
去年は「マジかよ」、今年は「すげえ」になった——AI時代の生き方
声が出る、ということがあります。
仕事の途中で、思わず「すげえ」と言っている。
去年は「マジかよ」でした。今年は「すげえ」です。
この違いが、なんだか大事な気がしています。
画像生成AIがやってきたとき、CGを30年近くやってきた僕でも、正直「マジかよ」と思いました。驚きと、ほんの少しの恐怖が混ざった感覚でした。こんなことができてしまうのか、と。
今年の「すげえ」は、少し違います。
音声でAIと話しながら、仕事を進めているとき。散らばっていた考えが、話しながら分類されていく。その流れを見ていると、つい声が出ます。
あの驚きとは、種類が違う気がしています。手品を見ていた側から、一緒に何かをしている感覚に変わった、とでも言うのでしょうか。なんだかうまく言えないのですが、そういう感じです。
僕は、キャラクターデザイナーであり、クリエイティブディレクターでもあります。
日常の中に気づきを見つけること。小さな観察を積み重ねること。そこから、キャラクターをデザインし、絵本の世界を考え、noteの記事や物語のアイデアを転がしていく。
いまも、いくつもの絵本の企画やラフが同時に動いています。その制作途中のことも、これから少しずつ書いていこうと思っています。
LINEスタンプひとつとっても、企画の方向を考えて、キャラクターの種類、表情、動きまで考えていく。頭の中で何度もイメージを動かして、形にしていく。
その「形にする前」の時間が、実はいちばん混沌としています。まだ絵にも文章にもなっていない。けれど、何かになりそうなものが、頭の中にたくさん散らばっている。
その段階でAIと話せるようになったことが、僕にはかなり大きいのだと思います。
何年分ものアイデアや観察メモが、頭の中にも、ファイルの中にも、スマホの中にも、あります。自分でも把握しきれないくらい。そこに企画中の作品も加わると、もう数え切れません。
ただ、メモはメモのままでは、どこへもいきません。整理して、並べて、選んで、形にしていく。そこにずいぶん時間がかかっていました。
今は、AIと話しながら、それができるようになりました。なんだかそこが、大きく変わった気がしています。
AIに丸投げしているというより、頭の中に散らばっていたものを、一緒に机の上へ並べてもらっている感覚に近いです。
これはこっち。これはあとで。これは記事になる。これはまだ寝かせておく。
そんなふうに、考えの置き場所が決まっていく。それだけで、次の一歩がずいぶん軽くなります。
だからといって、AIに全部を任せたいわけではありません。
机の上には、MacBook Proと大きなモニター。液晶タブレット、鉛筆、消しゴム、ミリペン、プロッキー、小さなスケッチブック。後ろにはアクリル絵の具も置いてあります。
デジタルの道具と、手で触れられるアナログの道具が、同じ場所に並んでいる。
テクノロジーに抗わない、というのが僕の考え方です。
変化は止められないし、止める必要もない。
1999年に仕事を始めて、世界は何度も変わりました。でも今のAIの変化のスピードは、正直想像を超えています。小さな頃に心躍らせていたSFの世界が、来たと思っています。
ただ、変わってはいけないものもある。
変わるものと、変わらないもの。
クリエイターとして、そこだけは意識し続けたいと思っています。
AIで整理する。声で話す。手で描く。最後は、自分の感覚で選ぶ。
その行ったり来たりが、今いちばん面白い時間です。
今日も、どこかで小さな「すげえ」を。
あとがき
「Taka’s Talk」は、日常の中の小さな気づきを、ゆっくりと言葉にしていくシリーズです。
AIやテクノロジーの話題も、人の感性や心の余白といっしょに描いています。
速さよりも、深さを。
コーヒーを片手に、ながら読みでどうぞ。
杉田崇(Taka)|エストループ(AESTROOP)
キャラクターデザイナー/クリエイティブディレクター
日常と創作のあいだにある「心の余白」をテーマに発信しています。
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