
羊さんは、楽勝。
あ、間違えて持って来ちゃった。
先輩のノート。
昨日、図書館で一緒に勉強してた時、
下校時間で慌てて、鞄に入れちゃった。
まっ、いっか。今慌てても仕方ない。
授業中だもんね。
お昼ご飯済んだあとの授業って、なんでこんなに眠いんだろ。
窓際からの日差しも心地良すぎ。
グラウンドで、サッカーの授業してる。
あ、先輩いるじゃん!
一応、先輩。
小学生の頃は、近所のお兄ちゃんって感じだった。
先輩って呼んでるけど、その方が面倒くさくなさそうだから、とりあえず、ね。
って、言ったら怒ったふりは
してきそうだけど。
中学入った頃からかな。
気づいたら、話さなくなってた。
今は、先輩と幼馴染の中間。気楽な関係。
先輩のノート…字綺麗だな。
雑にリュック、床に置くヤツとは
思えない。
私の字がお子ちゃまみたいに見える。
ん?ノートの端に、変な絵。
字の綺麗さとは対照的な残念さ。
何、これ。犬、猫…羊??
誰かに説明したんだろうな、綺麗な字で注釈がついてる。
なんで注釈つけて、余計謎になるの。
いたずらコゴロにスイッチ入った。
裏のページだと目立つから…
その前のページに描いちゃお。
先輩、ノート最後まで使い切るタイプなんだよね。
私、絵だけは得意。先輩に勝てる。
羊さんは、楽勝。
問題は字のほう…
難いっ!
今日の授業は、これに賭ける。
先生、ごめん。
何気に私の顔も可愛さマシマシで
描いておこう。
このページに気づくのは、いつだろう。
どんな顔して見るのかな。
意外にゲラなの、私は知ってる。
ーーーーーーーー
「……え?」
シャーペン持つ手が、止まる。
授業のまとめを書こうとして開いたページに、
見覚えのない絵。
……あいつか。
一気に眠気が飛んだ。
妙に上手い羊。
ノート間違えて、持ってった時か。
羊…あーあの絵見られたのか。
なんだよ、このマウント。
その隣には、
見覚えありすぎる顔まで描いてある。
自分、可愛く描きすぎだろ。
しかも、やたら楽しそうに笑ってる。
なんかムカつく。
笑うな、俺。
思わず声をあげてしまった。
おい、深夜2時だぞ。
マジかよ。
相変わらず、きったねー字だな。
無理して真似したんだろうけど。
ま、頑張りは認めてやるか。
これか、何気にノートの探りをいれてたのは。
あー、もっと早く気づくべきだった。
あいつ、いたずらしたら、顔に出るんだよな。昔っから。
変わってないのかよ。
これは、見なかった、気づかなかったフリをすべきじゃないか?
見つけたらなんて言ったら、嬉しがらせるだけだ。負けのような気がする。
いや、必要以上にいじられる。
それは、避けたい。
あいつと違って、俺は顔に出さない自信がある。
…多分。