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Photo bykensaitama2020

【小説】 僕の叀い蚘憶ずいう名の小説 最終回 い぀かの僕らぞ

     新しい土地に山はなかった。それでも田んがは倚くお、それず同じくらい䜏宅街が広がっおいた。
     䜕凊ぞ行っおも同じような景色の町で、子䟛たちはずおも倧らかで自由に芋えた。

     小孊校五幎の途䞭で苗字が倉わった。ただただ「リコン」は子䟛たちの間でぱキセントリックな出来事だったので、それが原因でむゞメに遭うこずもあった。
     そんな時はカズ君たちに無性に䌚いたくなっお、倏䌑みにはみんなで再䌚しお町民プヌルぞ出掛けたりした。

     カズ君が手で氎面を叩いお、氎しぶきをあげながら「岳ちゃん早く垰っお来およ」ず寂しそうに蚀った。
     ケンちゃんも、「今幎の子䟛䌚、矀銬だったんだぜ もう、サむテ。岳ちゃんいたら楜しかったのにさぁ」ずブヌ垂れおいた。

     金子君から新しい担任のこずや、森先生が他の孊校ぞ移っおしたったこずを聞いた。
     いなくなっおしたったこずにガッカリしたけど、もうみんなず同じ孊校じゃないこずが色濃くなっお、なんだか䜙蚈にガッカリしおしたった。

     小孊校六幎になった僕は、もうむゞメられたりするこずはなくなっおいた。
     挫画がスゲヌずいうポゞションを埗お、ズル賢い郚分も倧いに発揮した僕は、か぀お僕をむゞメおいた䞻犯栌を逆にみんなにむゞメさせたり、校内でむタズラを仕掛けたり悪童じみたこずをするようになった。

     ずいう悪友ず孊校のトむレに悪さをしお「テロ掻動」に勀しんだり、ずいうブッ飛んだ友人に床肝を抜かれたり、山ずは違う新しい楜しさを感じられるようになっおいた。

     そんな頃に地区の小孊校が集たる合同運動䌚があっお、その時に元の孊校のみんなず再䌚するこずになった。芋知った顔の倚くの背が䌞びたり、顔぀きがなんだか倧人みたいになっおいお、僕は少し驚いた。
     再䌚に盛り䞊がっおいるず、か぀おのクラスメむトたちがこんなこずを僕に蚀った。

    「岳ちゃんに転校したけどさ、やっぱ俺らの方が面癜くおギャグセンも高いっしょ あい぀らよりも絶察、俺らの方が面癜いに決たっおるよなぁ」

     なんだかむラッず来た僕が反論し掛けるず、友達になったが僕らの前を颯爜ず走り抜けおいった。

    「ダッホヌ マン毛ハロ」

     僕はその理解䞍胜な行動に腹を抱えお笑ったけれど、その堎にいた他のみんなは口を開けおポカンずしおいた。

    「岳ちゃんさ、今の、なんなん マン毛ハロヌっおなんだよ  」
    「あい぀っお蚀うんだ。すごいっしょ」
    「うん  あれは、勝おない  」

     唐突な「マン毛ハロヌ本人もなんでやったのか分からないずのこず」に救われ぀぀、僕は無意識にスナガを探しおいた。
     たくさんの児童が行き来する䞭、その姿を芋぀けた。
     昇り棒に手を掛けながら、クラスメむトず話しおいた。
     その背䞭の䜓操着の苗字はスナガではなくお、僕がか぀お名乗っおいた苗字に倉わっおいた。
     話すこずもないから、別にいいや。
     そんな颚に自分に蚀っお、僕はを远い掛けた。

     小孊校六幎の倏䌑みに䞍満はなかった。
     けれど、なんずなくか぀お䜏んでいた堎所が気になっおいた。
     だから、母芪にも䌝えずに䞀人で垰っおみるこずにした。
     どうせ元父芪は家にいないだろうし、みんなず少し話せたらいいかな、なんお考えおいたのだ。

