
今週の相場総括:2026/07/06の週
今週の米国市場は、ひと言で言えば
「中東リスクと金利上昇を、AI・半導体への期待が押し返した週」 でした。
米国とイランの停戦が崩れ、原油価格が再び上昇。
FOMC議事要旨もインフレへの警戒を示しました。
それでもS&P500とNasdaqは週間で上昇。
SKハイニクスの米国上場も成功し、AI関連への資金流入が相場を支えました。
■ 今週の市場まとめ
・NYダウ / 52,637.01 / 週間 -0.5%
・S&P500 / 7,575.39 / 週間 +1.2%
・Nasdaq / 26,281.61 / 週間 +1.7%
・米10年債利回り / 4.5%台後半
・ドル円 / 161.67円前後
・WTI原油 / 71.41ドル / 週間 約+4%
・Brent原油 / 76.01ドル / 週間 +5.5%
・金 / 4,103ドル前後 / 週間 -1.7%
・Bitcoin / 64,000ドル前後
■ 1. S&P500とNasdaqは上昇、NYダウは下落
・S&P500は週間+1.2%
・Nasdaqは週間+1.7%
・NYダウは週間-0.5%
・情報技術と一般消費財が相場をけん引
・大型テックと半導体への資金集中が継続
・市場全体が均等に買われたというより、再び成長株に資金が寄った週
今週も指数の中身には偏りがありました。NasdaqとS&P500は上昇しましたが、NYダウは下落。AI・半導体・大型テックへの期待が、地政学リスクを上回った形です。
■ 2. SKハイニクス上場がAI相場を再点火
・SKハイニクス / 米国預託証券を149ドルで売り出し
・初値後も上昇 / 170ドルで終了
・公開価格から約14%上昇
・調達額 / 約265億ドル
・SpaceXに次ぐ世界第2位規模の株式売り出し
・AI向けHBM需要への期待が上場成功を支えた
SKハイニクスの米国上場は、今週の象徴的な出来事でした。
AI向けメモリの中心企業に、米国投資家の資金が一気に集まりました。
上場初日は成功です。
ただし、IPOは初日の上昇だけでは判断できません。
上場後に利益確定が続くのか、AIメモリ需要を背景に高値を維持できるのかが重要です。
■ 3. 米国とイランの停戦が崩れ、原油が再上昇
・米国とイランの暫定停戦が事実上終了
・湾岸地域で攻撃が再開
・ホルムズ海峡の通航不安が再燃
・WTI原油 / 週間約+4%
・Brent原油 / 週間+5.5%
・週途中には原油が1日で約5%急騰する場面
原油高は、今の相場にとって最大の不安材料です。原油価格が上がればガソリンや物流コストが上昇し、インフレを押し上げます。
株式市場は今回の衝突を一時的と見ています。ただ、ホルムズ海峡が本格的に閉鎖されれば話は変わります。原油、金利、株価が同時に大きく動く可能性があります。
■ 4. FOMC議事要旨はタカ派、利上げ観測が再浮上
・6月FOMC議事要旨 / インフレ懸念が強まる内容
・政策金利 / 3.50〜3.75%で据え置き
・年内利上げを予想する参加者が増加
・9月利上げ確率 / 市場は約69%を織り込み
・米10年債利回り / 一時4.6%前後
・米30年債利回り / 5%を上回る場面
弱い雇用統計で利上げ観測が後退したのも束の間でした。原油高と中東情勢を受け、市場は再びインフレと利上げを警戒しています。
金利上昇は本来、高PERのAI株には逆風です。それでも今週はAI株が上昇しました。業績期待が金利上昇を上回ったということです。
ただし、この状態がずっと続くとは限りません。
■ 5. 米住宅市場は、かなり苦しい状態
・6月中古住宅販売 / 前月比-2.4%
・年率換算 / 409万戸
・市場予想 / 420万戸
・中古住宅価格中央値 / 44万600ドル
・住宅価格は過去最高
・住宅ローン金利の高さと物件不足が重荷
米国経済はAI投資で支えられていますが、住宅市場はかなり弱いままです。
住宅価格は下がらず、住宅ローン金利も高い。
住宅を買える人と買えない人の格差が広がっています。
高所得者は買える一方、若い世代や初めて住宅を購入する層には厳しい状況です。
■ 6. 雇用は弱すぎないが、企業は積極的に採用していない
・新規失業保険申請件数 / 21.5万件
・前週から2,000件減少
・解雇は低水準
・一方で新規採用は鈍化
・「採用しないが、解雇もしない」労働市場
米国の雇用は急激に崩れてはいません。ただし、企業が積極的に人を増やしているわけでもありません。
雇用統計だけを見ると弱い。失業保険申請を見ると、それほど悪くない。今の米国は「景気後退ではないが、強い成長でもない」という微妙な状態です。
