100g・2日分
「100g・2日分」
1日があまりにも長く、1週間があまりにも短い今。
何もしていない1日に焦りを感じ、夜慌てて散歩へと向かう。
大きなありきたりな国道沿いしか散歩ができるような道がない街に住んでいる。
よって、見える景色にも飽きている。
大きな赤い高い看板がそびえたつ牛丼屋。
駅前の1等地にあったのに潰れた某黄色のコンビニの跡地。
仏壇屋さんは石像を外にも置いているから、夜歩くと少しだけなんかゾッとする。
自分を少しでも機嫌よくするためにきのこ帝国のクロノスタシスを耳元で流しながら口ずさむ。
「コンビニエンスストアで3・5・0mlのJJ買って」
缶ビールは苦手だからJJにしている。
そしてぐびっと1口。
「これの何が楽しいんだよ」、誰にも届かないけれど帰路に就く。
一体全体何が楽しくて生きているのかすら見失ったけれど、生憎今日も生きている。
死にたい理由も見当たらない。だから多分明日も、来週も生きているだろう。
次の日、朝家のチャイムが鳴った。
緑色の宅配便のお兄さん。
届いたのは、誕生日祝いで会社の先輩からいただいたLINEギフト。
ありがたい、とても愛されていることを実感する。
開けてみると冷凍になった焼き肉用の牛タン。
味噌漬け100gと塩味100g。
冷凍になっているから冷蔵庫に入れて自然解凍するまでに丸1日かかるらしい。
次の日、解凍した100gをありがたく1人で焼いて食べた。
味噌味を嚙み締めたら、その人の思いがあふれてきてなんだか泣けてきた。
もう100gある。
あー、あと2日、生きる理由ができちゃったなあ。
困った、愛されちゃった、死にたくないや。