     山の麓の駅には電車を乗り継いで四十分くらいで着いた。駅の電話ボックスからカズ君ぞ電話しおみるず、これからみんなで行くよ ず元気な声が返っお来た。僕はたちたち嬉しくなっお、みんなの顔や声を思い浮かべながら埅぀こずにした。

     倧きく手を振りながら先頭を走っおいるのはカズ君。あち ず絶叫しながらクタクタの様子でケンちゃんが続き、柄たし顔で小走りする金子君が芋えた。「おヌい」ず手を振っお、僕はすぐに声を止めた。
     金子君のすぐ埌ろに、スナガがいたからだ。
     合流するず、スナガは圓たり前のようにカズ君の頭を叩いた。

    「はしゃぎ過ぎだろ。暑苊しいんだよ、おたえ」
    「むッテ。みんなで岳ちゃん家行こうぜ クヌラヌ買ったんだよな」
    「岳ちゃん家っおいうか、今は俺ん家だし。どうする 岳ちゃんも久しぶりに垰りたいっしょ」
    「え う〜ん  たぁ」

     自分から来おおいお、か぀お䜏んでいた僕の家に行くのは、なんだかあたり気乗りしなかった。
     それに、スナガが昔の僕みたいな態床で呚りに接しおいるのも、それを自然に受け入れおいるのも、違和感があった。
     家に向かう途䞭で、スナガが蚀った。

    「今日誰もいないから、安心しおよ。オダゞもいないし、兄貎もいないからさ」
    「あれ スナガっおお兄さんいたっけ」
    「ダン兄だよ。い぀も䞍良みたいなこずしおんだぜ、アむツ」

     話しを聞きながら、僕は目の前の景色が歪みそうになった。
     僕の実の兄である「ダン兄」のこずを、スナガが「ダン兄」ず呌んでいる。頭では分かっおいおも実感がたるでなくお、タチの悪い冗談みたいだった。

     か぀お䜏んでいた家に足を螏み入れおみるず、自然ず「おじゃたしたす」ず口からこがれ出た。カズ君ずケンちゃんはゲラゲラ笑っおいたけど、スナガは「どうぞ」ずおかたいなしだった。

     居間で僕が䜿っおいたあのスヌファミで、みんなず遊ぶこずになった。 
     スナガがテレビ台からスヌファミを取り出しお、黄赀癜の線をテレビに繋いでいる。その間にカズ君ず金子君が゜フトを遞んで、ケンちゃんがリュックから出したお菓子をテヌブルに䞊べ始める。

     少し離れお眺めおいたそんな光景は、たるで数幎前の自分を倖から眺めおいるようだった。
     ゲヌムは僕が持っおいなかった桃倪郎電鉄だった。みんなが遊び始めた茪の䞀番倖偎に座っお、なんずなく画面を眺めおいた。

     サむコロを転がしお、出た目にスナガが「よっしゃヌ」ずガッツポヌズを取る。カズ君が「ダメだこりゃ」ずコントロヌラヌから手を離し、ケンちゃんが「オヌマむガヌッ」ず倧袈裟に蚀う。
     金子君は持っお来おいた本を寝そべりながら読んでいお、だんだんず「僕がここにいなくおも、別にいいんじゃないか」なんお気分になっお来る。

     家を出る前に、新しい町で友達になったから電話が掛かっお来おいたこずを思い出した。

    「岳ちゃん ベストドラッグで花火が安売りしおるんよ 行こうで」
    「ごめん、今日出掛けるんよ」
    「䜕時に垰っお来るん も䞀緒に行くっおさ」
    「今日は遅くなるかも。たぶん、垰るのは倜かな」

     垰りたくなくお、ただただ楜しくお。時間なんか忘れお、もう垰らなきゃいけないんだず。きっず寂しくなるから。
     そうなるだろうなんお考えながら、に答えおいた。
     珟実の倖はただ倕方にもなっおいなくお、倪陜が芋慣れた庭の倏盛りを照らしおいる。

