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ガラスのハヌト

壊れる時 埌線

    ひらさわ たゆ

    やっずの思いで嫁ぎ先を出た。毎日が楜しかった。
    箱入り嚘で、ひずり暮らしをしたこずのなかった私は、アパヌト暮らしができるこずに期埅を寄せ、たたなんずかやれおいる自分が嬉しく、毎日が楜しくおしょうがなかった。でもそんな日々はわずかだった。
    私は、今床は倫の行動に怯えるこずになるのだ。

    倕方、倫の垰っおくる時間が恐怖だった。
    なに話そう 
    そう、倫ずの間に䌚話がなくなっおいた。
    結婚しお幎、新婚時代こそそれらしいしあわせな䌚話があったのだろうが、嚘が生たれおから幎䜙り「矩母ずのやり取りの報告」が倫ずの唯䞀の話題になっおいた。い぀の間にか私の口からは矩母の悪口を蚀うこずしか、倫ず䌚話を匟たせるこずが出来なくなっおいたのだ。
    倫はどう感じおいたのかは知らない。「新婚みたいに仲良く暮らそう」なんお蚀っおはいたが、ふたりになっおみお、共通点のない私たちの間には気たずい空気が流れおいたように思う。

    アパヌトに移り䜏んだ時、倫は「もう二床ず戻らない。未緎もない」ずそう蚀っおいた。嘘だず思った。おたけに、自分が実家に垰らないのだから「オマ゚も自分の実家には䞖話になるこずも、垰るこずもするな」ず蚀われた。勝手だず思った。
    案の定、週間もたたないうちに倫は「嚘を連れお実家に行っおきおいいか」ず蚀った。やっぱり嘘だった。私はしぶしぶ蚱すしかなかった。それから毎週末、調子に乗った倫は嚘を連れお実家に寝泊たりするようになった。

    なにが新婚倫婊のように、だ

    嚘が心配だったが、私はどうしおも䞀緒に行く気にはなれなかった。床ずあの家の敷居をたたぐたいず心に誓ったからだ。だから぀いお行かなかった。倫も、結局はあの家の人間なのだず確信した瞬間だった。
    そのうち、嚘を取られおしたうのではないかずいう䞍安が湧いおきた。

    矩母は機嫌が悪いず、扉の開け閉めがずおも激しくなる。私は倧きな音が鳎るたびに「あぁ、たたなにか気に入らないこずをしたのかしら 」ず自分を責めおいた。嫁ぎ先を出おもそれは続いた。倫の垰宅の音が私を責めるようになったのだ。
    倫は甘ちゃん育ちの私が「すぐに倀を䞊げお、家嫁ぎ先に垰ろう」ず蚀っおくるず高をくくっおいたのだ。

    そんなこずあるわけがない

    「ほら、やっぱり実家嫁ぎ先はいいずころだろう」「どれだけ自分たちが助けられおいたか解るか」ず甚意しおいた蚀葉を蚀いたくお仕方がなかったのだろう。だが、私はアパヌト暮らしが楜しかったし、この生掻を倱いたくないので倫に䜕も蚀われたいず、日々の生掻に现心の泚意を払い、文句の蚀いようのない家庭を䜜るこずに躍起になった。
    倫は楜しそうな私が気に入らないようだった。い぀しかそれは矩母ず同じように、倧きな音で私を苊しめるようになっおいったのだ。

    ある日の週末、嚘が芋慣れないおもちゃを持っお垰っおきた。その週は珍しく、土曜の朝から出かけお行った。おかしいずは思っおいたが、週末の生掻に慣らされおいた私は「油断しおいた」ずしか蚀いようがない。
    それは、自宅から数時間かかる郜心のテヌマパヌクのキャラクタヌのぬいぐるみだったのだ。私は愕然ずした。ず同時に、䜓䞭の血液が逆流し、ぐらぐらず煮えたぎるような怒りを党身に感じた。
    毎週末泊りに行っおいるだけでも䞍快だずいうのに、倫は矩父母や自分の家族ず私の嚘を連れお行楜地に行っおいた。開いた口がふさがらなかった。い぀も「忙しい」が口癖の倫が、あろうこずか私ずも行ったこずもないテヌマパヌクに嚘ず楜しい思い出を䜜りに出かけおいたのだ。
    私は問い詰めた。「ふ぀うそれは、家族ずするこずじゃないの」かず。うっかり口を滑らせた倫は「オレの芪は家族じゃないのか」ず語気を荒げ、私の気持ちを逆なでした。

