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むンチキに匟子入り志願

     翌週。

     遠藀君が人でやっおきた。

     元々は麻衣さんず人で来る予定だったが、麻衣さんが仕事でトラブルに芋舞われたため来られなくなっおしたった。

     人の方が凊しやすいのか、人の方が凊しやすいのか、刀断に悩むずころだったが、もう、゚ントランスのむンタヌフォンの「初めたしお」から、玄関開けた時の人懐っこい笑顔から、靎を脱いで曎衣宀代わりの掗面所バスルヌムに誘導するたでの、麻衣さんが急に来られなくなっおしたったこずに察するお詫びの蚀葉から、「でも先生独り占め出来お僕ずしおはラッキヌです」ずいう、気分をよくする蚀葉たで、あたりに爜やかな青幎だったので、あっずいう間に魅了されおしたった。

     着替えを終えた遠藀君を斜術宀の怅子に案内するず問蚺衚を曞いお貰った。問蚺衚を曞いおる間も、ごく自然に話が盛り䞊がった。

    「遠藀君ず麻衣さんっお、どこで出䌚ったの」
    「はい。僕が以前勀めおたリラクれヌションサロンに、麻衣ちゃんが仕事でやっお来たんです」
    「仕事っお動画撮圱」
    「はい。チェヌンのサロンだったんですけど、に茉せる動画を撮るこずになったんです。それで䞊の人が圓時麻衣ちゃんが所属しおいた䌚瀟さんに䟝頌したんです」

     実は、この話は麻衣さんからも聞いおいる。遠藀君が出挔者の人に遞ばれ、接客から斜術颚景などを撮圱するず同時に、採甚向けの動画も撮圱する流れになっお、圓時、吉祥寺店のサブマネヌゞャヌだった遠藀君のリアルな週間を撮圱しようずいう流れになり、麻衣さんが密着取材したのだ。

    「あ、䜕か麻衣さんも蚀っおた。それで密着取材になったんでしょ」
    「はい。そうなんです。そこで䞀気に仲良くなりたしお、それで埌日、䞀緒に食事に出掛けお、そのたた付き合うこずになったんです」

     もちろん、キッチリ蚘録しおいる。麻衣さんが遠藀君に䞀目惚れ。採甚向け動画の密着取材も、遠藀君にアプロヌチしたい麻衣さんからの提案で、密着取材終了埌、麻衣さんから猛アプロヌチを仕掛け、亀際が開始したずいう流れだった。

    「麻衣さんが䞀目惚れしたんでしょ」
    「はい。でも実は僕も䞀目惚れだったんです。だから、採甚向けの動画を撮るっお話になった時に、本圓は入瀟幎目が良いだろうっお話だったんですけど、僕から将来のキャリアが芋えた方が良くないですか、っお提案しお、僕が遞ばれるよう仕向けたんです」
    「え、そうなの。やるじゃん」
    「はい。ハハハ」

     なんお爜やかな笑顔なんだ。っおいうか、もう人間的な魅力が有り過ぎるし、普通に人柄だけでお客さん集めたくるんじゃないかな。だから、独り立ちしおも倧䞈倫だず思う。あず、俺みたいな薄汚れたむンチキ詐欺垫になんか絶察に孊ばない方が良い気がするんだけど  。

    「今日、先生にお䌚い出来お本圓に良かったです。僕が麻衣ちゃんず出䌚った頃は、前の圌氏の圱響ですごく闇堕ちしおいたんです。人間䞍信も酷かったし、自己吊定も酷かったし、粟神的にもすごく䞍安定だったんです。でも、先生の斜術を受ける内に埩掻しおいっお、僕が出䌚った頃から、どんどん元気で玠敵な人になっおいったんです」
    「いやいや、僕の力なんお関係無いよ」

     謙遜ではない。これは事実だ。ズバリ、麻衣さんがどんどん元気で玠敵になったのは、間違いなく遠藀君のお陰なのだ。

     䞁床、遠藀君ずの亀際が始たる少し前に内に通っおくるようになったのだけど、俺は単に遠藀君効果に乗っかっお、麻衣さんに起こった出来事のハッピヌ解釈に、前向き暗瀺に、むンチキ催眠を掛けただけ。

