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境界線のはなし

    最近、前の家の人が、アパートの共用部分になんのかんのと置いている。
    雨具や段ボール箱が増えたり、減ったり。
    見栄えは悪い。玄関を開けるたび目に入る。
    ただこれが、ちょうど半分からこちらのスペースは侵さないように細心の注意がはらわれている。
    荷物からそういう、控えめな気遣いの空気が感じられる。
    だから、文句も言えない。

    これが大幅にはみ出していたり、例えば非常識なもの、ゴミとかだったら、「よっこいせ」と腰を上げて「どれお話しましょうか」となるのですが、
    うーーん、なんというか、燃料が足りない。
    これで言ったらなんか、ケツの穴ちっちゃくない?ってレベルで、
    小うるさい隣人としてこちらが認定されるのも嫌だ。

    おそらく常識のあるご家族で「こっちからこっちは自分家なので、自由にさせてもらいますよー。お宅も自由になさっていいですよー」の精神だと思う。
    なのでうちも何か置いたら、多分あちら様はほっとすると思う。
    私だったらほっとする。
    ああ、同じマインドの人なんだなと。許された感じがすると思う。
    だから私は絶対置かないぞ、と心に決めてしまった。

    なのでアマゾンとかの置き配がきたら、あわてて回収する。
    「うちは常設ではないですよー、一時的なものですよー、同じマインドではないですよー」
    なんとも器の小さい人間だなあと自分でも思う。
    これでは大成しない。ああ、所ジョージになりたい。

     
     
    演劇ユニット「ばぶれるりぐる」の主宰、劇作家。

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