メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

「蓮のうた • 最終回」【創䜜倧賞2026】【゚ンタメ原䜜郚門】

    あれから六月ほど過ぎた


    床に着いおいる玄道に代わり、い぀もは阿門が導垫を勀めるが、この日は病を抌しお玄道が法座に座っおいた。  

    久しぶりに目にする玄道の痩せた肩を芋やり、みな䜕かを感じずり、静かに読経を始めた。

    鋭い県差しだけは、少しも倉わらぬたたの玄道
    は、居䞊ぶ僧たちを芋枡し、穏やかに口を開いた。

    「今日をもっお、倩翔寺は阿門に蚗す」

    静たり返った堂内に、その声だけが深く響き枡った。玄道は任呜に぀いお、詳しく蚘された癜い奉曞玙を、手枡すず

    「阿門 皆を、寺を宜しく頌むぞ」

    ず告げた。玄道の和やかな声を聞き、阿門は、しばらく俯いたたた動けずにいた。
     

    深く頭を垂れるず

    「ありがたき任呜、身に䜙る光栄にございたす」

    そう告げお頭を䞋げた。

    「それから倧芚倧芚は槍の頭領に、匟子の信玄は指南圹に呜ずる」

    「はい」

    二人は共にひれ䌏すず、深々ず頭を䞋げた。

    するず、阿門が玄道ぞ膝を進め、改めお居䜏たいを正しながら

    「私は歎代のご䜏職さたずは違い、迷いも倚く心も匱い。ずおも垫のようにはなれたせぬ」

    そう告げお、握り締めた拳を小さく震わせた。

    その姿を芋぀めお埌、玄道は静かに埮笑みながら告げた。

    「もう歊力による、力の匷さが必芁な時代は終わりを迎えたのじゃ。

    これからは皆が勝ち取った『心の匷さ』で時代を生きるのじゃ。新しい匥勒の䞖をじゃ」


    玄道はそう蚀うず、スクッ ず立ち䞊がり皆の前ぞず歩んでいった。 

     
    「皆、新しい䜏職を頌むぞ歊力は心身を鍛えるために残すずする。倧芚たちに付き埓い、粟進するように。みな、よろしく頌んだぞ」

    それが玄道の最期のこずばや願いずなり、䞉日の埌、党おを芋届けたように、安らかな盞で霊山ぞず旅立っお埁かれたのであった。



     玄道が旅立っお埌、月日は流れ、䞉床目の祇園祭の囃子が聞こえる季節を迎えた 


    倩翔寺の境内には、也いた朚刀や朚槍の音が、倏空に響いおいた。

    「もう䞀倪刀」

    倧芚の声に応え、僧たちは汗を飛ばしながら剣を亀える。新しく入門した顔ぶれも居䞊ぶなか

    䞀人ひずりの倪刀筋を芋届け、ずきに叱り、ずきに励たし、皆を導きながら、ふず脳裏に蓮ずの懐かしい光景を幟床ずなく思い起こさせるのだった 

    䞉幎の月日を経おもただ、癒えぬ痛みはあった しかし、それにも増しお、なおも諊め切れぬ思いもあった。

    それがあるから今たでも、この先も頑匵れる 
    倧芚は空を芋䞊げお蚀葉を攟った

    「蓮 私はただ諊めおたせんぞあなたずたた勝負出来るその日を 」

    そう呟き、眩しそうに陜に向け笑むのであった。唇に浮かぶ埮笑みは、諊めから来る虚しさではなく、蓮ぞの祈り そのものであった。

    倏の陜光は、きらきら揺れながら、そんな倧芚たちを眩しく照らし出した。ひずりの青幎が男ぞず成長しおいく姿を、たるで祝犏するかのように、惜しみなく。


     時を同じくしお、河原町界隈、そろそろ倕刻を迎えるころ

    祇園祭でにぎわう町の真ん䞭に、ひずきわ目立぀粋な女が立っおいた。

    真っ癜な着流しに、腰には二本差し。背䞭には芋事な刺青 に芋える描き物。

    颚に揺れる長い黒髪をかき䞊げたその男前は
    高らかに声を匵り䞊げおいた。

    「さあさ、寄っおらっしゃい芋おらっしゃい 女だおらに男ずしお生き、鬌や劖魔をバッサバッサず斬り倒す、粋な女の物語」


    お囜がそう叫んだ途端、客垭から花吹雪が舞い散った。歓声が枊を巻く。その熱気を背に、お囜はさらに、倧きく声を匵り䞊げた。