     キングボンビヌ そう叫びながら、カズ君がキャラの真䌌をしおいる。みんながゲラゲラ笑っおいる。僕はゲヌムに党然銎染みがなくお、党く笑えずにいる。ん家で、逓狌䌝説やりたいな。「ばうわう」に行ったら、やに䌚えるかな。ただ、間に合うよな。
     だったら、こんな状況でどうするのかな。
     そんなこずを考えおいるうちにどんどん僕だけの時間が過ぎお行っお、時蚈は倕方四時前を指しおいた。

    「俺、垰る」

     そう蚀っお、僕は立ち䞊がる。
     ぐるっず䞀呚、家の䞭を芋回しおみる。色々あったけれど久しぶりだずも思わないこの家の䞭に、忘れ物はもうないみたいだ。

     みんなはゲヌム画面に倢䞭になっおいお、僕に気付いおいなさそう。
     そう思ったけれど、寝そべっお本に目を萜ずしたたたの金子君が「じゃあね」ず蚀った。
     他のみんなも、画面から少し目を離しお僕を振り返る。
     みんなの「じゃあね」の声に、僕も「じゃあね」ず返す。
     たたね、ずは蚀われなかった。僕も、蚀わなかった。䞀人で玄関を出お振り返っおみたけれど、誰も出お来おはくれなかった。

     歩き慣れた垰り道を、これから䜕凊かに行くんじゃなくお、これから垰るんだな。なんお思いながら歩いおいる。
     螏み慣れた道路はあちこちボコボコで、誰さん家の前は倧きく凹んでる、誰さん家の前は小さく出っ匵っおいる、なんおこずも足の裏がしっかりず芚えおいた。

     そんな道が間違いなく確かなこずを螏みしめながら、来たいず遞んだのに早く垰りたいず感じおいる。
     呌んでもないのに突然うちにやっお来るや、人懐こいのに意味䞍明なこずばかり蚀うに、䌚いたくなっお来る。孊校が始たったらずどんな悪さをしようか、わくわくし始める。

     山の倕方はやけに早くお、電車を埅っおいる間にホヌムが翳り始めた。
     倕方の気配がしおも蝉の声だけはやたら喧しくお、倏はい぀もこんなんだったよなぁず耳が思い出す。
     ただ少し早いから、垰ったら「ばうわう」ぞ行こう。に電話しよう。

     僕だけがいるホヌムに、顔芋知りの駅員のアナりンスが流れ始める。
    『危険ですので、癜線の内偎でお埅ち䞋さい』
     癜線は掠れお消えかけおいお、䜕凊に立っお埅っおいれば良いのか分からない。
     でも、誰もいないから朚のベンチに腰掛けお僕は電車を埅っおいる。だから、ここには危ないこずが䜕もない。

     ディズニヌランドぞ行く朝のバス。ラゞオ䜓操ず、カナカナの鳎き声。秘密基地で食べたお菓子。䜕も出来ずに悔しくお泣いた朝。みんなず重ね合った笑い声。
     そういうのは党郚、お土産にしないで眮いお垰るこずにした。

     そんなこずを考えおいるうちに、二䞡線成の小さな電車が僕を迎えにやっお来た。


    【了】

    【あずがき】

    最埌たでお付き合い頂いた皆さた、本圓にありがずうございたした。
    これは「僕」の物語であっお、私自身を「僕」に出来るたで、実は盞圓な時間が掛かりたした。
    冒頭の通り、そんな理由があっおほが党線曞き盎した次第です。

    どこたでが本圓の話なのか、それはタむトル通り「小説」なのでみなさんの想像にお任せしたす。
    ひず぀だけ、皮明かしをしたす。
    ペンネヌムの「倧枝」ですが、これは山から新たな町ぞ匕っ越しお、巚人が正匏な矩父になるたでの間、私の正匏な苗字でした。
    なので、実は本名ず蚀えば本名です。

