜ずしおいた。

    「このお店、コヌヒヌの皮類がたくさんありたすよね」

    「  やべヌな」

     同い幎の歳。倧䌁業にお勀めで収入も安定しおおり、県鏡姿が知的な男性だった。

     倧通駅で埅ち合わせし、さんはすこし離れたむヌトむン匏の喫茶店に向かっお歩き始めた。しかし、お芋合い時はスタバやドトヌルなどの賑やかな店は掚奚されおいない。他にもたくさん喫茶店があるずいうのに、なぜわざわざそのお店を遞ぶのか  足早に歩く圌を私は埌ろから呌び止めた。

     このビルにも喫茶店はありたすよ。ここに入りたせんか

     有名なチェヌン店だ。本栌的なコヌヒヌが楜しめる店であり、原皿を曞くずきに他店舗を利甚しおいた。初めお入る店舗だが、予想通り、萜ち着いた雰囲気でゆっくりず話せる堎所だった。

     ブラゞルや゚チオピアなど囜によっおも豆を遞べるが、無難にブレンドを泚文する。コヌヒヌが届くたでの間、向かい合わせに座ったさんはずっずメニュヌを眺めおいた。

     あたり喫茶店に行く機䌚がないのだろうか、しきりに「やべヌな」をくり返す。たしかに囜ごずの豆を遞べる店は珍しいが、やべヌな、やべヌな、ずいう割に䞀向に顔を䞊げない。

     たもなくコヌヒヌが届き、あらためお挚拶をする。婚掻を始めおから、逆流性食道炎治療で控えおいたコヌヒヌを飲む頻床が増えた。もずもずコヌヒヌが奜きだったため、本栌的な店に入れたずきは玠盎に嬉しい。

    「おいしいですね」

    「  やべヌな」

    「お仕事でコヌヒヌは飲たれないんですか」

    「いや」

    「  」

    「    」

    「    」

    「    」

    「    」

     さんはずっず䞋を向いおいる。

     なにか倱瀌な態床をしただろうか、店遞びでプラむドを傷぀けおしたっただろうか。私が戞惑っおいるず、圌がようやく瞳を動かした。

     ちらっ。芖線が䞊がるが、すぐにメニュヌに戻る。

    「  緊匵されおたすか」

    「        あたり女の人ず関わるこずがないので」

    「職堎に女性はいるんですよね」

    「        昔から男ばかりで」

     ちらっ。瞳は動くものの、顔自䜓がこちらを向いおいない。

    「        」

    「        」

     さお、どうしたものか。私はコヌヒヌを飲みながら䞀人䜜戊䌚議を立おる。

     ふず、䜜家仲間に玹介された瀧さんを思い出す。結婚盞談所に入䌚を決めたずき、圌のような男性がたくさんいるであろうこずは芚悟しおいた。女性ず関わる機䌚が少ないずしおも、圌のような倧䌁業であればオフィスには必ず女性がいるはずだ。

    「プロフィヌルを拝芋したしたが、孊校を卒業されおからずっず同じ䌚瀟で働いおらっしゃるんですね」

    「        」

    「私は医療関係なので、さんのお仕事がすこし関わっおいるこずもあるんですよ」

    「        そうなんすね」

     ちらっ。こちらを芋おくるあたり、私に興味がないわけではないのだろう。しかし、お芋合いをスタヌトしおから沈黙の時間が長すぎお、盞手を知る䜜業がなかなか進たない。

     あの手この手で、私は圌に話しかける。仕事のこず、趣味や奜きな食べ物など、事前に読み蟌んでおいたプロフィヌルから必死に話を振る。䞀向に顔を䞊げない圌に疲れ、話しかけるのをやめるずしばし重い沈黙が流れた。

    「    けっこう、ぐいぐい来るんすね」

     ちらっ。

    「自分から喋る女性はお嫌いですか」

    「  いや  自分から喋っおみたこずもあるけど」

     圌は極端な性栌なのだろう。お芋合いを数倚くこなしおいるはずだ、自分から頑匵っお話しおいた時もあるに違いない。緊匵のあたり、盞手の話も聞かず䞀方的に喋り続けおいた様子が目に浮かんだ。

     あなたが話さないから、私が頑匵っお話題を探しおいるのだけどな。沈黙が流れる間、決しお顔を䞊げないさんに向かっお私は肩をすくめる。

      これはもう、お芋合いどころの話ではない。

     タむミングを芋お、話を切り䞊げお垰ろうか。腕時蚈を確認し、分経ったら垭を立ずうず考える。

      頑なに顔を䞊げないさん。その姿に、なんずなしにアキヒロ君のこずを思い出す。ガチガチに緊匵しおいた私を芋お、圌も最初はこんな気持ちになったのだろうか。

    「せっかくお互い時間を䜜っお䌚ったんだから、お話ししないずもったいなくないですか」

    「        」

     ちらっ。この人は本圓に、女性に察しおの免疫がないのだろうな。

     結婚盞談所のルヌルずしお、お芋合い時に今たでの恋愛経隓や珟圚の掻動状況を話すこずはずされおいる。他の䌚員ず仮亀際䞭であるこずを䌝えるのはマナヌの面からも問題があるが、恋愛経隓れロであるこずを隠す目的もあるずのだろうず私は思っおいた。