    「よっしゃあああ䞖界をひっくり返そうじゃないか花道を開けな女の時代、いざ開幕」


    おおヌっ


    老若男女、誰もが螊り䞊がるように手を打ち鳎らし、芝居小屋は歓声ず熱気に包たれた。

    そんな異質な人物を、取り囲むように、倪錓や䞉味線、笛で盛り䞊げる賑やかな面子が螊りながらチラシを配っおいく。

    「あれ お囜やないか」


    「ほんたや たたけったいなこず始めよった」

    町ゆく人々は笑い、足を止め、噂はあっずいう
    間に河原町じゅうぞ広がっお行った。 

    祭り小屋の前には黒山の人だかり。前ぞ進もうにも肩がぶ぀かり、背䌞びしおも䞭が芋えない

    「もう始たるで」


    「抌すな抌すなお」

    やがお幕が䞊がるず

    笑いあり、立ち回りあり、歌あり螊りあり
    誰も芋たこずのない芝居に、京郜の町は熱狂した。

     人々はただ知らない 

    この奇抜で粋な芋䞖物が、やがお「歌舞䌎」ず呌ばれ、䜕癟幎もの時を越えお語り継がれるこずに

    瓊版屋の考倪郎が、こんな奜機を芋逃すはずが
    なかった。

    「河原町で話題沞隰 男装のお囜、魍魎退治の倧芝居その名も『蓮のうた』なんずその蓮が䜜った酒も飲めるらしいで」

    「酒は菊氎屋やお 芝居芋たら買うおかえろ」

    「䞀枚くれ」

    「わしは二枚 隣町にも芋せたる」

    瓊版はあっずいう間に売り切れ。   

    「おい瓊版もっず刷れ」

    客からの怒号に

    「刷っおも刷っおも远い぀かん」

    たたい぀もの嬉しい悲鳎を口にしながら必死に
    売り捌いた。

    祭り小屋の前は、祇園祭も重なっお、今日も凄い人だかりであった。

     ふふふ 

    その様子を眺めながら、顔を芋合わせ笑い合う若い倫婊がいた。

    お囜たちを眺めながら、どちらからずもなく

    さぁ 行こうか ず歩き始めたが、䞀緒にいた子がいない

    「景虎どこやぁ」

    裕倪郎が慌おお蟺りを芋回すず、転んだのか着物の裟に土を぀け、慌おお駆けお来るのが芋えた。

    「お母ちゃん」

    子は裕倪郎でなく、母の小春に抱き぀いお行く

    「䜕やなんやぁ い぀もお母ちゃんばっかり甘えおから」

    裕倪郎が拗ねお、小春が笑う 

    裕倪郎はいた、どんなに願っおも埗るこずの無かった、無償の愛に包たれおいた。

    「ほらほら、ちゃんず䞀緒におらんから
    転ぶんやで」

    そう蚀っお、息子の着物に぀いた土を払っおいるず

    手にしおいた颚車を必死に吹いおいるが、転んだためか回らぬらしい 

    「貞しおみぃ」

    裕倪郎が歪んだ所を盎し぀぀、息を吹きかけおいるず

    「颚は、自分で起こすもんやで」

    景虎が蚀った。

    「え それ 誰に聞いたん」 

    裕倪郎は、景虎の前にしゃがみ蟌んで顔を芗き
    芋た。

    「颚は自分でおこすんや。そしたらたわるでお、さっき転んだずき、起こしおくれたお兄ちゃんが蚀うおた」

    裕倪郎ず小春は、顔を芋合わせた 

    「ちょっず芋おお」

    裕倪郎は、景虎を小春に任せるず、子が来た道を走り出した。

    祇園囃子が高らかに鳎り響く。祭りに沞く人々の笑い声。出店の呌び声 


    その喧隒を掻き分けながら、裕倪郎は走った
    ぶ぀かり、よろめき、それでも走った 

    「蓮 おれ、お前にただ蚀えおぞん蚀葉があるんや 」

    遠ざかる祭囃子に、茜に染たる京の町 走銬灯の䞭を駆け抜けるようにしながら、裕倪郎は、只々駆け抜けお行くのであった。

    蓮のうた • å…š59話 ヌ終ヌ


    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門
    #時代小説 #和颚ファンタゞヌ
    #江戞時代 #フィクション

    䞊蚘『マガゞン』に党話眮いお参りたす


    あなたぞのおすすめ