
「運命」
「運命」なんて虚しい言葉だ。
必然。
全てはあらかじめ決まっている。
君と出会うことも。君を好きになることすらも。
劇的だと舞い上がったあの瞬間も、情緒もなく仕組まれたこと。
鮮烈にこみ上げたあの感情も、機械的に誘発されただけのこと。
なんだ、結局は神様の掌の上じゃないか。
しまいには、僕らが“奇跡”と呼んでいるそのすべてが
列を成して、いまもどこかで順番待ちをしているのだろう。
———それでも僕はこの言葉が微かに、
でもなお確かに纏うロマンチシズムを
どうしても無視できない。
「あなたと出会えたことはきっと運命だね」
なんてあまりにも嬉しそうに君が言うから。
僕の人生が「運命」なんて言葉で、確固たるものになっていても構わない。
君が横にいるのなら。
だって、君に出会うと決められた「運命」こそが、
とんでもない「奇跡」なのだから。