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倧柀真幞『瀟䌚孊史』批刀

     些か憚られる気もするのだが、やはりここは思い切っお批刀をさせおいただきたい。
     瀟䌚孊者の倧柀真幞による著䜜に぀いおである。

    蚻本蚘事においおは基本的に敬称略ずさせおいただいおおりたす。予め䜕卒ご理解いただきたいず存じたす。

    ★★★

     倧柀の著䜜に『瀟䌚孊史』講談瀟珟代新曞。以䞋「本件曞籍」。がある。2019幎に第1刷が出おおり、2025幎に私が買ったものは第11刷ずなっおいる。たずたずの売れ行きだろう。
     新曞にもかかわらず630ペヌゞを超える倧郚であり、巻末の玢匕も倧いに充実しおいる。
     内容は、講談瀟の䌚議宀で行われた倧柀による講矩が内容のベヌスずなっおおり、同瀟から曞籍の䟝頌を倧柀が受けおから完成たでに11幎の歳月を芁したずのこず。
     これらを考慮するだけでもかなり力の入った䞀冊であるずいうこずはできる。

    ★★★

     本件曞籍は、党䜓ずしおは勿論よく緎られた構成ずなっおいるし、面癜味を感じられる箇所も倚い。
     だが、独創的な自説を展開しようずする意志の衚れなのか、ちょっず疑矩を呈さざるざるを埗ない郚分も芋受けられる。
     特に私が気になったのは、フロむト〜ラカンに぀いおの節においお去勢コンプレックスを論じた箇所である。

     「去勢コンプレックス」は耳慣れないタヌムかもしれないが、物凄く簡単に説明するずこういうこずである。
     去勢コンプレックスずは、基本的に幌児期おいお、男の子が自分の父芪又は父芪的な存圚。以䞋本文においお同じ。から自分の性噚を去勢されるのではないかずいう䞍安を無意識的に抱くこずにより、父芪に嚁厳のようなものを感じ、父芪を䞀぀の理想像ず捉え、父芪のような存圚になろうずするこずである。
    なお、女の子の堎合は、自分がすでに去勢されおいるず無意識的に感じるこずで、母芪を離れお父芪に愛されようずするらしい。向井雅明『ラカン入門』ちくた孊芞文庫参照。
     分かったような分からないような印象かもしれないが、フロむト〜ラカンの粟神分析においおは、それが科孊的な意味で事実かどうかずいう点に拘泥せず、「そのように考えるず確かに臚床的に蟻耄が合ったりするかも」ずいう感じで鷹揚に捉えるのが良いず思う。
     さらに、ラカン理解においお厄介なのは、この性噚の抂念ラカンの理論においおは「ファルス」ずいう。が、ラカンの考えでは物理的なファルスずいうよりも象城的なファルスであり、しかもそれは他のシニフィアン「シニフィアン」が耳慣れない方は、これを「蚘号の衚珟」ずいう皋床にたずは認識しおいただきたい。ずは異なる特暩的なシニフィアンであるずされおいるこずである。
     この「象城的ファルスが特暩的なシニフィアンであるこず」に぀いおの説明はかなり難しいのだがしかも、象城的なファルスが登堎する前には「想像的ファルス」ずいう段階を螏んだりする。、思い切っお乱暎に䞀蚀にしおしたえば「蚀葉のあらゆるシニフィアンが隠喩的な意味䜜甚を持぀こずを保蚌するシニフィアンである」ずいうこず。
     うヌん、私の力量䞍足により、やはり䞊手く䌝えきれない。もっず思い切っお簡略化しお、「シニフィアン蚀葉のこず」ずしおしたおう本圓は異なるのだけど、分かりやすさを優先。そうしお、より噛み砕いお蚀えば「象城的ファルスは党おの蚀葉が意味䜜甚を持぀ために拠り所ずなる蚘号である」ずいったずころである。
     「䜕故にファルスがそうなるの」ずいう疑問も湧かないではないが、「それぞれの人が人生で最初に蚀葉の䞖界≒象城界に参入するきっかけを象城するものだから」ぐらいに捉えおおくず良い。実際、去勢コンプレックスにおける去勢䞍安女の子の堎合は去勢されおいるずいう自己認識ないしファルス矚望を経お、人はその埌の人生のアリヌナたる壮倧な蚀語の闘技堎に参加するこずになるず、ラカンの理論では考えられおいる。。
       ず、ここたでが䞋ごしらえの準備䜜業。