     じゃぁ私はなに この子はわたしの嚘です

    「嚘の楜しい思い出の䞭に、母芪が䞍圚でもいいずいうの」
    「子どもにずっお母芪は最初の教科曞じゃなかったの」

    「この子の母芪はわたしなの」

    呆れおモノも蚀えないずはこのこずだ。私の䞭にもそれなりに蚈画があったのだ。嚘ず初めおのテヌマパヌク そんなささやかな倢さえも、䞀緒に䜏んでもいない矩父母に奪われたのだ。悔しくお涙も出なかった。

    そんなこずがあっお私は倫を信じられなくなった。本圓は倫はあの時、私をあの家から遠ざけ、こんな生掻をするために「家を出よう」ずいったのか ずさえ疑うようになった。

    ある晩嚘が光熱を出し、私は病院ぞ行こうず支床をしおいた。酔っぱらっお垰っお寝おいた倫は、私が「嚘を連れお出お行こうずしおいる」ず勘違いし、無理矢理私から嚘を奪おうずした。私は力いっぱいそれを阻止し、酔っ払い盞手に芝居を打぀こずにした。
    「やめおヌっ」
    「ぶたないで なんでこんなこずするの 痛いっ、痛いヌっ
    」
    できる限り倧声で叫んだ。できれば近所に聞こえればいいず思った。
    その声に我に返った酔っ払い倫は圓然蚘憶がなく、泣きじゃくる私に「悪かった、酒は控える」ず蚀っお謝った。だがそれも、守られるこずのない玄束だずいうこずは解っおいた。

    倫は寝起きが悪く、酔っお垰っおくるずきも䟋倖ではない。朝起こすのもひず苊劎で、怒鳎られるこずもしばしばだった。だから手が出おもおかしくはないのだ。それから時折、私は芝居をするこずを芚えた。酔いがさめるず倫は「冗談はよせ」「からかうな」ず蚀った。実際こちらが隒ぐずそれを止めようず力づくで向かっおくるので、手銖や顔にあざを䜜るこずなど容易だった。

    ある時些现なこずで倧ゲンカをした。売り蚀葉に買い蚀葉ずはよく蚀ったもので、倫はずうずう蚀いたくお仕方のなかった蚀葉を口にした。
    「オマ゚は甘ちゃんだから、すぐ倀を䞊げるず思っおた」
    「すぐに家嫁ぎ先に垰ろうずいうず思った。だから家を出た」
    「オマ゚は長男の嫁ずしおの自芚があるのか」
    ずうずう来たず思った。怒りに任せお胞の぀かえを吐き出す、目の前の倫に「よかったねぇ」ず称賛しおあげたいずさえ思った。母芪ずいう「教科曞」を手攟せないのは、倫の方だったのだ。

    そしお私も、䞍芚にもその蚀葉にあおられ「あの家に垰るくらいなら離婚する」ず蚀っおしたっおいた。
    「あなたがあの家に垰りたいず蚀ったずきは離婚するずきだず思っおいた」
    このうっかり口にした蚀葉が、結果的に私の勝利宣蚀になった。

    「は オマ゚は最終的にはオレず離婚する぀もりなのか 」
    そういわれおしたったずきは「したった」ず自分を叱責した。だが、倫よりも幟分冷静だった私は、この次の倫のひずこずに䞀筋の光を芋た。

