
真夜中のコーヒーは苦くて甘い
真夜中に飲むコーヒーが好きだ。
普通なら寝る時間にわざわざカフェインを流し込む。
小心者の僕にとっては暴君のように清々しい最高の瞬間だ。
「やめなさいよ」
と、頭の片隅で良心が囁いてくるけれど、すでにケトルにお湯は沸いている。
やってはいけない、と理解しているからこそ背徳感が最高の隠し味として機能するわけだ。
百均で買い込んでおいた紙コップにインスタントコーヒーの粉を入れる。
昼間なら至って普通の行為だけれど、真夜中だと何故か妙にドラマチックな気がしてしまう。
静まり返った部屋にコポコポコポとお湯が注がれる音がやけに響く。
コップが満たされていくと同時に、ふわっと香りが広がった。
ここまで来たら後戻りはできやしない。
片道切符の夜更かし三昧だ。
……なんて言い過ぎかもしれないけれど。
「やってしまった」という後悔が「まぁ、いいか」という開き直りと混ざり合って漆黒の液体を彩ってくれる。
きっと、明日はしんどい朝が来る。
でも、今この瞬間だけは背徳の一杯に身も心もどっぷりと沈めてしまおう。
真夜中のコーヒーは体に苦く、心に甘い。
はてさて、この夜はどこまで続くのだろうか。