
【時事ニュース】サウジ、中国主導の国際決済「mBridge」から離脱していた
こんにちは!個人投資家で元ホテルマンのTAKA Chanです。
9月20日、Financial Timesが興味深いニュースを報じました。
https://www.ft.com/content/ac104987-f43d-4e7d-97b6-057d98f7e422?syn-25a6b1a6=1
“Saudi Arabia quits China-led cross-border currency platform”
「サウジアラビア、中国主導の国際通貨決済プラットフォームから離脱」という内容です。
これは為替を見るうえでも、少し覚えておきたいニュースです。
mBridgeとは?
今回サウジが離れたのは「mBridge」という国際決済プロジェクトです。
中国人民銀行系の機関、香港、タイ、UAEなどが参加し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を利用して、国境を越えた決済をより速く、安く行うことを目指してきました。
BIS(国際決済銀行)によれば、mBridgeは分散型台帳技術を使い、中央銀行や商業銀行の間で即時にクロスボーダー決済を行うことを研究するプロジェクトでした。
サウジ中央銀行は2024年に正式参加しています。
このため当時は、
「世界最大級の原油輸出国であるサウジまで参加した」
として、人民元の国際化や「脱ドル」と結び付けて注目されました。
しかしサウジはすでに離れていた
FTによると、サウジ中央銀行は2025年5月までに実証実験を終え、その後mBridgeへの積極的な参加を終了していたとのことです。
つまり、2026年9月20日に突然離脱したわけではありません。
離脱自体は2025年。
今回、その事実が広く明らかになったというニュースです。
ここは大切です。
「米国に言われて中国から離れた」
「サウジが人民元を捨てた」
とまで断定できる材料ではありません。
サウジ側は、実証実験の終了は当初の計画に沿ったものだと説明しています。
BISもすでにプロジェクトから離れている
もう一つ興味深い点があります。
BISも2024年にmBridgeから離れています。
ただしBISは、「失敗したからでも、政治的理由でもない」と説明しています。
さらにBISは当時、mBridgeについて、
実際に本格運用できるほど成熟しておらず、まだ何年もかかる
との認識も示していました。
つまり「ドルに代わる新しい決済網がすぐ世界を覆う」という段階では、もともとなかったわけです。
投資家として気になるのは「脱ドル」
ここです。
近年ニュースでは
「BRICSがドルを終わらせる」
「原油取引が人民元になる」
「ドル覇権はもう終わりだ」
という話をよく見かけます。
確かに、ドル以外で貿易決済を行おうとする動きは存在します。
しかし国際通貨は、技術だけでは決まりません。
そんな単純なことではないでしょう。
信用、金融市場の規模、資本移動の自由度、流動性、法制度、政治的信頼。
これらが全部必要です。
サウジのmBridge離脱は、少なくとも「新しい決済システムを作れば、簡単にドルから置き換わる」というほど単純ではないことを改めて示しているように思います。
ドル覇権終了と決めつけない
今回のニュースだけで、「脱ドルが終わった」
とも言えません。
中国や香港、UAEなどは引き続きデジタル通貨や国際決済の研究を進めています。香港当局も、mBridgeへの参加機関を増やしてネットワーク効果を高める方針を示してきました。
ただ一方で、
ドルに代わる仕組みを作ることと、ドルに代わる通貨になることは別の話です。
ここは投資家として分けて考えた方がいいでしょう。
今回のFT報道。
短期的にドル相場を大きく動かすニュースではないかもしれません。
しかし長期的な「ドル・人民元・BRICS・国際決済」というテーマを見るうえでは、かなり興味深いニュースだと思います。
時代は少しずつ動いています。
だからこそ、「ドルは終わる」「ドルは絶対」とどちらか一方に決めつけず、実際に起きている事実を追っていきたいところです。
※本記事はFinancial TimesおよびBIS公表資料をもとにした一般的な情報提供を目的としたもので、特定の通貨・金融商品への投資を推奨するものではありません。
投資家向けnoteを書いています。一部考察系記事や決算関係を除きほぼ無料で公開しております。