    「僕、だから、い぀か先生にお䌚いしたいず思っおたんです。本圓はもっず早くお䌚いしお盞談に乗っお欲しかったんですけど、麻衣ちゃん、きっず半人前の僕のこずも先生に盞談するだろうなっお思ったんで、僕が䞀緒に行っちゃうず、話したいこずも話せないだろうなず思ったんです。だから、麻衣ちゃんから聞かれるたでは、自分から䌚いたいっお蚀わないようにしおたんです」
    「そうなんだ」

     なんお気遣いの出来る子。玠晎らしいっお 

     おいうか、俺みたいなむンチキでいいのか 倚分だけど、俺なんかよりも、䜙皋すごい可胜性を秘めおるんじゃないかな。

     本圓は、「君は俺みたいな停物じゃなくお本物に䌚いに行きなさい」。そう蚀いたかったけど  、たあ、俺も商売、本圓のこずは蚀えない。

     だっおバレちゃうから。

    ◆

     ゞャヌゞ姿の遠藀君を斜術ベッドに誘導した。

    「僕は䜕を教えれば良いのかな」ず質問するず、「先生の斜術を䞀通り受けおみたいです」ずの芁望。

     あれ、やっぱり、探りを入れおる 俺が本物かどうかを芋極める為 いや、違う たあ、いいや、ずりえあず、やるだけやっおみるずしよう。麻衣さんから仕入れた情報はたんたりあるからね。

     たずは俺独自のコヌルドリヌディングテクニックから披露した。背骚や骚栌や䜓の動きの傟向から、「あなたはこういう傟向の人ですね」ず予枬するテクニックだ。

     経絡マッサヌゞに、蚺断甚ず称したストレッチをしながら、遠藀君の傟向を探っおいく。

    「うん。遠藀君は背䞭が柔らかいね」
    「肩ず胞の間の可動域も玠晎らしいね」

     なんお蚀いながら、足の動き、腕の動きもチェックする。

    「ええずね、このタむプの人はね、僕の経隓からするず、人に人は、コミュニケヌションが凄い埗意なんだよね」

     いやいや、「そんなの遠藀君ず話した瞬間に分かっただろ」ず頭の䞭で突っ蟌みを入れながらも、「でもね、逆にコミュニケヌションが足りないず䞍安になる傟向があるんだよね」ずか、「察人であたり緊匵しない性栌だね」ずか抜かしおいる。

     遠藀君は遠藀君で、「はい そうなんです。僕こう芋えおも、盞手が誰であっおも仲良く出来るんです」ず、本気なのか、合わせおるのか分からない答えが返っおきた。

    ◆

     次は俺必殺のホットリヌディングテクニックを披露だ。これは、事前に仕入れた情報を元に、あたかも斜術の過皋で「芖えた」態にしお蚀い圓おるテクニックだ。

    「じゃあ、次はちょっずクリスタル棒で反応を芋おみようか。  。ええずね。あ、この蟺りに反応があるな。あ、あず、背骚のここも反応しおるな。ええずね。あ、なるほど、このむメヌゞか。うヌん。ずなるず、あれかな、遠藀君さ、すごく人の気持ちに敏感じゃない 自分のこずじゃないのに、他人の感情に共感しお䞀緒に泣いたりずか、怒ったりずか  」

     遠藀君は「ありたす」ず答えるけど、そりゃあるよ。だっお、麻衣さんから聞いた話だもん。でも、遠藀君は本圓に驚いおいるのか、驚いたふりをしおくれおるのか、「すごいです。先生、僕そうなんです」っお興奮しおいるか、興奮したフリをしおくれおいる。

     他にも、家族が仲良いむメヌゞずか、埌茩の女子からよく盞談されるむメヌゞずか、党郚、麻衣さんから聞いたこずなんだけど、さもむメヌゞで芋えたかのような挔出をする。 遠藀君はいちいち驚いおくれた。

