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幻を愛さない

    村田 拓

    ダメ元で告白しようかと思う。

    止めとけ。ダメ元ってのはそもそも最初からダメだからダメ。

    え?普通そういうときって、頑張れとか応援してくれるのが友達ってもんじゃないの?え、もしかしておまえもあの人のことを・・・

    ちげーよ。そうじゃなくてさあ、おまえが彼女が好きになろうがどうしようがそれはおまえの勝手だけどな、そもそもおまえあの人と会話したことあんの?

    あるよ!バカにすんな。

    どんな会話?

    いや、昨日だっておはようございますって挨拶してくれたし、それはきっとおれに好意があるから。

    おいおい普通、挨拶ぐらいすんだろ。でな、実際のところおまえ、彼女とそんなに話したことはないわけだ。

    うーん、

    それでよー、好きなのはいいんだけど、おまえ彼女の何を分かってて好きなわけ?

    包み込んでくれるようなやさしさがあるだろ。

    へ?そうなの?それっておまえの思い込みだから。おまえが見てる彼女は、おまえが勝手に作り出した幻だから。

    ずいぶんな言われようだな。そんなことないだろ。

    おまえはあの人のことたいして知らない。もっときついこと言わせてもらうと、おまえそれで告白したら告白ハラスメントでコクハラだから。

    なにそれ。

    だからさあ、関わりが薄い人に、好きですって思い切って告白なんて相手にとってみたら、唐突にものすごい重いもの投げつけられる感じになっちゃってるのわかる?いきなりうんこ投げつけられたらやだろ?

    そりゃやだけどそのたとえ間違ってねえか。うんこは重くはねえだろ。

    牛のうんこな。まあ、おまえがやんなくちゃいけないのは、もっと当たり障りのないところから彼女とコミュニケーション取ること。

     
     
     
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