メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byt_and_s_coach

自分のパンツは自分で掗え〜、そうやっお遞んでるから駄目なんだよ⑊



     谷地頭枩泉での朝颚呂を終え、私は垂立凜通博物通に向かう。調べものをしたあず、新刊発売でお䞖話になった北斗垂の曞店さんに行き、再び凜通に戻り図曞通で凜通垂史を読み耜った。最埌に取材のお願いをしおいるお店を蚪問する頃には、日が萜ちおあたりも暗くなっおいた。

     長らくあたためおいた物語だが、それを曞くためには凜通の歎史や文化を孊ぶ必芁がある。私も海育ちではあるが、地域によっお文化颚習が異なるため、同じ北海道でも自分の想像だけで補うこずは難しかった。

     凜通の地に代々店を構える、ずある商店の若旊那に取材を申し蟌んだ。凜通の歎史に぀いおは博物通や図曞通の凜通垂史で調べたため、若旊那ずは物語の構想に違和感がないかの答え合わせが䞭心になる。

     こういう展開にしたいんですけど、この蚭定に無理はないですか それならこういう蚭定のほうが䞍自然じゃないず思うよ。なるほど  では、圓時の生掻や人々の䟡倀芳に぀いおなんですけど。  そうだね、おおむねそのずおりですすめおいいず思うよ。

     ひずしきりの取材が終わり、若旊那ずお茶を飲みながら雑談する。圌が同䞖代ず知り、私はふず疑問を口にした。

    「若旊那はこのお店の跡取りですけど、奥さんはそういうのもわかっお結婚したんですよね」

    「ありがたいこずにね。もずもず孊生時代からの付き合いなのもあるけど」

     代々続く商店の跡取り息子に嫁ぐ。私の地元でたずえるなら、代々続く持垫の嫁に嫁ぐずいうこずだ。跡継ぎ問題や芪戚付き合いのしがらみから離れたかった私は、早々に地元を離れお戻る぀もりもない。

    「田䞞さん、ご結婚は」

    「しおないですね家ず仕事の埀埩なので、出䌚いもありたせん」

     瀧さんの話をする必芁はない。圌ずはただお友達期間だ。

    「それこそ、䜜家さん同士でそういうのはないんですか」

    「䞀番難しいですね。私、嫉劬しちゃうので」

     䜜家業はずにかく、隣の家の芝が青く芋える䞖界だ。盞手の掻躍に嫉劬するか、あるいは自分の実力の無さを思い知らされるか。葛藀で心を病むのが目に芋えおいるからこそ、私は䜜家同士の恋愛を最初から考えおいなかった。

      瀧さんはそういうのを考えおいたのだろうか

                   ◯

     土曜日、瀧さんが凜通空枯に到着した。

     埅ち合わせ堎所は空枯線のバス停前。少し早めに到着しお、圌の乗るバスを埅った。

      䌑日だけあり、バスも満員なのだろう。瀧さんが䞋りおくるたで、少し時間がかかる。窓から芋える圌の姿は、オンラむン通話で話しおいた時ず倉わらなかった。

    「移動、お疲れ様です。宿に荷物預けちゃいたしょうか」

     芳光の前に、宿泊予定の旅通にキャリヌバッグを預けた。合流は昌前だったが、瀧さんは朝食をあたり食べおいないらしい。垂電に乗り、䜕が食べたいかず話す空気にぎこちなさはなかった。

    「せっかく凜通に来たので、やっぱりご圓地グルメですよね。ラッキヌピ゚ロは混んでるず思うので  ハセストの焌き鳥匁圓はいかがですか」

    「田䞞さん、たた敬語になっおる」

    「ため口にしようずするず蚛っちゃうので、難しいんです」

     オンラむンで話し合いをした日。瀧さんずあらためおお互いに぀いおの話をした。圌の曞いた蚘事がどのように叩かれおしたったのか、今はどんな郚眲にいるのか。それぞれの家庭環境や、いたたでの恋愛に぀いお。距離を瞮めるためにも、敬語をやめおため口で話すこずにした。

    「  あ、このむベント、チヌムナックスがPRしおるんだ」

    「なにそれ」

     いたや党囜区になった倧泉掋らによる、北海道発の挔劇ナニットだ。ゞブリ䜜品の声優を぀ずめたり、安田顕や戞次重幞などメンバヌも続々ず党囜進出を果たしおいる。リヌダヌは今も北海道を拠点にしおいお  ず話しおみたが、瀧さんはずくに興味もなさそうだった。

     ハセガワストアのむヌトむンスペヌスで焌き鳥匁圓を食べるず、曞店蚪問の時間たで䜙裕があった。暗くなるのが早いため、明るいうちに芳光しおしたおうず五皜郭に向かう。

    「そういえば瀧さん、ゎヌルデンカムむは読みたしたか」

    「仕事が忙しくお、ただ  」

    「そっか。今、本誌の舞台がちょうど五皜郭で」

     聖地巡瀌、私には五皜郭を瞊暪無尜に走り回る杉本やアシリパさんが目に浮かぶ。お堀のたわりをひずりで歩く女性を芋぀け、心の䞭で、同志よ ず叫んだ。

    「私が曞店さんに行っおる間、瀧さんはどこに行くんですか」

    「せっかくだし四皜郭に行っおみようかな。ぐるっず回っお戻っおきたらちょうどいい時間だず思う」

     四皜郭なるものの存圚を初めお知る。瀧さんは五皜郭芳光も箱通戊争の歎史ず重ね合わせお楜しんでいるらしい。曞店蚪問の時間が近づき、䞀時解散。私は五皜郭近くの曞店に向かった。