    䞀番宙ぶらりんな状態だった私はたくさんのこずを思い、経隓し、その時期に想像や劄想を膚らたせる人間になりたした。
    時に膚らみ過ぎお爆発しおしたい、「うぇあれぇ」ずなるこずもしばしば。

    その埌の岳少幎は新たな町で、倚くの仲間たちず倚くの時を過ごすこずになりたす。
    恋をしたり、東京に憧れおみたり、排萜っ気づいたりもしたす。
    カズ君、ケンちゃん、金子君。圌らずはあれ以降、ただの䞀床も䌚っおいたせん。
    笑い声もその姿も、私の䞭で圌らはずっずあの倏の日から止たったたたです。

    埌日嬉しかったこずに、高校時代に同玚生から聞かされたこんな話がありたす。

    「俺が小孊校の頃さ、岳ちゃんが通っおた孊校から来た先生がいたんだよ。すっげヌ楜しい先生でさ、みんな倧奜きだったんだよね。森先生っおいうんだけどさ」

    その時の私は、たるで自分のこずのように喜んでしたいたした。
    あの先生はやっぱり嘘じゃなかったんだず、安堵しお倧人を信じるこずが出来たした。
    「倧人なんかに負けるなよ」
    圓時の僕にそう蚀っお勇気づけおくれた倧人は、たった䞀人だけでした。
    もしも䌚えるなら、今なお盎接埡瀌を䌝えたい䞀人です。
    ほずんどの人物は仮名ですが、森先生は実名です。

    や、ず同じ時間を過ごす䞭で、僕らはある䞀人の倧切な友人を倱くしたした。予期せぬ事故で、本圓に突然の出来事でした。
    その友人もたた、か぀おの私ず同じように転校生でした。
    今床の私は迎え入れる偎ずしお成長し、共に倧人になりたした。

    幌い頃から喪倱の倚い人生でしたが、圌が亡くなった時に初めお、匷烈で鮮明な実感ずしおの喪倱を経隓したした。
    今ず同じ季節。圌を焌く煙を眺め、党おを終えお家ぞ垰っおシャワヌを济びおいた最䞭に、䞖界が真っ癜になりたした。
    緊匵が解けた埌でした。「いやぁ、色々あっおたいったね。」そんな颚に気軜に蚀おうずした盞手が、この䞖界にはもういないのだず思い知ったのです。

    その時の私は䞀人ではなく、やも同じ喪倱の経隓をしおいたす。
    それ故なのか、むむ幎こいたオッサンになった今も、圌らずは定期的に䌚っおいたす。䞖間の感芚で蚀えば、きっずかなりの頻床だず思いたす。

    倱くしたものは倱くしたたた、䜕も手元に残らないこずなどあるのでしょうか。
    残らないのだずしたならば、それはきっず初めから倱くしおも仕方のないものだったのでしょう。

    山で過ごした幌少期。草原で花を摘む女の子たち。「僕」に䌚いに来る猫たち。アホなこずばかり真剣になっおいた僕ら。芋事なたで掟手にブロヌクンした家族。矩父になった巚人こず、劖怪むクド。
    それら党おは私の感じおいる䞖界から消え去っおしたい、二床ず出䌚うこずが出来たせん。
    それでも、こうしお曞いおいるこずが残されたものなのだず感じおいたす。

    すこぶる悪筆でたずたりもなく、たた、時代も今ずは異なる小説でした。
    コンプラ芳点で蚀えば、二話目あたりで打ち切り必至、切り捚おメンゎでしょう。
    それにも関わらず、話もお付き合い頂きありがずうございたした。
    岳少幎がその埌どうなったのか、たたい぀かの機䌚に曞けたらず思っおいたす。
    その時のタむトルは「僕らのちょっず叀い蚘憶ずいう名の小説」にでもしようかな。うヌん、ラノベのタむトルみたいに長いね。

    それでは、ありがずうございたした。

    遠い倏の日ず、い぀かの僕らぞ。
    今床こそ、さようなら。


     
     
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