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任せない女奇譚の瞁偎怪異の吟味シリヌズ⑮

    少し飲んで垰っおきた倜だった。

    眠りが浅かったのか、倜䞭に䞀床、トむレに起きた。

    廊䞋ぞ出るず、家のどこかで音がした。

    びし。

    ぱき。

    がた。

    この家は、おばあちゃんの代からある叀い家だった。

    癟幎ほど経っおいるので、倜䞭に少しくらい鳎るこずはある。

    最初は、い぀もの家鳎りだず思った。

    けれど、その倜は少し違った。

    びし。

    ぱき。

    がたがた。

    やたら鳎る。

    今床は、ガラス戞の方だった。

    私はそっず近づいた。

    暗い廊䞋の先、ガラス戞の桟に、小さなものが䜕匹かいた。

    䞉十センチくらいの小鬌だった。

    角がある。
    腹も少し出おいる。
    䜕匹かが䞊んで、戞の瞁を抌したり、叩いたりしおいる。

    びし。

    ぱき。

    がた。

    「䜕しおるんですか」

    小鬌たちが、䞀斉にこちらを芋た。

    䞀匹が胞を匵った。

    「家鳎りです」

    「家、壊しおたす」

    「鳎らしおいるだけです」

    「迷惑です」

    小鬌たちは顔を芋合わせた。

    「人間を驚かしに来た」

    「驚いおはいたす」

    「そうは芋えん」

    「眠いので」

    私はガラス戞の前にしゃがんだ。

    「いたずらですか」

    「いたずらです」

    「すごい迷惑です。倜䞭なのでやめおもらえたすか」

    「劖怪なので」

    「劖怪でも、倜䞭はやめおください。倫が起きたす」

    小鬌たちは、少し䞍満そうにした。

    私はふず思い出した。

    「あれですよね。倜䞭にこっそり家事をしおくれるんですよね」

    小鬌たちは黙った。

    「違いたすか」

    「それはスコットランド方面です」

    「方面」

    「家の粟霊です」

    「違うんですか」

    「違う」

    「でも、すごくそれっぜいですけど」

    「それっぜいず蚀われおも」

    「じゃあ、䜕もしないんですか」

    「鳎らす」

    「それは困りたす」

    「じゃあ、たた来る」

    「せめお昌間にしおください」

    「昌間」

    「誰もいないので」

    「それでは意味がない」

    「こちらにはありたす」

    その倜は、䜕床か蚀い聞かせお垰っおもらった。

    小鬌たちは、最埌に䞀床だけ、ガラス戞を小さく鳎らした。

    ぱき。

    「それです」

    「これか」

    「それをやめおください」

    小鬌たちは、しぶしぶ消えた。

    翌朝、倫は䜕も気づいおいなかった。

    私は少し安心した。

    二日埌の倜、たた音がした。

    びし。

    ぱき。

    がた。

    私は廊䞋に出た。

    いた。

    今床は、ガラス戞だけではなく、食噚棚の䞋にもいる。

    「倜䞭はやめおくださいっお蚀いたしたよね」

    「倜䞭にしか来られん」

    「事情があるんですか」

    「ある」

    「䜕の事情ですか」

    「蚀えん」

    「そういう事情なんですね」

    小鬌の䞀匹が、少し埗意そうに蚀った。

    「䜕かくれるなら、手䌝っおもいい」

    「それ、やっぱりスコットランド方面では」

    「方面ず蚀うな」

    「家事をしお、䜕かもらうや぀ですよね」

    「䌌おいるだけだ」

    「寄せおたせんか」

    「寄せおない」

    私は食噚棚の方を芋た。

    「そういえば、食噚、觊りたしたね」

    小鬌たちが固たった。

    「片づけた」

    「眮き方が違いたす」

    「片づけたのに」

    「お皿の向きが逆です」

    「向き」

    「深皿は奥です。平皿は手前です」

    「知らん」

    「知らないなら觊らないでください」

    別の小鬌が、掗濯かごの方を芋た。

    私はそちらも芋た。

    「掗濯物も觊りたしたね」

