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䞊埗意客からの䟝頌

     西倧井駅から歩いお旗の台の敎䜓院に戻るず軜くシャワヌを济びた。シャワヌ埌、青ポロにチノパンの治療着に着替えるず、パ゜コンで経理䜜業をした。

     この埌、倕方時半から藀堂麻衣さんが来院予定だ。

     もう幎も通っおくれおいる最叀参のお客さんで、毎幎のように幎間䞇円以䞊の売り䞊げを霎しおくれおいるし、さらに麻衣さんの玹介で、月䞇超えの客を名も獲埗しおいる。

     もう殆ど友達みたいな間柄になっおいるが、斜術に気を抜いおはいけない。経理䜜業を終えるず、軜く䜓を動かし、東戞塚の䞍思議な珟象によるフワフワ感を吹き飛ばした。

     しばらくするず、゚ントランスのむンタヌフォンが鳎った。

    「先生 あたし」
    「はヌい、今開けたす」

     䜓を動かしながら玄関に移動した。 

    ◆

     ピヌンポヌン♪ すぐに玄関の扉を開けるず、「せんせい元気」ずいう麻衣さんの明るい声ず共に超有名海倖ブランドのオシャレな赀ず癜のゞャヌゞ姿にフワフワなコヌトを矜織った麻衣さんが、「光でも連れおきたか」ず思うくらい茝きを攟っおやっおきた。

     仕事の話、奜きなアむドルな話、秋田県にあるパワヌスポットに行った話で盛り䞊がるず、時蚈の針はもう分も進んでいた。

    「じゃあ、先生、お願いね」ずいう麻衣さんの䟝頌に応じお斜術を開始した。

     ベッドに座っおもらい、銖肩腰の動きをチェックした。テキトヌに「仕事からの邪気が凄いかも」ず指摘するず、次にう぀䌏せになっおもらい、クリスタルの棒を経絡に沿っお這わせた。䞀応、邪気チェックず称しおいるが、もちろん俺はむンチキなので䜕にも分からない。

     でも、幎以䞊に枡る付き合いずデヌタから、倧䜓の予想は぀くので、それを䜓の䞍調に絡めお挙げおゆく。

    「あ、あれ 肩甲骚の内偎が詰たっおいるな」

     クリスタル棒を同じ堎所に䜕床も這わせながら、手でも擊る。

    「あら、流れが悪くなっおる。うヌん、肩の可動も少し悪かったから  。えヌずね。苛立ちだな。うんうん。あのね、この぀の流れが悪い人は、倧䜓人に人くらいの確率なんだけど人間関係が原因の怒りずか、苛立ちずか、䞍満ずかの感情を溜めおしたっおるっおケヌスなんですよね。䜕か心圓たりはありたせんか」

     麻衣さんの声が高くなる。

    「そうなの もう、先生聞いお 実は――」

     どうやら、ゞョむント協業で䞀緒に仕事をしおいる盞手に色々ず䞍満が溜たっおいたみたいだ。

     ここたで情報を匕き出せれば埌は容易い。過去の情報から抜出したパタヌンで、倧䜓の予枬が぀く。

    「ええず、ちょっず深く芋おみよう。うヌんず。あっ 䜕だろう 今芖えたの 机に向き合う圢だな。男女ですね。倚分、女性が麻衣さんかな すごく嫌がっおる」
    「はい 倚分、それゞョむントのパヌトナヌ䌁業の担圓者の人です」
    「あそう。これはね、向き合い方が察立 いや䞊からだな」
    「はい そうなんです 凄い䞊から目線で、仕事を抌し぀けおくる人なんですよ――」

     それから分くらい、担圓者ぞの愚痎を吐き出しおいた。その間、俺は肩の可動の悪さの原因ずなる筋肉を解す。そしお、愚痎を吐き終えたら、「ちょっずチェックしおみたしょうか」ずいっお、肩の可動をチェックする。

    「随分改善したしたね 倧分、楜になったんじゃないですか」
    「はい。今、凄いスッキリしおたす」

     こんな感じで、ある皮の暗瀺を掛けおいく。

    ◆

     その埌、「腰に違和感がある」ずいう麻衣さんの蚎えに応じお、腰のチェックを行った。

    「うヌん。完党に鬱滞です。気の流れが滞っおいる」
    「運動䞍足ですか」
    「うヌん。運動䞍足ずか、無理な動きが原因になる事もあるんですけど、その前に、誘因ずなる感情がある気がするな。えずね、これは䜕だろうな。うんうん。そうか、心配事かもね」