    ◆

     次はバヌナムテクニックを披露。誰にでも圓お嵌たりそうな抜象的な文蚀を駆䜿しお、たるで自分のこずを蚀い圓おられたみたいにするテクニックだ。

     クリスタル棒を玠手に倉えお、䜓のあちこちを擊る。

    「あ、この反応か。遠藀君、あれだね、こう芋えお意倖に芯が匷いずいうか、意思を䌝えるずいうか、嫌なこずは嫌だっおタむプだね」
    「はい。僕、嫌なこずはハッキリ嫌っお蚀う方なんです」

     もちろん、これも麻衣さんから仕入れた情報を参考にしおるんだけど、嫌なこずは嫌っお圓たり前だろっお話。それも、遠藀君は勝手に拡倧解釈しおくれお、「ハッキリ嫌いっお蚀う」ず答えおくれたが、俺が蚀ったのは、「嫌なこずは嫌だ」たで。

     そう、だから仮に遠藀君が、「僕嫌なこずでもハッキリ蚀えないんですよ」ず返っおきおも、「でも、心の䞭では嫌だっお思ったたんた嫌々やるんでしょ」みたいに聞き返しお次ぞ展開する。

     こんな阿挕な手法を぀぀詊しながら、折々に神秘挔出を入れる。

    「あっ、今ちょっず映像が入っおきた。匷い日差しず、氎 うん海かな 川かな」 遠藀君は、「あ、それ、麻衣ちゃんず、麻衣ちゃんのお姉ちゃんず人で、沖瞄行っおきたんです」ず興奮気味に答えた。

     もちろん、これも麻衣さんから聞いた話を掻甚しただけ。たあ、俺が想定したのは「江ノ島に行っおきた」ずいう話だったけど、遠藀君は、それを沖瞄旅行のこずず思ったみたい。だが、もちろんそれでだ。その先のチャヌト匏のスクリプトは甚意しおいるから、どうずでも展開出来る。倧事なのは向こうに「なんで分かったんですか」ず思っおもらうこずなのだ。

     分皋の斜術だったが、自分でも䞊々の出来だったず思う。たあ、盞手がプロだから、どの皋床、響いたかは分からないが、少なくずもボロは出なかったはずだ。

    ◆

    「はい終わったよ」

     遠藀君がベッドに腰を掛けた。俺にピュアな芖線を向けた。この目付きだったら倧䞈倫だ。ちょっず安心した。

    「先生、凄いですね ちょっず感動したした。麻衣ちゃんの蚀うずおりだ」
    「いえいえ」

     䞀応、謙遜しおみせた。

    「先生お願いがありたす。もっず先生のずころで勉匷したいです」
    「あそうなの」
    「僕も䞀流のセラピストを目指しおいたす。でも、今の僕は腕ず接客がそこそこ埗意なだけなんです。心理術も、リヌディング術も党然ダメなんです。セラピヌっお結局は、脳ず心ぞのアプロヌチ。麻衣ちゃんが、あんなに元気で居られるのは、先生のカりンセリングのお陰なんです」

     あれ バレおる 念の為に予防線を匵った。

    「いやいや、でも僕のは埌倩的に身に぀けた胜力だから、生たれ぀きの胜力者には叶わないよ。麻衣さんずは、たたたた胜力ずの盞性が良くおさ。貢献出来おはいるけどね」

     するず、遠藀君の目が、先ほどよりピュアになった。

    「先生は自分が胜力者じゃないず思い蟌んでいたすよね」
    「えっ」

     あれっ、やっぱバレおる

    「僕、そんな気がしたんです。どこか遠慮がある。どこか謙遜がある。テクニックに寄り過ぎおいる」

     あらら、やっぱりバレおる

    「でも違いたす。僕、受けおみお分かりたした。先生は本物の胜力者です。心理孊効果ずか暗瀺効果ずか統蚈だけじゃない」
    「うん、えっ」

     予想倖の展開になった。

    「先生、そうじゃありたせんか」

     あれ、やっぱり停物っおバレおるよね うん いやバレおないのか 違う違う、俺は停物じゃ無いっお蚀っおるのか   えっ、俺が停物じゃない おいおい、遠藀君隙されおるぞ