    「畳んだ」

    「畳み方が違いたす」

    「畳んだのに」

    「タオルは䞉぀折りです」

    「四぀にした」

    「そこが違いたす」

    「现かい」

    「家の䞭は配眮が呜です」

    小鬌たちは、少し埌ずさった。

    「掃陀機のコヌドも、巻き方が違いたした」

    「そこたで芋るのか」

    「芋たす」

    「怖いな」

    「倜䞭にガラス戞を鳎らす方が怖いです」

    それから小鬌たちは、少しだけ反省したような顔をした。

    「では、䜕をすればいい」

    「䜕もしなくおいいです」

    「䜕もしないのか」

    「勝手にしなければ」

    「それは、぀たらん」

    「぀たらなくおいいです」

    䞀匹が、廊䞋の奥を芋た。

    「そこ、鳎るぞ」

    「どこですか」

    「玍戞」

    私は振り向いた。

    たしかに、最近、玍戞の戞が少し閉たりにくかった。

    「芋られるんですか」

    「鳎るずころは分かる」

    「修理できたす」

    小鬌たちは黙った。

    「鳎らすだけですか」

    「鳎らすだけではない」

    「では、お願いしたす」

    「今か」

    「今です。倜䞭に来たんですから」

    小鬌たちは顔を芋合わせた。

    「玍戞の戞、少しゆるいんです」

    「ゆるい」

    「あず、衣替えの箱が奥にありたす」

    「衣替え」

    「぀いでに出しおください」

    「぀いでに」

    「小さいので、奥たで入れたすよね」

    「小さいず蚀うな」

    「䟿利です」

    「䟿利ず蚀うな」

    それから、小鬌たちは玍戞ぞ向かった。

    䞀匹が戞の䞋を抌さえた。
    䞀匹が敷居を叩いた。
    䞀匹が奥に入り、衣装ケヌスを匕っ匵った。

    ごず。

    ぎし。

    ぱき。

    「今の、どこですか」

    「玍戞の巊」

    「そこも盎せたす」

    「盎すのか」

    「鳎らすだけでは困りたす」

    小鬌たちは、だんだん無口になった。

    私は暪で、衣替えの箱を確認した。

    「それは冬物です」

    「重い」

    「その奥の薄い箱です」

    「奥」

    「はい。右です」

    「右ずはどっちだ」

    「そっちです」

    「人間の家は面倒だな」

    「勝手に入るからです」

    小鬌たちは、最埌には党員で玍戞の前に座り蟌んだ。

    「もう鳎らせん」

    「鳎らさなくおいいです」

    「垰る」

    「はい。ありがずうございたした」

    「瀌は蚀うのか」

    「䜜業は助かりたした」

    「家事ではないぞ」

    「修理です」

    「劖怪に修理を頌むな」

    「倜䞭に来るからです」

    小鬌たちは、ふらふらしながら消えた。

    最埌の䞀匹だけが、振り返っお蚀った。

    「䜕かくれおもいい」

    「スコットランド方面ですね」

    「方面ず蚀うな」

    そしお、いなくなった。

    その倜、私はたたトむレに起きた。

    廊䞋は静かだった。

    びし、ずも、
    ぱき、ずも、
    がた、ずも鳎らない。

    玍戞の戞だけが、前より少しきちんず閉たっおいた。

    私は、しばらく耳を柄たせた。

    䜕も鳎らなかった。

    今日は来なかったな、ず思った。

    ただ、たた来るかもしれない。

    たた来た時に、玍戞だの衣替えだの修理だのを頌むず、少しかわいそうな気もした。

    私は翌日、小さい服を䜕枚か甚意しおおいた。

    スコットランド方匏が、日本の小鬌に効くかは分からないけれど。

    あずがき
    なし

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    随筆・゚ッセむ・奇譚・俳句・詩・短線・掌線・ショヌトショヌト小箱・断章を曞いおいたす。説明や結論より、配眮ず䜙癜を残す曞き方が奜みです。日垞の䞭の小さな違和感を、芋守る距離から曞き留めおいきたす。

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