     するず麻衣さんが、「あ、倚分遠藀君だ」ず呟いた。

    「あ、やっぱり。前もそうでしたよね」

     遠藀君ずは麻衣さんの圌氏のこずだ。もちろん、事前情報から掚枬しただけだ。誰かが圌氏じゃなくお芪になっおも問題は無い。ちゃんず、チャヌト匏でスクリプトを甚意しおいる。だから、麻衣さんがどんな回答をしおも、ちゃんず萜ずし所たで持っお行ける。

     䞀旊、信頌ずか信奉を獲埗しおしたえば、埌は積み䞊げた情報だけあれば足りるのだ。

    「そうなんです。凄くいい人だし、いい男だし、才胜もすごいあるんです。でも、欲がなくお、人が優しいから、いざチャンスが巡っおきおも他人に譲っちゃうんですよね。本圓もったいないの。私も仕事で色々な人ず接しおいるから分かるんですけど、本圓の実力者っお案倖朜んでいるんですよ。そういう人っお謙虚で、遠慮深くお、他人思いだから、自分が自分がっお出来ないんですよ」
    「そうなんですね」
    「今、知り合いのサロンで業務委蚗で働いおいるんですけど、そこがマヌケティング重芖なんです。チラシ集客がメむンなんですけど、いわゆる初回キャンペヌン型の集客戊略なんです。だから、やっおくるお客さんが慰安マッサヌゞ目圓おの埮劙な方がどうしおも倚いんですよ」
    「あ、確かにリラクれヌション目的のお客さんばかりになっおしたいたすもんね」
    「そうなんですよ。遠藀君、鍌灞垫の囜家資栌も保有しおいるし、実力もあるんですよね。だから、本圓は埡甚聞きじゃなくお、先生の立堎になっおセラピヌ斜した方が、絶察お客さんの為にもなるんですよ。でも、オヌナヌさんが売り䞊げ至䞊䞻矩の人だから、どんなお客さんでも、コヌスごずに決たったマッサヌゞを斜しお効率よく捌きなさいっお考えなんですよ」
    「それはセラピストずしおは、䞀番面癜くないんですよね。宝の持ち腐れだな」
    「そうなんです。それも焌き畑型なんですよ。皌ぐだけ皌いで、チラシの反響ずか評刀が悪くなったら、違う地域に新芏出店しお反響悪くなった堎所は撀退するんです。それで撀退に掛かった費甚で節皎察策に利益を圧瞮するっお方針なんですよ。だから、私、もう蟞めなっおアドバむスしおるんです。でも、誠実だし、矩理堅いから、䞭々蟞められないんですよ。ホント、時間の無駄。先生みたいに、本質的なセラピヌを実践した方が、絶察実力も経隓も身に぀くじゃないですか」

     麻衣さんは、スピどっぷりかず思いきや、論理的に物事を考えるこずも出来るし、人を芋る目にも優れおいる。

     遠藀君に関しおは、ひょっずしたら身内莔屓な面もあるかもしれないけれど、䟋えば、著名人で、「この人、捕たりそう」「この人、埌茩に嫌われおそう」「この人、跳ねるよ」「この人、詐欺垫だよ」ずいった予想は、ここ幎間のデヌタだけでも、ほがほが圓たっおいる。

     でも、なぜか俺のむンチキだけは芋抜けおないのだけど  。

    ◆

     麻衣さんは珟圚、動画プロデュヌスの仕事をしおいる。動画プロデュヌスずは䌁業やアヌティストからの䟝頌で、䞻に動画コンテンツを䌁画プロデュヌスする仕事のこずだ。

     これは幎くらい前に聞いた話だが、幎収も䞇円を優に超えおいる。䞻に䌁業が運営する動画を䌁画から撮圱たで担圓しおいるのだが、最近は専門孊校からの䟝頌で講垫を務めるくらい、実力的にも認められおいる。

     その埌も麻衣さんの心配は続く。

    「チビちゃんを䜕ずかしお、䞀人前のセラピストに育おおあげたいのよね。どう考えおも実力あるから」
    「ええ。僕が今迄の話を聞く限り、遠藀君は独立しおもやっおいけそうですけどね」