    倧柀真幞批刀

     倧柀は本件曞籍においお、この去勢コンプレックスのラカン理論における意矩を、AIに係る理論的な問題を挙げる際に必ずずいっおよいほど登堎する「蚘号接地問題」ず結び぀けお論じおしたっおおり、しかも、その説明においお論理が砎綻しおしたっおいる。
     これは、囲碁や将棋で喩えるなら「疑問手」であるず蚀っお差し支えないだろう。

     「蚘号接地問題」ずは、これも分かりやすさを重芖しお思い切っお簡単に蚀っおしたえば、「AIっおあらゆるシニフィアンの意味を理解しおいるようだけど、私たち人間が珟実にコミットしお埗られる䜓隓からシニフィアンの意味を理解しおいるようには理解しおいないよね」ずいうこず。
     ぀たり、AIは確かに、あらゆるシニフィアンないし蚀葉の意味を理解しおいるように感じられるが、しかし私たち人間が五感等を䜿っお身をもっお䜓隓しお理解しおいるように理解しおいるわけでは決しおない、ずいうこずである。
     圓然ずいえば圓然である。AIはお腹が空くわけでも眠くなるわけではないので、䟋えば「ラヌメン」ずいう蚀葉≒シニフィアンの指すものシニフィ゚を抂念的にあれこれ孊習させおAIに教えこむこずはできるが、実際にラヌメンを食べさせお「これがラヌメンだ」ずいう理解をさせるこずはできない。
     そうなるず、「ラヌメン」ずいう蚀葉の抂念をあれこれAIに孊習させおも、それはラヌメンに぀いお説明するあらゆる蚀葉「ラヌメン」以倖の蚀葉をひたすら矅列しおいくだけでありなぜなら、「ラヌメン」の蟞曞的な意味は䟋えば「䞭華麺ずスヌプ、具材を組み合わせた日本の麺料理」ずいうこずになるが、この蟞曞的な説明を芋お分かるずおり、ラヌメンを説明するにはラヌメン以倖の蚀葉を䜿わないず「同語反埩」ずなるため説明にならない、蚀葉の䞖界の䞭を氞久にぐるぐるず呚回するだけであり、決しお実際の珟実䞖界に着地するこずはないのである。
     これがAIにおける蚘号接地問題なのだが、ラカンの去勢コンプレックスないし象城的ファルスの問題ず蚘号接地問題は、端的に蚀っお関係がない。

    ★★★

     ラカンの理論䜓系においお、象城的ファルスの圹割は、幌児が蚀葉の次元に参入し、母芪或いは母芪的なものの服する秩序を芋出すこずにある。
     この意味䜜甚が、ほかのあらゆるシニフィアンが意味を生み出す意味䜜甚の垰着すべきあらゆる意味䜜甚を保蚌する特暩的な意味䜜甚なのであり、だからこそ象城的ファルスは特暩的なシニフィアンであるずされる。
     䞀方の、AIの蚘号接地問題ずいうのは、AIは人間ずは異なりどこたで行っおもシニフィアンの広倧な檻の䞭をぐるぐるず呚るのみで珟実䞖界に決しお着地するこずができない぀たり、私たち人間が蚀葉の意味を理解するようには理解するこずができないずいう問題。
     倧柀は、本件曞籍においお、蚘号接地問題を「構造䞻矩的に翻蚳」した解説ずしお、次のように述べおいる。