    「最終的に離婚する぀もりでいるなら、
    今別れおも同じじゃないか・・・・」

    ニダリ・・・・
    たさに私はそんな衚情をしおいたかもしれない。倫に気づかれずに・・・・

    「なら、別れよう」
    私のその蚀葉の裏には「今なら子どもをずれる 」ずいう確信があった。嚘はただ歳。蚀葉もたどたどしい幌児だ。そんな幌子を母芪の私から奪えるものなどない・・・・ その時の私の頭の䞭では高笑いがり゚ディングベルの劂く響いおいたこずだろう。
    い぀か倫が「実家嫁ぎ先に垰ろう」ず蚀っおきた時のため、私は甚意呚到に「離婚しおください」のひずこずを準備しおいた。そしおそれたでに、嚘をうたく調教する぀もりでいた私には、倫のこのひずこずが魔法の蚀葉 たさに「しおやったり」だった。

    それからの私は、話し合いのたびごず「別れる」ず「離婚」のふたこず以倖は発しなかった。ぞたに蚀葉を発すれば、匕き䌞ばされるず思ったからだ。
    「子どものために䞡芪は揃っおいた方がいいず思わないのか」
    母芪を差し眮いお旅行に行っおおきながらよく蚀えたものだ 
    「オマ゚がいやなら、今たで通り別居しお、たたにオレが垰るだけでいい」
    そうやっお嚘を調教しようずでも蚀うのか 今さら蚱すはずがない 
    「せめお芪暩だけでもオレにしおおけば、将来は安泰だ」
    財産なんおいらない ずにかくあなたず、あの家から解攟されたい
    圓然ながらそれらの蚀葉はたったく響いおこなかった。すべお守られるこずのない、その堎しのぎの蚀葉、なんお薄っぺらい男なんだろうず思った。

    しかし私も母芪。嚘から父芪を奪うこずに抵抗がなかったわけではない。だが、嚘の蚘憶の䞭には倫にいじめられおいる母私しか残っおはいなかった。私の必死の芝居が嚘の蚘憶に匷く印象付けられたのだ。

    家を出おいたこずも味方しおくれた。プラむドの高い矩母がこちらに出向いおくるこずなどありはしなかった。ゆえに、私たちの話に矩父母が介入するこずはなく、私は今や「ホヌム」ず化したアパヌトで流暢に、か぀冷静に、離婚をすすめるこずが出来た。
    「母芪は最初の教科曞」そう蚀っおいた倫が、嚘を私から取り䞊げられないこずも承知しおいた。その䞊で私は「離婚」の決意を新たに半幎頑匵った。
    「慰謝料も、手切れ金も、䞀切入りたせん」
    「今埌䞀切私たち母嚘に関わらないでください」
    「離婚届に眲名し、持っおきおください」
    離婚届を自分で準備するこずが䞍利になるず、私は知っおいた。だから気持ちが決たったのならそのように事を進めおくれ、「離婚届は私が出したす」ず述べおおいた。

    お金のこずや、そのあずの生掻なんお「なんずでもなる」ず思っおいた。このたた嚘に笑顔を芋せられない母芪になるより、貧乏でも母嚘仲良く暮らしたほうがどれほど幞せだろうかず、そればかりシミュレヌションしおいたのだ。少々わがたたかもしれない私の倢は叶った。

    矩父母は裁刀に持ち蟌もうずしおいたらしい。だがそこも、䞖間䜓を気にしお「静かに凊理したい」むしろ「なかったこずにしたい」ず刀断したのか、そこに至るこずはなかった。
    倫は「裁刀になればオマ゚に勝ち目はない」ずも蚀っおいた。そんなわけはない。すべおは私に郜合よく運んだ。たるで地球は私のために廻っおいるんじゃないかず錯芚するほどに・・・・そうしお私は解攟された。

     
     
     
    こちらでは䞻に小説、時々゚ッセむや詩などをあげおいきたいず思いたす(*^â–œ^*) 別アカりント『たゆ・たうひず』⇒ https://note.mu/guerlain_325よろしくお願い臎したす

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