
一括と積立どっちがいいの
本記事では主題について投資信託やETFで最も人気のあるS&P500インデックスをベースにシミュレーションしながら一括投資と積立投資のパフォーマンスの違いを解説できればと思います。
シミュレーション設定
わかりやすくするために設定は簡素にしていきます。
投資時期:2016年以降のある時点からスタートする。
評価時期:積立の総額が一括投資額と等しくなった時点で比較する。
一括投資:ある月度に1回だけ投資して、その後の追加投資はしないものとする。
積立投資:一括投資と同月から積立を開始し、毎月1万円を積み立てるものとする。
パフォーマンス:インデックスの月度の平均値を用いて前月との月度比が評価額に反映されるものとする。
その他:手数料や税金は含まず、インデックスのパフォーマンスだけにならうものとする。
シミュレーション結果
それではシミュレーション結果を見ていきましょう。
グラフはS&P500インデックスを青い点線で共通に表示して、右側第2軸にしています。
2016年7月からの単純比較はこのようになります。
一括の投資額は100万円になります。
積立額が100万円に達したところで比較すると一括のほうがパフォーマンスが高いです。
しかしながら積立のほうでも76%成長とそれなりにパフォーマンスが高いことがわかります。

次に投資のタイミングについて差が出るか比較してみます。
コロナ暴落時の底値で投資を開始したとしてシミュレーションしてみます。
'26年の終点で100万円まで積み上がりませんので、ここでは70万円を投資額とします。
開始時期が異なっても一括のほうがパフォーマンスが高いことに変わりないようです。

では、コロナの直前の高値の時点から投資していたらどうなっていたでしょうか。
非常に興味深いシミュレーション結果となりました。
上記のコロナ暴落時の前月の高値から投資開始していた場合のシミュレーションです。
ここでも同じく投資額は70万円です。

グラフ中段の2本の緑色の線に注目してください。
暴落前の一括投資のほうは翌月の暴落で評価額が一気に下がり、その後のパフォーマンスは暴落時からの投資より劣後したままです。
同じ一括投資でも暴落直後の投資と比較して最終的に24%の差が開いてしまいました。
投資開始のわずか1ヵ月の差がこれほどまで大きくパフォーマンスを変えてしまいました。
チャールズ・エリス氏の敗者のゲームにある「稲妻が輝く瞬間」がまさにこのV字回復の期間を指しています。暴落時に投資すると後に埋まらないほどのパフォーマンスの差が現れる、と表現されています。ただし、この機会を得るには市場に居続ける必要があります。逆に、暴落時に手放すと後の反転の機会を失うことにもなります。
一方で積立のほうは、グラフのオレンジ色と黄色の線はほぼ重なっていますから、投資開始が1ヵ月ずれ込んでもパフォーマンスの差は見られませんでした。
初期の投資額が小さかったため暴落の影響を受けなかったことと、投資額を小額に分散することでインデックスの大幅な変動を受けないようになっています。いわゆるドルコスト法のリスク分散がこれに相当します。
まとめ
それぞれのメリデメで比較評価してまとめます。
<一括投資>
メリット :早く開始するほど積立よりもパフォーマンスが高くなる。
デメリット:投資のタイミング次第で想定よりもパフォーマンスが劣後する場合がある。
<積立投資>
メリット :開始タイミングに依存せず、市場の大幅な変動影響も受けずパフォーマンスが安定している。
デメリット:同じ投資予算で比較すると一括投資のほうがパフォーマンスが高い。
突き詰めていって最終的に「では、どっちがいいの?」となりますが、これについては社会経済の理論や思想、多くの著書、ブログなど、投資家の数だけ意見があるといっていいでしょう。
個人的見解になりますが、市場は予想できないものとして投資タイミングの観点から一括投資がやや劣勢と考えます。市場に居続けたとしても暴落のチャンスを捉えるのは難しいですから。仮に暴落時に投資できたとしても、それまでに温存していた資金は1円も増えていませんから、暴落が来るまでは機会損失といえます。むしろ暴落を逃すリスクのほうが大きく感じますし、その時になって「少しでも積み立てておけばよかった」と後悔しても目も当てられません。
反駁して「思い立ったが吉日」を投資ポリシーとされている方もいるでしょう。そのような方には一括投資をオススメします。
また、長期分散積立を推奨する声が多いのはリスクを取る中での安定性をメリットとしているからだと思います。
インデックス投資をされている皆様はどのような思想で投資されているでしょうか。
一括と積立の考え方についても忌憚なく御意見いただきたいと思います。