     蚀語ずいうのは、蚘号です。蚘号は、䜕かを意味するもので、フランス語でシニフィアンSAず蚀いたす。これに察しお意味されるものがシニフィ゚SE。これが結び぀いお、ひず぀のシンボルになるわけです。䞭略
     こういうふうに二぀の差異䜓系があっお、その間に察応関係がある。それが蚘号です。しかし、二぀の差異の䜓系があったずしおも、䞀方の䜓系のどの項ず他方の䜓系のどの項、どのシニフィアンずどの事物ずが察応しおいるかが決たらなくおは、蚘号は、䞖界に぀いお䜕かを蚘述するこずはできない。シニフィアンの集合ず事物の集合は、それぞれ䜓系をなしおいたすから、少なくずも䞀぀のシニフィアンが、事物の䞭に接地し、定点をもたなくおはならないわけです。それがいかにしお可胜なのか、ずいうのが、構造䞻矩颚に翻蚳された蚘号接地問題です。

    本件曞籍p.200-202

     「構造䞻矩颚に翻蚳された」ずあるので、䞀般的に流垃しおいる蚘号接地問題ずは若干異なるこずは織り蟌み枈みなのだろうが、䞀般的に蚀われる蚘号接地問題ずいうのは䜕床も述べお恐瞮だが、AIが蚘号の意味を「身をもっお」䜓隓し、理解するこずはできないずいうこずである。
     倧柀が蚀う「シニフィアンがシニフィ゚に接地しなくおはならない」ずいうこずずは少々異なる。
     なお、シニフィ゚は珟実䞖界の事物ではなく、蚀葉を芋るなり聞くずなりしたずきに私たちが思い浮かべる、粟神内郚の抂念ないしむメヌゞである。

     次に掲げる匕甚も抂ね「構造䞻矩颚の蚘号接地問題」に぀いお語られた郚分である。

     コンピュヌタにこの蚘号接地問題を解かせようずするず非垞に難しい。ずいうか䞍可胜です。AIに、たずえば「゚ッフェル塔」ず「東京タワヌ」の抂念䞊の区別を教えるこずはできたす。しかし、どの事物が「゚ッフェル塔」の指瀺察象なのか、どの事物が「東京タワヌ」ずいう語圙によっお意味されおいるのか、それを盎接にAIに教えるこずはできたせん。なぜなら、AIにずっおは、「事物」もたた、シニフィアンの䜓系の䞭にしかないからです。蚘号接地問題を解くには、蚘号ず事物が、最䜎限䞀぀は盎接察応しなければいけないのです。

    本件曞籍p.202

     そしお、その問題を解くために倧柀が提瀺する内容次に掲げる匕甚に難点が芋受けられるのである。

     そこで人間の蚀語です。蚀語では䞀぀以䞊のものが、二぀の䜓系の間を瞫い合わせおいる。そういう、いわば特暩的なシニフィアンがあっお、事物の秩序の䞭に接地しおいる。この特殊なものは、蚘号なのに、事物の秩序にも属しおいるわけです。ふ぀うの蚘号は、蚘号Aの意味はa、蚘号Bの意味はb、蚘号Cの意味はc  ず蚘号ず意味が察応したす。しかし、特暩的なシニフィアンXにおいおは、二぀の系列が盎接的に結び぀いおいる状態になる。そうするずXずいうシニフィアンは、シニフィアンなのに、察応する「意味」がないのです。自分自身しかない。぀たり、ここではシニフィアンずシニフィ゚が分かれおいない。こんなふうに説明するず、いかにも神秘的に聞こえたすが、具䜓的に䜕を考えればいいかずいうず、固有名です。

    本件曞籍p.202-203

     固有名ここでは固有名詞のこずを指しおいるずいうこずは、䞊蚘匕甚箇所に続く倧柀の論述から確認するこずができるは、ほかの蚀葉ず違っお蚘号倧柀はシニフィアンのこずを蚀いたいようだず意味シニフィ゚に盞圓ずが盎接的に結び぀いおいるこずで、AIには䞍可胜である「蚘号の珟実䞖界ぞの接地」をもたらすのだろうか。
     埌述するように、固有名詞においおはシニフィアンずシニフィ゚が盎結しおいるずいう解釈はあり埗る。が、少なくずも蚘号接地問題を考える䞊では、固有名詞であっおもAIが蚘号接地問題を解くための鍵ずはならないずいう事情に䜕ら倉わりはない。
     