     遠藀君が立ち䞊がるず、腰を床に折り曲げた。

    「先生、匟子入りさせおください。先生の元で孊ばせおください」
    「え 俺」

     急な匟子入り志願に戞惑う俺。継ぐ蚀葉が䞭々出おこない。困っおしたった。匟子入りず蚀われおも、䞀䜓䜕を教えれば良いのか  。

     遠藀君は、腰を床に折り曲げたたた、「お願いしたす」を繰り返しおいる。倚分だけど、俺が䜕かしら前向きな䞀蚀を発しない限り、床が戻らない気がする。

    「あ、分かった。そしたら、前向きに考えるよ」

     遠藀君が、次来院するたでに、匟子入りずいう圢かどうかは別にしお、䜕かしらの圢で孊べるような堎を蚭ける事を玄束した。

    ◆

     倕方、スピ系トヌク奜きの埗意客さんの斜術を終えるず営業を終了した。 片付けを枈たせお、ノヌトに䌚話の蚘録を付けるず院を出た。混雑する電車に揺られ、駅近隣のスヌパヌで買物をするず垰宅した。

     どうも胞の蟺りが萜ち着かない。遠藀君の匟子入り志願。䞀䜓、あれは䜕だったんだろうか。「前向きに考える」なんお玄束したけど、俺は本圓に匟子を迎える事になるのだろうか

     垰宅埌、豚䞌、豚汁、バナナケヌキを食べ、ストレッチで心を萜ち着けようず詊みるが、胞の蟺りは萜ち着かないし、頭の䞭は枋谷のスクランブル亀差点みたいに隒がしいし、貧乏揺すりも激しいし  。

     これは少し運動した方がいいず思い立ち、䞊䞋スりェットにりィンドブレヌカヌに着替えるず、りォヌキングシュヌズを履き、家を出た。

    ◆

     時間は時過ぎ。

     坂道を重たそうに歩くサラリヌマン、防犯の為だず思うが、携垯にむダフォンで誰かず話しながら歩くパンプスの女性、登り坂を走る車のラむトに目を现めながら、近所にある䞍動尊方面に向かう道を進んだ。

     ダルメシアンを散歩䞭のオバさんず、ピカピカ光るラむトを装着したランナヌずすれ違い、䞍動尊に突き圓たるず巊に曲がった。静かな䜏宅街の䞭を䜕床かクネクネ曲がるず、急に珟れた森の公園ぞず入った。

     アスファルトの遊歩道に、䞀定の間隔で街灯が蚭眮されおいお、「森」ず名が付きながらも、随分ず歩きやすい森の公園なのだが、それでも倜は街灯が遠ざかるず遊歩道の䞊の固たっおる土が犬の糞ず芋間違えるくらいには暗くなる。

     そんなダルメシアンの暡様みたいに明暗が斑な公園内の遊歩道を歩いおゆく。敎備された階段を昇り、䌑日の昌間だったら芪子連れで賑わっおそうな広堎を通り過ぎ、再び暗い道を行くず、突然、膝がカックンず曲がり、尻逅を぀きそうになった。

     えっ、寝萜ち珟象 ハッず足腰に力を入れるず、近くに街灯が無いにも関わらず、急に芖界が明るくなり、目の前をなぜか蝶が匹ひらひらず舞いながら通り過ぎお行った。ず同時に暗がりの森の䞭が、暗芖カメラで芖るみたいに癜黒でハッキリず芋えおきた。

     芖線の先には人以䞊の男女が等間隔で走っおいる様子。

     倜なのにゞョギングか

     いや、癜い和装で同じ軌道を描いおいる。街灯の光が党く届かないはずの森の䞭を、人以䞊の和装の男女がグルグルず回っおいるのだ。 急に怖くなっお、すぐに森の公園を出お垰宅した。

    話 了

    目次ぞ


     
     
    代の限界フリヌランスです。耇業で皌ぎながら毎日物語を䜜っおたす。noteに加えおThreadsでも掌線小説を展開䞭なので是非フォロヌしおやっおください。他にもD2C型のファンベヌスマヌケティングを研究実践䞭絶賛苊戊䞭

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