💴税理士が“切りたくなる顧問先”5選 ― 忘年会で語られた本音
序章:「あの顧問先、今年で終わりにしたいんですよ」
12月の夜。
私が勤める税理士事務所の忘年会は、笑い声と愚痴が入り混じる、なんともリアルな空気に包まれていました。
「いや〜、あの社長、また資料持ってこなかったんですよ」
「うちは3か月顧問料滞納中です」
「“ウチは経費で落とせるんだろ?”が口癖の人、そろそろ限界です…」
お酒が進むほどに出てくるのは、“切りたくなる顧問先”の話ばかり。
私も笑いながら聞いていましたが、心のどこかで引っかかっていました。
――私たちは、何のために顧問をしているのだろう?
“切る”ため? それとも“支える”ため?
その夜の会話は、酔いが醒めた翌朝まで、頭の中でぐるぐる回っていました。
第1章 滞納社長 ― 信頼の赤字

「ちょっと今月厳しいから、来月まとめて払うよ」
この一言が出た瞬間、事務所の空気はピンと張りつめます。
――“この関係、少し危ういかもしれないな”。
お金の支払いは、信頼のバロメーターです。
顧問料を後回しにするということは、税理士や事務所を「コスト」としか見ていない証拠かもしれません。
もちろん、資金繰りが厳しいときは誰にでもあります。
でも、たった一言の「今こんな状況で…」という説明があるかないかで、関係性は180度変わります。
信頼は一括払い、無礼は分割払い。
滞納そのものよりも怖いのは、“説明を省くこと”なのだと感じます。
第2章 資料を出さない人 ― 過去に縛られる経営者
「レシート、どこに置いたかな…」
「決算ギリギリでまとめて持っていきます!」
――このセリフ、聞き覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
税理士は魔法使いではありません。
資料が遅れれば、試算表も、納税額の見通しも、そして未来の判断も遅れてしまいます。
「数字を出す」のではなく、「数字で未来を見る」のが経営です。
それを後回しにしてしまうのは、“過去”に時間を奪われているということ。
ある社長が言いました。
「経理って面倒くさいんですよね。」
私は心の中で思いました。
「社長、未来の自分を助けるのは、“今日の面倒くささ”ですよ。」
第3章 “全部税理士に任せてる”人 ― 責任放棄の甘い罠

「うちは全部、先生にお任せしてます!」
一見、信頼の言葉に聞こえます。
でも、その裏には「自分では考えない」という危うい甘えが潜んでいることもあります。
税理士は会社の“舵取り役”ではなく、“羅針盤”です。
航路を決めるのは社長自身であり、税理士はその方向を示す存在です。
羅針盤を投げ捨てて「先生にお任せ!」では、船は漂流してしまいます。
数字を“自分ごと”として見る経営者ほど、会社は強くなっていきます。
「任せる」は信頼。
でも「丸投げ」は放棄です。
第4章 人を変えずに税理士を変える人 ― 信頼関係のすれ違い
「前の税理士、なんか合わなかったんですよ。」
この言葉を聞くたびに思います。
“合わない”のは本当に税理士でしょうか?
それとも、“向き合う姿勢”なのかもしれません。
税理士を何度も変える方ほど、経営の課題を“他人のせい”にしてしまいがちです。
数字が赤字なのも、事務が遅れるのも、誰かのせい。
でも、根っこは自分の中にあることも少なくありません。
“税理士を変える前に、自分を見直す”。
その勇気がある経営者ほど、長く、強く続いていくように感じます。
第5章 “経営は気合い”と言い切る人 ― データを信じない危うさ
「ウチは気合いで売上を伸ばしてきたんだ!」
――こう言う社長ほど、数字の話を嫌う傾向があります。
確かに、気合いも情熱も大事です。
でも、数字を見ない経営は、地図を持たずに夜の海を走るようなものです。
税理士が伝えたいのは、「数字の怖さ」ではなく「数字の優しさ」だと思います。
数字は嘘をつきません。
でも、見ない人の未来を守ることはできません。
「先生、数字って怖いですね」と言われたとき、私はこう答えたことがあります。
「怖いのは、数字ではなく、“知らないまま走ること”ですよ。」
終章 “切る”より“育てる”という選択

あの忘年会の翌朝。
頭痛を抱えながら手帳を開くと、“切りたい顧問先”のメモが残っていました。
でも、ペンを持ったまま、私は少し考え込みました。
――本当に「切りたい」だけで終わっていいのだろうか。
確かに、関係を終わらせた方が楽なケースもあります。
でも、少しでも変わる可能性があるなら、もう一度向き合ってみたい。
レシートを出さない社長も、滞納してしまう社長も、
どこかで「助けてほしい」と思っているかもしれません。
税理士は、数字を整える人ではなく、
“人”と“信頼”を整える仕事です。
だから私たちは、今日も新しい一日を始めます。
“切る”より“育てる”選択を、胸に刻んで。
💬 読者の皆さまへ
この記事を読んで「うちも思い当たるかも」と感じた方は、
次の打ち合わせで、ぜひ税理士さんに聞いてみてください。
「どうすれば、もっと良い関係を築けますか?」
その一言が、きっと数字よりも大きな“信頼の利益”になります。
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