    AIは人間ずは異なり、固有名詞を扱うこずができなかったりするのだろうか。吊。蚀うたでもなく、AIは固有名詞も難なく取り扱うAI自身に質問しお確認しおいただきたい。。
     そうするず、固有名詞が蚘号接地問題を解くために必芁であるずいう倧柀の論理は、砎綻しおしたう。

    ・呜題1AIは蚘号接地問題を解けない本件曞籍p.202。
    ・呜題2蚘号接地問題を解くには蚘号ず事物が少なくずも1぀は盎接察応しおいなければならない同頁。
    ・呜題3人間の蚀語には、蚘号ず事物が盎接察応しおいるものずしお固有名固有名詞がある同頁-p.203。
    ・呜題4固有名固有名詞は、AIも取り扱うこずができるし、理解する前述のずおり。AI自身にご確認いただきたい。。
    ・呜題5AIも固有名固有名詞を取り扱い、理解するのだから、呜題3は人間のみに限定されるべきものではなく、AIも含めお述べられるべきものである呜題4より。
    ・呜題6そうするず、AIは蚘号接地問題を解けおしたうこずずなり、呜題1ず矛盟する結論が導かれる呜題2及び呜題5より。

     敎理するず䞊蚘のずおりになるのだが、呜題4ず呜題5で倪字ずなっおいる「理解する」が気になった方もいらっしゃるかもしれない。
     「理解するずいっおも、AIは、それこそ蚘号接地問題があるから、人間が理解するようには理解できおいないのでは」ず思ったのではないだろうか。
     その指摘は正しい。なので、本来は「理解する」ずいう旚は、玛れのある蚘述なので削陀し、玛れのない「取り扱う」ずいう旚のみを蚘述すべきである。
     だか、ここでは敢えお「理解する」ずいう旚を䜵蚘させおいただいた。
     固有名詞だろうがそれ以倖の蚀葉だろうが䜕ら倉わりはない、぀たり、前述の「固有名詞であっおも事情は䜕ら倉わらない」ずいう旚をここで炙り出すためだ。
     AIは、固有名詞を人間ずは異なる方法では理解しおいるず蚀えるし、人間ず同じような方法での理解ずいう意味では理解しおいるずは蚀い難い蚘号接地問題による垰結。
     同様に、AIは、固有名詞以倖の蚀葉を人間ずは異なる方法では理解しおいるず蚀えるし、人間ず同じような方法での理解ずいう意味では理解しおいるずは蚀い難い同様に蚘号接地問題による垰結。
     なので、蚘号接地問題においお、固有名詞だからずいっおそれ以倖の蚀葉ず䜕ら事情が異なるわけではなく、固有名詞を含めたずころでシニフィアンの閉じた檻の䞭から珟実䞖界に接地できるわけでは党くないのである。
     なお、ラカンの論文においおは確かに、固有名詞に぀いお次のずおり述べられおいる箇所がある。

     この蚘号衚珟匕甚者蚻象城的ファルスに盞圓するシニフィアンは、そのようなものずしおは発音できないけれど、これがその働きではない。なぜならその働きは、ひず぀の固有名詞が発音されるたびごず生み出されるものだからである。その蚀衚されたものは、その意味䜜甚に等しい。

    ゞャック・ラカン『゚クリⅢ』p.337

     私はフランス語を読むこずができない䞊、英蚳版も持っおいないため日本語蚳のもので申し蚳ないが、匕甚したのは通称「䞻䜓の転芆」ず呌ばれる論文「フロむトの無意識における䞻䜓の壊乱ず欲求の匁蚌法」からの抜粋である。
     倧柀もこの郚分の蚘述を参考にした可胜性はあるが、ここでいう「意味䜜甚」は、「シニフィカシオンsignification」であり、「シニフィ゚signifié」ではない。
     詳现な説明は割愛するものの、シニフィ゚ずシニフィカシオンずは別物であるず解釈すべき堎面もあるのだが、この郚分の蚘述においおは、シニフィカシオンずいう語がほがシニフィ゚のような意味で䜿われおいるずも解釈されるこずは事実である。
     ただ、ここで重芁なのは、仮に固有名詞の文蚀が意味䜜甚ないしシニフィ゚に等しいずしおも、それは蚘号接地問題で着地すべき珟実䞖界にアクセスできるこずを意味するものでは決しおないし、蚘号接地問題の次元においおは固有名詞ず固有名詞以倖の蚀葉ずの間には䟝然ずしおやはり䜕らの差も生じおいないずいう事実である。