■ 7. ドル円は161円台、介入警戒は継続
・ドル円 / 週初162円前後
・7月10日 / 161.67円前後
・週間ではドルが対円で約0.2%上昇
・1986年以来の円安水準に接近
・日本政府は年金資金の国内投資拡大を検討
・円買い介入への警戒が継続
円は金曜日に少し買い戻されましたが、依然として非常に弱いです。
米国の金利が高い。日本の資金が海外へ流れる。国内投資を増やすという話が出ても、すぐに大きな円高にはなりません。
米国株を買う日本の投資家にとって、ドル円161円台はかなり重い水準です。
■ 8. 金は下落、Bitcoinは64,000ドル前後
・金 / 4,103ドル前後
・週間 / -1.7%
・原油高による利上げ観測が金の重荷
・Bitcoin / 64,000ドル前後
・暗号資産市場は比較的底堅い動き
・量子コンピューターによる暗号解読リスクも話題
通常、中東情勢が悪化すると金が買われます。しかし今週は、金利上昇への警戒が安全資産需要を上回りました。
金は利息を生まないため、金利が高くなると不利です。中東リスクがあるのに金が下がったことは、今週の相場が「戦争への恐怖」より「インフレと金利」を警戒していたことを示しています。
個人的総括
今週の相場は、かなり強かったと思います。
米国とイランの停戦は崩れた。原油は上昇した。
米国債利回りも上がった。FOMC議事要旨もタカ派的でした。
普通なら、Nasdaqや高PER株はもっと売られてもおかしくありません。
それでもS&P500とNasdaqは上昇しました。
理由はAIです。
SKハイニクスの上場成功。半導体株の反発。Metaなど大型テックの上昇。来週から始まる決算への期待。
今週は、それらが悪材料を押し返しました。
ただし、これは安心材料ばかりではありません。
地政学リスクや金利上昇を無視してAI株だけが上がる相場は、かなり偏っています。業績が期待を下回れば、株価の反応は大きくなる可能性があります。
AI相場は終わっていない。むしろ再び強くなっています。
でも、期待が大きくなればなるほど、決算のハードルも上がります。
■ 来週に向けて見るポイント / 鬼門
・米CPI / 7月14日 / 原油高や関税の物価への影響を確認
・コアCPI / サービスインフレが再加速していないか
・PPI / 企業の仕入れコストと価格転嫁の状況
・米小売売上高 / 個人消費がまだ強いか
・ウォーシュFRB議長議会証言 / 利上げへの考え方
・米10年債 / 4.6%を明確に超えるか
・米30年債 / 5%台が定着するか
・原油 / WTI70ドル台を維持するか
・ホルムズ海峡 / 通航制限や閉鎖リスク
・米国とイラン / 協議再開か、攻撃激化か
・JPMorgan決算 / 融資、預金、投資銀行部門
・Goldman Sachs決算 / 市場取引とM&A環境
・Bank of America決算 / 金利上昇の収益効果
・Morgan Stanley決算 / ウェルスマネジメントと投資銀行
・TSMC決算 / AI半導体需要の本当の強さ
・ASML決算 / 半導体設備投資の先行き
・SKハイニクス / IPO後の株価を維持できるか
・SpaceX / IPO後の下落が続くか
・ドル円 / 162円突破と為替介入
・金 / 4,100ドルを維持できるか
・Bitcoin / 64,000ドル台を維持できるか
総括
今週の米国市場は、「戦争と金利よりも、AIへの期待が勝った週」 でした。
S&P500とNasdaqは上昇。SKハイニクスの米国上場も成功。半導体と大型テックに資金が戻りました。
一方で、NYダウは下落。原油は週間で上昇。米10年債利回りも4.5%台後半まで上がっています。
指数は強い。
でも、背景は決して穏やかではありません。
来週から本格的な決算シーズンが始まります。
銀行決算は米国経済の強さを確認する材料。TSMCやASMLの決算はAI相場の持続性を確認する材料です。
そして最大の鬼門はCPIです。
CPIが弱ければ、金利が下がり、AI株には追い風。CPIが強ければ、利上げ観測が高まり、高PER株には逆風です。
今の相場は、AIへの期待で上がっています。
だからこそ、期待ではなく、決算と数字を見る週に変わります。
焦って相場を追いかけるより、決算を確認してからでも遅くない。買わない勇気と現金を持つ意味が、来週はさらに大きくなると思います。
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