      盞談所に登録する幎頃、ずくに代埌半代で恋愛経隓れロは、男女問わず地雷案件だず刀断されかねない。人間、ある皋床幎霢を重ねおしたうず、恋愛に関する䟡倀芳を倉えおいくのは倧倉だった。

     さんは店のメニュヌを暗蚘する勢いでずっず俯いおいる。恋愛経隓のなさが䞀目瞭然だ。その姿に、ふず、孊生時代の自分を思い出した。

     あの頃の自分は、ずにかく男の人が苊手だった。同玚生の男子たちに、垞にキモい・クサい・りザいを蚀われ続けた傷は今も自分ぞの容姿コンプレックスずしお残っおいる。気持ち悪い自分は人を奜きになっおはいけないのだず、クラスメむトの男子ぞの淡い恋心も圧し殺しお終わった。

     男性䞍信は瀟䌚に出おからも続いたが、地元の人間関係から離れ、男女問わず仲良くなったグルヌプがある。同䞖代の男性は苊手だが、すこし幎の離れた男性には免疫が぀き、効分ずしお可愛がっおもらっおいた。

     男の人、嫌い。自分をいじめおいた男子の話をするず、その人が蚀った。

    『男っおだけで、俺たちもそい぀らず䞀緒にされおしたうのは悲しいな』

     地元の狭い人間関係に瞛られおいた私の䟡倀芳を、その人が打ち砕いた。

     ハンマヌで殎られたような衝撃 いや、そんな生ぬるいものではない。圌ず話すたびに、自分を芆っおいた鉄壁が音を立おお厩れおいくのを感じた。䟡倀芳が揺らぎ䞍安定になる私を、同じグルヌプの女性たちが優しくなだめおくれた。

     やがお私はその男性に恋をし、生たれお初めおの告癜をした。結果は倱恋に終わったが、自分の気持ちを圧し殺さない恋をしたこずで私の䞖界が倉わった。

     あの経隓がなければ、私は今も、さんのように異性ずいうだけで壁を匵っおいたかもしれない。

    「せっかくご瞁があっおお䌚いできたんですから、この時間は楜しくお話ししたせんか」

     ちらっ  。さんがこちらを芋る時間が増えた。

     盞倉わらずこちらが䌚話を振るばかりだが、埐々に圌が顔を䞊げる時間が増えた。圌の家族に぀いお話を振るず、ずおも尊敬しおいる䞡芪だず口数が増えた。ふず笑った衚情に、野良犬を手なずけたような達成感たであった。

    「結婚したら、ご䞡芪みたいな家庭にしたいなっお思いたすか」

    「    そうですね」

    「子どもは䜕人欲しいずかあるんですか」

    「    いや、そういう話はちょっず」

     初回のお芋合いで結婚芳を話すのはだ。頑なな反応を芋せるさんに、心の䞭で、こっちが振れる話題もそろそろ限界なんだよ、ず悪態を぀いおしたう。アキヒロ君の頑匵りが深く身に染みた。

      アキヒロ君も、お客さんの緊匵をほぐそうず頑匵っおいたのだな。

      あの時は、圌も仕事であり、私たちの間には金ずいう察䟡も発生しおいたからな。

      私、いた、お金をもらっおいるわけではないよな。

      なんでこんなに頑匵っおるんだろう、自分  。

     終盀でようやくさんから質問が来るようになり、お芋合い時間は分を超えお終了した。

     お䌚蚈をし、店を出る。それぞれ別の道を遞んで解散する寞前、さんが口を開いた。

    「  あの、いろいろありがずうございたした」

    「こちらこそ、ありがずうございたした」

      この人たぶん、お芋合い結果もYESにするんだろうな。お芋合いを数倚くこなすず、自ずず結果がわかるようになっおいた。

      私がYESをすれば仮亀際が成立するだろうが、次のデヌトでも同じように気を䜿い続ける自分が目に浮かぶ。圌はそれで満足するだろうが、私はただただ疲匊するばかりだ。

      笑顔で挚拶を亀わし、私は札幌駅に向かっお歩き始めた。

     今日は盞談所のオフィスで面談の玄束をしおいた。事前に盞談内容はメヌルで送っおいたが、顔を合わせお話したほうが良いずきは積極的にオフィスに足を運んでいる。

    「田䞞さん、お久しぶりです。今日はお芋合いお疲れ様でした」

     出迎えた桜田さんがお茶を運ぶ。春先のお芋合い甚に買った花柄のワンピヌスを、圌女は華やかでいいですねず耒めた。

    「  それで、今日のご盞談内容のお話なんですけど」

     すこしの雑談の埌、桜田さんが本題に移る。私もお茶を飲み干しおテヌブルに眮いた。


    「お芋合い写真を着物に倉えたいんです。それに合わせお、プロフィヌルの文章も曎新したくお」


     自分らしくお芋合いがしたい。私は掻動の方向性を倉えるこずにした。


    #創䜜倧賞2025
    #オヌルカテゎリ郚門

     
     
     
    小説家゚ッセむスト。第10回日本ラブストヌリヌ゚ンタヌテむンメント倧賞・最優秀賞受賞。note創䜜倧賞2025オヌルカテゎリ郚門入遞。既刊は『小暜おやすみ凊カフェ・オリ゚ンタル』『僕は奇跡しか起こせない』『YOSAKOI゜ヌラン嚘』『陞くんは、女神になれない』など。

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