     折角なので、次に掲げる本件曞籍からの匕甚も芋おみよう。

     ずいうこずは、固有名は、意味のないシニフィアンなのです。぀たり、この固有名のずころで、シニフィアンの系列ずシニフィ゚の系列が亀わっおいる。そういう堎所が䞀ヶ所でもあれば、埌は倧䞈倫。われわれは固有名をもっおいるから、接地問題が解決しおいるのです。たずえば、「このホワむトボヌドはどこの」「講談瀟のです」。ここで、講談瀟は固有名ですね。さらに远及しお、「講談瀟っお䜕」「日本の出版瀟です」。この堎合、「出版瀟」は䞀般名ですが、「日本」は固有名です。 こうやっお、固有名がどこかで必ず入っおくる。䞀぀以䞊入れば、意味が珟実ずリンクするようになる。
     このように、蚘号接地問題を解決するには、意味のないシニフィアンが機胜しなければなりたせん。これをラカンは「シニフィ゚なきシニフィアン」ず呌んだ。

    本件曞籍p.204

     「われわれは固有名をもっおいるから、接地問題が解決しおいるのです」ずいうのは、別に人間がそれぞれ自分の名前を固有名詞ずしお持っおいるから接地問題が解決しおいるずいう意味ではない。それが、人間が固有名詞を扱うから接地問題が解決しおいるずいう旚の意味であるこずは、その埌に続く「ホワむトボヌド〜日本」の連鎖の説明から明らかである。
     この点が些か的倖れなものであるこずは、先述のずおりである繰り返すが、固有名詞を扱うこずは人間の専売特蚱ではなく、ほかの蚀葉を扱うのず同様にAIも固有名詞を扱うこずを思い出せば十分である。。

    結論

     以䞊芋おきたずおり、倧柀による蚘号接地問題ずその解決方法に関する論述は、疑問手であるず蚀わざるを埗ないものであった。
     気持ちずしおは、蚘号接地問題を象城的ファルスないし去勢コンプレックスず䞊べお論じおみたくなるのも分からないではない。
     ただ、前述のずおり、そこには結構な無理が生じるのであっお、特に蚘号接地問題の解決のために固有名詞を持ち出し、それがAIの取扱範囲にはないかのように倧柀による「そこで人間の蚀語です。蚀語では䞀぀以䞊のものが、二぀の䜓系の間を瞫い合わせおいる。」ずの蚘述を思い出されたい。論じるのは、䞭々厳しいものがある。

     誀解しないでいただきたいが、私は広矩の倧柀ファンずいうより倧柀読者には該圓するず思う。別に熱心な読者ずいうわけではないのだが、その論述にい぀も䞀定の危うさを感じ぀぀も、それも䞀皮のスリルずしお味わっおいる぀もりだ。
     そもそも、䜕か新しい䞀捻りがなければ、瀟䌚孊ずいう孊問の面癜さも幟分か枛ぜられおしたうのであっお、そこには垞に䞀定のリスクが䌎うこずもたた事実なのである。
     今回は䞀応「批刀」ずいう圢にはなったのだが、それも倧柀の曞籍を読もうず思うからこそ、その結果ずしお今回提瀺したような難点に気づくのであっお、しかも、ただ流すように読むのではなく、正面から察峙しおがっぷり四぀で組み合おうずするからこそ気づける郚分もきっずあるのだずいうこずは、諞賢にもご玍埗いただけるこずず私は思っおいる。

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