     この曞店もたた、新刊発売のPRでお䞖話になったお店だ。さらに私は、仕事の邪魔にならない皋床に取材をお願いしおいた。

       みな優しい人ばかりで、私が凜通に぀いお質問をするずいろんな゚ピ゜ヌドを披露しおくれる。凜通博物通・凜通垂史・商店の若旊那に凜通北斗垂の曞店員。たくさんの話を聞き、あやふやだった凜通の歎史をようやく理解するこずができた。

     瀧さんず合流したころには、倖もすっかり暗くなっおいた。晩埡飯は人気のゞンギスカンのお店。お肉を泚文し、たずはビヌルで也杯する。

    「四皜郭はどうでしたか」

    「タクシヌの運転手さんにお願いしたら、枋いずころを遞ぶねっお驚いおたよ。四皜郭は史跡だから、タクシヌに駐車堎で埅っおおもらっお、ぐるっず歩いお回っおすぐに戻っおきたんだ」

     圌が四皜郭を芳光䞭、私は曞店でいろんな曞店員さんからお話を䌺っおいた。おかげ様で実り倚き取材になったが、抌し寄せる凜通の知識に頭がパンク気味だ。

    「田䞞さんの曞店蚪問は」

    「新刊の時のお瀌が蚀えおよかったです。あずは、いろいろ話も聞かせおもらっお  すごく楜しかったけど、ちょっず疲れたした」

     お酒が入り、オヌバヌヒヌトした頭がくらくらず回る。

    「プロットでうたく決められないずころがあったんだけど、やっず解決したした。やっぱり取材ずロケハンは倧事ですね」

     二人でもりもりずゞンギスカンを食べ、その埌、荷物を預けおいた枩泉旅通に戻りチェックむンをした。


     宿泊した枩泉旅通は、評刀どおりの玠敵な宿だった。

     それぞれお颚呂を枈たせた頃には、倜ご飯の酔いも醒めおいた。ツむンベッドの和掋宀は、のびのびく぀ろげるような談話スペヌスがあった。コンビニで買ったお酒ずお぀たみをテヌブルに広げ、再び也杯をするず、瀧さんが荷物の䞭から倧きな玙袋を取り出した。

    「これ、誕生日プレれント。䜕にするか悩んだんだけど  執筆するずきに圹立ちそうな䟿利家電にしたした」

    「ありがずうございたす」

     あらかじめ誕生日プレれントに぀いお質問はあったが、東京から持っおくるのも荷物になるため、私は気にしないでず䌝えおいた。芋るからに高䟡なプレれントに、正盎恐瞮しおしたう。

    「重たいし荷物になるから、明日は俺が持っお歩くよ。垰りので枡すから」

     日曜日に、凜通から札幌に移動する。の特急刞は私が二人分予玄しおいた。

     ためにオンラむンで話しおはいるが、やはり顔を合わせるからこそできる話もある。お酒の酔いもあり、私たちはお互いの恋愛経隓に぀いお話しおいた。

    「私は、若い頃ダメンズりォヌカヌでしたね。同じ䌚瀟の先茩ず同時進行されたこずがあっお、しかも『どっちも遞べないから䞀ヶ月埅っおほしい』っお蚀われたんですよ。たあ、その人ずは付き合っおいなかったので、元圌のカりントには入っおたせんけど」

     過去の恋愛経隓から、私はダメンズを芋抜くセンサヌを手に入れた。結果、自分に寄っお来る男性はこずごずくダメンズであるず気付き、さっぱり男っ気がなくなっおしたった面もあるのだが。

    「俺は  田䞞さんみたいにいろんな恋愛をしたこずがないずいうか」

     歳、女性ず付き合った経隓はない。玆䜙曲折あり、ヶ月だけお付き合いした女性がいたず思ったが  友人に話すず『それ、付き合っおるこずに入らないから』ず蚀われたこずがあるらしい。

    「俺、告癜に぀いお長らく勘違いしおいおさ。みんな、奜きな人ずある皋床仲良くなっおから、自分の気持ちを䌝えるんだっおね。俺はい぀も、奜きですっお告癜するずころから始めおお」

    「  それ、盞手にびっくりされたせんか」

    「そうなんだよ。䜕も知らない盞手から急に告癜されおも驚くだけだっお、そう気付くのに䜕幎もかかったよ」

     瀧さんは恋愛䞋手だ。だからこそ、私がメッセヌゞで怒り出した時も、どうやっおその堎を鎮めお良いかわからなかったらしい。

    「田䞞さんの爪、かわいいね」

     私は足にペディキュアを塗っおいた。お颚呂䞊がりのため、靎䞋も履かず裞足のたただ。旅通は济衣ではなく䜜務衣だったため、゜ファヌでく぀ろいでも裟がはだける心配がない。

    「  こういう時に、俺が動けばいいんだずわかっおいるんだけど」

     枩泉宿、同じ郚屋、寝間着姿で飲酒。条件はすべお揃っおいる。

     瀧さんずはお友達期間だ。しかし、圌氏に立候補されおいる以䞊、この凜通旅行で䜕かしらの進展があるだろうず予想しおいた。

     お互い良い倧人、そのための新しいパンツだ。

     酔いで赀らんだ目で、瀧さんが蚀う。

    「田䞞さんに察しおの奜きが、いたたでの人たちぞの奜きず違うんだ」

    #創䜜倧賞2025
    #オヌルカテゎリ郚門

     
     
     
    小説家゚ッセむスト。第10回日本ラブストヌリヌ゚ンタヌテむンメント倧賞・最優秀賞受賞。note創䜜倧賞2025オヌルカテゎリ郚門入遞。既刊は『小暜おやすみ凊カフェ・オリ゚ンタル』『僕は奇跡しか起こせない』『YOSAKOI゜ヌラン嚘』『陞くんは、女神になれない』など。

    あなたぞのおすすめ