
【エッセイ】後悔と苦労と鍋
数年前までの俺は“いかに楽して稼げるか”ということが美学だと思っていた。
頭が良い成功者は現場には立たない。本当にそう思っていた。
でもそれは大きな間違いである。
頭の良い成功者ほど、苦労と覚悟の塊なのだ。
俺はとある事件をきっかけに一度、社会的信用を失った。
これは人間の本質だが、失敗してから学ぶことが多いのは事実だ。
俺は後悔する選択をしてしまったからこれはダメな例。
失敗しても後悔しない選択をできるようになることが本当の成功に繋がる。
俺が後悔をする選択をしてしまって、学んだことを伝えたい。
“苦労する覚悟さえあれば、どこかに居場所は見つかる”
見つけた場所で一所懸命にやれば道は開ける。
本当に開けるとは限らないけど。
自分にそれしかやることがないなら、楽観的にやり続けるしかないと思っている。
日本で天才料理人と言われた三國清三シェフの著書「三流シェフ」では、
このように書いてある。
“みんながやりたくないことを、機嫌よくやることだ。苦しそうにやっていたら周りだって良い気持ちはしない。
人は人の苦労をそれほど評価しない”
三國シェフは新米時代、日本で一番の料理が食べられると言われている、
帝国ホテルに勤めるも、料理を作らせてもらえなかった。
約1年間丸々皿洗いをやり続けたのだ。
一流のシェフを目指す者からしたら、1年間皿洗いしかさせてもらえない屈辱は、
誰しもがわかるだろう。しかも夢の帝国ホテルにいるのに。
夢を追う者なら、この屈辱は悲惨なものだと理解するはず。
それでも三國シェフは誰よりも綺麗に洗おうと努力した。
誰よりもデカい鍋を洗い、誰よりも手早く、綺麗に洗う。
洗って洗って、洗うものがなくなったら厨房を見回して、
忙しそうにしている人を手伝う。
それでも料理を作らせてもらえず、道を諦めかけたとき、
当時の帝国ホテル総料理長・村上信夫さんから、駐スイス日本大使館の料理長に大抜擢されたという。
皿洗いしかしてこなかった新米が、いきなり大使館の料理長だ。
もしもやりたいことがあって、それがどうしてもできないのなら
その世界の鍋を探してみることだろう。
もしかしたら何かのきっかけは掴めるかもしれない。
{参照:三流シェフ 著書・三國清三}