     チビちゃんずは遠藀君のニックネヌムだ。

     写真を芋たこずがあるが、身長はもちろん、䜓栌もガッチリしおいるのに、なぜチビちゃんなのかが䞍思議だった。ある時、あだ名の理由を聞くず、「衚ではちょっず恥ずかしいから、倖では圌氏か遠藀っお呌ぶようにしおたんですけど、先生の前だず぀い぀い気が緩んじゃっお」ず蚀われた。 

     恥ずかしいの意味が分からなかったので、「チビちゃんっおどうしお恥ずかしいですか」ず聞いたら、「チビちゃんのチビっおのは小さいのチビではなく、チビっちゃったのチビなんです」ず小さな声で返っおきた。

     俺が「小の方ですか」ず聞くず、「違うんです」ず返っおきお、「あ、倧の方だ」っお聞いたら、「それも違くお  」ず返っおきお、「え、じゃあ、䜕」ず聞いたら、「゚ッチな方  」ず返っおきた。

     たあ、サクッず蚀えば、早すぎたらしい。ただ、シャワヌルヌムでの掗いっこの段階で、チビっちゃったのが可愛くお、チビちゃんになったんだそう。なるほど、確かに、あだ名の由来を知っおるず、呌びづらいのが分かる気がする。

     そんな麻衣さんず遠藀君は、幎半前から亀際し、幎前から同棲しおいる。同棲前から「食えないセラピストだ」ずいう話を散々聞いおいた。でも、雇われのセラピストが食えないのは、業界ではある皮垞識でもある。 

     雇われ時代の俺みたいに歩合で口先で指名NOで勝ち䞊がるみたいな䟋もあるけど、倧倚数は日々の生掻にも困るくらいの絊䞎しか貰えない。だから、掛け持ちでアルバむトをしたり、副業で生掻の足しにしおいる人も倚くお、そもそもが儲かりやすいビゞネスでも無い。それも、俺より実力がある人ですら、そういう人が殆どなのだ。

     麻衣さんが優秀でバむタリティヌがあるだけに、歩みの遅い遠藀君に、じれったさを感じおいるのかもしれないが、我々の業界は正統な敎䜓から、怪しい敎䜓たで、そもそもそんなものなのだ。

    「そうだ 先生」
    「私、先生のこず、チビちゃんによく話すの。そしたらね、最近になっお先生に孊びたいっお蚀い出したの。だから、今床連れおくるから、ちょっず盞談に乗っおあげおよ」
    「はい。あ、分かりたした。いいですよ」

     断るわけにもいかず、匕き受ける事にした。

    ◆

     斜術を終えるず、玄関たで麻衣さんを芋送りに出た。院に戻るず、斜術ベッドを拭き、䜿甚したタオルを掗濯機に攟り蟌んだ。続けおデスクに座り、䌚話を蚘録する。

    【今床、遠藀君に䌚っお欲しい。色々教えおあげお欲しい】。

     キヌボヌドを打぀手を止めた。

     困っおしたった。俺が教えられる事は、営業トヌクず心理操䜜ず暗瀺ず掗脳くらい。仕方なく匕き受けたものの、どう察応しようか

     盞手は䞀応プロのセラピスト。セラピストずいう蚀葉には、リラクれヌション寄りの意味あいず共に、心理からスピリチュアルの傟きがある。だから、敢えおセラピストを名乗りにする治療家であれば、スピリチュアル敎䜓に関しおも、倚少は知識があるはず。

     それも俺に孊びたい 

     あっ、ダベ これ探りを入れに来おるんじゃないだろうか したった、理由を぀けお断れば良かったかも。いや、でも今迄の情報から刀断するに、遠藀君が探りを入れおくるこずは無さそうな気もする。

     たあ構わん。どちらにせよ受けお立ずう。

     これも詊緎だ。

    話 了

    目次ぞ


     
     
    代の限界フリヌランスです。耇業で皌ぎながら毎日物語を䜜っおたす。noteに加えおThreadsでも掌線小説を展開䞭なので是非フォロヌしおやっおください。他にもD2C型のファンベヌスマヌケティングを研究実践䞭絶賛苊戊䞭

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