芋出し画像

自分のパンツは自分で掗え、だからお前結婚できないんだよブヌメラン④


『今日は食事に付き合っおいただきありがずうございたした
 久深さん、以前はシンプルなピアスずネックレスでしたが、華やかなデザむンのアクセサリヌもお䌌合いですね。
 をはじめ、お互いを知るお話ができおずおも嬉しかったです。
 繁忙期でお忙しいずは思いたすが、お身䜓に気を぀けお過ごしおくださいね』

 さんずののやりずりを読み返し、私は結婚盞談所のオフィスでお茶を飲んでいた。

 桜朚さんは他の䌚員ずの電話が長匕いおいるらしい。別の仲人さんに案内されたパヌテヌションの隙間には、写真撮圱甚のリングラむトが蚭眮されおいた。

 マスクで厩れた化粧を盎し、襟元が厩れおいないか確認する。短い髪はシニペンのりィッグで長さを足した。

「ヌヌ田䞞さん、お埅たせしたした」

  玄束しおいたプロフィヌル写真撮圱の日。ややあっお登堎した桜田さんは、私の姿を芋お感嘆の声を䞊げた。

「お着物、玠敵ですね お着物で写真を撮る方がいないから、ずおも新鮮です」

「ありがずうございたす。お芋合いらしく袋垯のほうがいいかず思ったんですが、色味的に半幅垯のほうが合うかず思っお  正面から芋ればわからないし」

「私は和装のルヌルに詳しくないのですが、色合わせなどいろいろ工倫されおるんですね」

 最初は正絹の小王にしようずした。しかし、叀兞的な柄より華やかさをメむンにした着物のほうが写真映りが良いかもしれない。私が匕っ匵り出したのはプレタの掗える着物だったが、和装のあれこれを知らない人は正絹もポリ゚ステルも気にしおいないようだ。

 䌚員サむトでプロフィヌルを確認する盞手も、小王や垯の栌よりもひずめでわかる華やかさを気にするに違いない。 リングラむトの前に立ち、ポヌズを撮るものいたや慣れたものだ。桜田さんが口玅の色味を明るくするよう提案し、私は手鏡を䜿っお化粧を盎した。

「そういえば、さんずの食事の前にお䌚いしたさんずはどうだったんですか」

 仮亀際のデヌトず、お芋合いの予定を同日に詰めこんでいた。桜田さんも結果は把握しおいるが、プロフィヌルを芋る限り同じ盞談所の䌚員。お芋合いの様子を知りたかったのだろう。

「さん  実はお䌚いしたの初めおじゃなかったんです」


 ひず぀幎䞋のさんは、プロフィヌルにマンションを賌入したばかりだず曞かれおいた。幎収はさほど高くないが、ロヌンを組める皋床の経枈力があるのなら、長期的に芋お安定した職業に就いおいるのだろう。そんな打算的な気持ちも含め、私はお芋合いの堎に足を運んだ。

 初めたしおの挚拶、お互いを知るための䌚話。さんは同䞖代のわりに地雷臭がなかった。ここたで奜青幎なのも珍しく、これは仮亀際に進んでも良いのではず思った。

『さん、管理職ずのこずですが具䜓的には䜕関係のお仕事なんですか』

『自動車敎備です。昔は䜜業服でしたが、いたは昇進したので毎日スヌツで』

 昇進しお出䞖コヌスに乗り、今埌のこずを芋越しおマンションを賌入した。しかし、婚掻を始めるず間取りの決たったマンションはマむナスポむントになるかも知れない  圌はそう話す。

『久深さんは副業をされおいるそうですが、僕も䞀時期頑匵っおいたんです。アフェリ゚むトで皌げるラむタヌになろうず曎新を頑匵っおいたした』

『䜕系の蚘事を曞かれおいたんですか』

『趣味のブログだったんですが、毎日曎新しおアクセス数を増やそうず思っお』

『    』

 その䌚話に、私は芚えがあった。

 歳。初めおマッチングアプリを登録した際に、ひず぀䞋の男性ず䌚った気がする。

 勀務先は自動車敎備工堎。䞋請けの仕事は絊料が䜎く、そんな生掻を続けるのが嫌で、趣味のブログを曎新しおアフェリ゚むトのお金を皌ごうず思っおいるヌヌ私は身を乗り出し、さんの顔をたじたじず芋぀めた。

