
✏️【第3回】保護者が担う5つの役割 — 「心のメンタルサポーター」不安に押しつぶされそうな子に寄り添う言葉と具体行動
こんにちは、元高校数学教師のバッツです。
「保護者が担う5つの役割」シリーズも第3回となりました。これまで第1回では「受験の事務局長」として出願・スケジュール管理、第2回では「家庭の生活マネージャー」として健康と生活リズムを整える大切さをお伝えしてきました。
そして今回のテーマは 「心のメンタルサポーター」 です。
受験期の子どもたちは、模試の結果や周囲との比較、不安定な将来像に押しつぶされそうになります。教師時代にも、模試で思うような結果が出ず、教室の隅で机に突っ伏す生徒を何度も見ました。学力がある子でも、不安や緊張で本番に力を出せなかったケースも少なくありません。
ここで大事なのは、保護者が「心理の専門家になること」ではありません。子どもの心に寄り添い、安心の土台をつくること。
今回はそのための声かけ、会話の工夫、そしていざという時の対応まで具体的にお伝えします。
なぜ“心のサポート”が合否に影響するのか

受験生は大きなストレスの中にいます。日本学生支援機構の調査(2023年)によると、高校生の約7割が「受験期に強い不安やストレスを感じた」と回答しています。模試や推薦結果に揺さぶられ、学校生活との両立にも疲弊する。まさに心が大きく揺れる時期です。
心理学的には、不安が過剰になると「ワーキングメモリ(作業記憶)」の容量が奪われ、集中力や正確な判断が低下することが知られています(Eysenck, 2007)。つまり、不安を放置すると本番で実力を出し切れなくなるのです。
一方で、保護者の安心感が子どもを支える事例は数えきれません。私が高校で担任していたある生徒は、模試の判定が思わしくなく落ち込みました。保護者がかけた一言は「私はあなたの努力を全部見てきたよ」。その後、生徒は表情を取り戻し、志望校に合格しました。
保護者に求められるのは「心理学の専門家になること」ではありません。「あなたを信じている」というメッセージを日々伝えることなのです。
親がやりがちな“落とし穴”
親の声かけが、意図せず逆効果になるケースもあります。
「もっと勉強しなさい」
→ 焦りをあおり「今の自分は足りない」と自己否定感を強める。「大丈夫だから」
→ 軽く流されたと感じて孤独感を深める。「親の気持ちも考えて」
→ 子どもが親の不安まで背負ってしまう。
これらは“悪気がない言葉”だからこそ要注意です。
OKフレーズとNGフレーズ
子どもの状況に応じた声かけを整理してみましょう。
OKフレーズ(安心を与える言葉)
模試後/失敗直後
「悔しかったね。でもここまでの努力を私は知っているよ」
「結果は今日のもの。次にどう活かすか一緒に考えよう」本番前日/当日朝
「普段通りで大丈夫」
「これまで積み重ねたことは、必ず君の力になっている」不安が強いとき
「不安なんだね。話してくれてありがとう」
「そばにいるから、一緒に考えよう」
NGフレーズ(避けたい言葉)
「なんでこんな点数なの?」
「このままだと落ちるよ」
「親に迷惑をかけないで」
これらはプレッシャーを強め、逆に集中力を奪ってしまいます。
会話の技術 —— 聴く・共感する・問いかける

保護者に求められるのは「聴く力」です。これはカウンセリングの基本ですが、家庭でも応用できます。
聴く(受容)
相手の言葉を遮らずに最後まで聞く。
→「うん」「そうなんだね」と短い相づちで十分。共感(ラベリング)
感情に名前をつける。
→「不安だったんだね」「悔しかったんだね」問いかけ(解決志向)
少し未来を見せる。
→「じゃあ次はどの部分を強化してみようか?」
会話例
子:「もう無理かもしれない」
親:「そう感じるくらい、つらいんだね」
子:「うん…」
親:「一番しんどいのはどこ?」
子:「英語の長文」
親:「じゃあ次の週末、一緒に30分だけ取り組んでみようか」
短いやりとりでも「受け止め→共感→一歩先へ」の流れがあれば効果的です。
実際の事例 —— 安心が子を動かした
教師時代、秋の模試で判定がDになり泣いていた男子生徒がいました。自室にこもり、食事もとらず。お母さんがただ一言「あなたはここまで続けてきたんだから、それだけで十分誇らしい」と声をかけました。数日後、生徒は机に戻り、最終的に第一志望に合格しました。
このケースから学べるのは、「条件付きの承認」ではなく「存在そのものの承認」が力になるということです。
心を落ち着ける方法
言葉だけでなく、体を使ったリラックス法も有効です。
呼吸法(4-4-8呼吸):4秒吸う→4秒止める→8秒吐く。副交感神経が優位になり、数分で落ち着きます。
グラウンディング:足の裏の感覚に意識を向ける/周囲にある「青いもの」を3つ見つける。意識を“今ここ”に戻す効果。
試験直前ルーティン:深呼吸→笑顔で「いける」と言う→手を軽く握って開く。この習慣化が「スイッチ」を作ります。
保護者が「一緒にやってみよう」と提案すると、子どもも取り入れやすくなります。
不安が強いときの対応プラン
直前の不安
→ 温かい飲み物を渡す、5分の散歩、短い深呼吸。中期的な不安
→ 「不安ノート」に気持ちを書いて閉じる。
→ 1日の勉強を「小さな達成目標」に分割。
→ 夜はスマホをリビングに置き、睡眠の質を守る。
不安をゼロにするのではなく「扱える大きさ」にするのがポイントです。
危機のサインと専門機関への連絡
以下のようなサインは「SOS」です。
睡眠が極端に乱れている
食欲が激変している
「消えたい」などの言葉が出ている
生活に支障が出ている
この場合、保護者が一人で抱え込まないことが最重要です。
対応フロー:
落ち着いて話を聴く
学校の担任やスクールカウンセラーに相談
医療機関(心療内科・児童精神科など)を受診
自傷リスクがあればためらわず救急・専門窓口へ
※参考:文部科学省「子供のSOSの出し方」より
今日からできるアクション3つ
今夜、子どもと「今日一番よかったこと」を一緒に言葉にする
明日の朝、「試験前ルーティン」を親子で決めて貼り出す
「不安ノート」を作り、気持ちを書いたら閉じる習慣を始める
まとめ
不安は集中力を奪い、合否に直結する
保護者にできるのは「心理学の知識」ではなく「安心感の提供」
キーワードは 「聴く・共感する・一緒に考える」
危機のサインは専門機関につなぐ勇気を持つ
子どもにとって親は、勉強を指導する存在ではなく、「心の安全基地」 であることが最大の支えです。
次回予告
第4回は「学習の伴走者」。模試や勉強計画とどう向き合い、保護者がどう環境を整えれば子どもの学習が伸びるのか。教師の現場経験を交え、お届けします。
#大学受験
#受験メンタル
#受験生の親
#声かけ術
#受験ストレス
#不安対処
#カウンセリング
#保護者のための受験サポート
#バッツ
#毎日note
#スキしてみて