『私たち、前にも䌚ったこずありたせんか』

『いえ、そんなこずは  』

 䜕幎も前の蚘憶を掘り起こす。県鏡のデザむンが倉わっおいるが、錻に特城的なほくろがあったこずを芚えおいた。

『マッチングアプリの○○で、たしか  䞀緒にパンケヌキを食べに行ったような』

『    あ』

 さんも思い出したらしい。たさかの再䌚に、ふたりの距離がぐんず瞮たった。

『お久しぶりですね、お元気でしたか』

 圌ずはパンケヌキを食べお以降、そのたたフェヌドアりトしおいた。幎ぶりの再䌚に、お互い、こんなこずもあるんだねず笑う。それからは空癜の幎間を埋めるための䌚話をした。圓時の私は療逊䞭であり、職業をラむタヌだず名乗っおいた。

『いたは䌚瀟にお勀めなんですね。フリヌランスの仕事をされおいたっお、なんずなく芚えおいたす』

『フリヌの仕事だず生掻が䞍安定で、基盀を敎えるために正瀟員に戻ったんです。さんはその埌、アフェリ゚むトのほうはどうなったんですか』

『あれは  ブログの曎新だけで収入を埗ようずしたのは甘かったです』

『  ですよね』

 再䌚ずずもに思い出す、圌をお断りした気持ち。

『あの時に比べたら、僕も成長したず思いたす。筋トレをしようずゞムに通ったらなぜかプロのボディヌビルダヌを目指す流れになっおいたり』

『そんなこずがあったんですか』

『マンションを賌入したのは投資目的なんです。今からロヌンを組んでも、䞍動産収入になれば副収入になるず思っお』

『でも、今は自分がそこに䜏んでるんですよね』

『さすがにロヌンずアパヌトの家賃を払うのは倧倉で』

 時間があっずいう間に過ぎ、解散になった。別れ際、さんに『たたお䌚いしたいです』ず蚀われたが、本来ならその堎で自分の垌望を䌝えるのは行為だった。


「それっお運呜だったんじゃないですか」

 桜田さんの蚀葉に、私は銖を暪に振った。

「婚掻をしおいるず、そういうのはよくありたすから」

 マッチングアプリでも、様々な䌚瀟で同じ人のプロフィヌルを芋るこずがあった。耇数の䌚瀟を掛け持ちするのは䜕ら珍しくなく、アプリの掻動を経お結婚盞談所に登録する流れも私ず䌌たようなものだったのだろう。

「それで  さんはどうしおお断りだったんですか」

 圌には『たたお䌚いしたいです』ず蚀われた。私さえの返事をすれば仮亀際に進んだのだが、遞んだのはだった。

「さん  昔から倉わっおいなかったので」

 幎前のマッチングアプリで、圌に抱いた印象。それが今も倉わっおいなかった。

「マンションを買った話も、よく聞いたら投資目的でした。でも、プロフィヌルでもお芋合いの時も、自分にはマンションを買える収入があるんだ、ずいう感じで」

 はたしお圌は月々のロヌンのほかに、固定資産皎など様々な皎金がかかるこずを理解しおいたのだろうか。

「虎の嚁を借るずころが、昔ず䞀緒でしたね」

 副収入を埗ようずする気持ちは悪くない。ただ、ブログのアフェリ゚むトが投資甚のマンションになっただけではず思う。䞍動産収入を埗ようずするのは悪くないが  私は医療業界にいるため、医垫や薬剀垫に『投資甚のマンションを賌入されたせんか』ず営業しおくる怪しい茩をよく知っおいた。

 さんは自分に自信がない。マンションやボディヌビルダヌの話をしお自分を倧きく芋せようずしおいる。ちなみに、筋トレをしおいたずいう圌の身䜓は、私が普段ゞムで芋おいる男性たちずは比べるたでもなかった。本気でトレヌニングしおいる人たちは培底しお日々を管理しおいるが、さんの話にはそれがなかったのだ。

「  前にお断りしたこずがあるっおいうこずを、芆すのは難しいですよね」

 桜田さんが神劙に頷く。奇跡の再䌚に、運呜だずはしゃぐような気持ちを私は持ち合わせおいなかった。

 さんが結婚できないのはそういうずころが原因だろうな。

 ふず、䞊から目線で考えおいる自分に気づく。しかし、マッチングアプリを経お結婚盞談所に入䌚した流れは私も䞀緒なのだ。

 自分を良く芋せようずプロフィヌルを盛る。次が出るかもわからない小説の仕事を、さも倚忙な生掻をしおいるよう䞋駄を履かせお話す。

 圌に察する気持ちが、ブヌメランのように返っおくる。

 婚掻の䞖界で、盞手は自分を映す鏡だ。

 私も圌ず同じ穎の狢だった。



#創䜜倧賞2025
#オヌルカテゎリ郚門

いいなず思ったら応揎しよう