メインコンテンツへスキップ
見出し画像

金曜24時のパテドカンパーニュ。すべては窓辺モーニングのために

    よっこらしょ、とダイニングテーブルを窓辺まで運ぶ。
    わが家はマンション暮らしだが、小さいながらに庭があって庭の向こうには豊かな植栽が広がっている。
    季節によってはまるで森の中、リビングの掃き出し窓を開ければ小さく森林浴が叶うような環境である。
    緑が豊かなら当然虫も多く、虫が多いのでせっかくの庭なのにそこで優雅に朝食をとったり、コーヒーを飲むことは
    ほぼない。
    しかしながら、庭にいる気分を感じながら食事をしたい、という欲はありあまるほどあって、
    休日の朝は窓辺にダイニングテーブルを寄せてピクニック気分でモーニングを楽しむことにしている。
    ダイニングにあるテーブルをじりじりと窓辺に移動させる作業は、ピクニック開始の狼煙のような儀式なのだ。


    画像

    わたしは昔から、朝食にかける気合いが人一倍ある。
    3食のどの食事よりもモーニングを充実することができれば、1日が豊かになるのだ、と信じて生きてきた。
    とはいえ平日は、いくら早起きしても豊かなモーニングを過ごすには限界がある。
    料理やテーブルを優雅にしつらえても、どうしたって出かける時間が気になり豊かさは削られるからだ。
    だからこそ、週末の朝食時間はわたしにとってパラダイスでヘヴンで、
    わたしが自作自演のシェフでありギャルソンでありゲストになる時間なのだ。

    ようやく迎えた週末、特段予定もないしゆったりと窓辺モーニング、どころかブランチにまで持ち込めそう。
    そんな日は前日夜から仕込みにかかる。
    金曜日の夜、正直ぐったり疲れてバッテリーは残り20%を切ったあたり、けれどわたしはレバーを叩いてペーストにしている。
    すべてはお客様のために、ではなく、すべては週末の窓辺モーニングのために、なのである。
    そんなわたしの「朝食至上主義」の歴史において、今頂点に君臨しているキングでありクイーンがパテドカンパーニュ(略してパテカン)だ。

    1年ほど前からなぜか急に、パテドカンパーニュ作りにはまり込んだ。
    パテドカンパーニュとは、フランス語で「田舎風のパテ」のこと、
    豚肉やレバー、ハーブ、スパイスなどを使った伝統的な肉料理である。(よくビストロで前菜で出てくる。)
    シャルキュトリーと呼ばれるパテドカンパーニュ、ハム、ソーセージ、テリーヌなどは、日常的に手製で準備するには手間暇かかりすぎるものだけれど、ある時たまたま見かけたレシピでパテドカンパーニュを作ってみたら、あらびっくり、思っていたより簡単にできて、尚且つすこぶるおいしかった。
    出来上がった時の達成感や、さほどな手間に対して予想外にちゃんとシャルキュトリー然となっていたことにいたく感激したのである。
    それ以降、時間を見つけては実験のように夜な夜な作っては食べて、また調整して、を繰り返すのが楽しくなった。


    画像

    パテカンがある朝食のテーブルを想像すると気分がぶち上がる。
    幼き頃から信じてやまない「朝食が豊かだと1日が豊か、ひいては人生が豊か!」の信念に100人力の強力な味方ができた気持ちだ。
    自作のパテドカンパーニュに、季節の野菜のマリネを色とりどり作って、一皿にサラダみたいに盛り付けるんだ、
    茹でた豆も合わせよう。
    そんなふうに朝食の妄想をしながら、挽肉をこねてレバーを混ぜてスパイスを加えてまた練って。
    ニヤニヤしながらオーブンに入れる。
    パテドカンパーニュを作る、というとなんとなく「ものすごく手間がかかりそう」とか「材料を準備するだけで大変そう」など、大袈裟で大仰な印象が殺到するが、実際作ってみるとそれほどではないことに気がつく。(これは作ってみればよくわかる。)
    材料に関しても、もちろん突き詰めると専門店にしかないような食材が必要になるけれど、近所のスーパーにあるものでも十分パテドカンパーニュができて、ちゃんと立派なシャルキュトリーになる。
    オーブンで1時間ほど蒸し焼きにされたパテカンは、しっかり一晩冷蔵庫で冷やす。
    (パテカンは一晩寝かせて食べるもの。なので前日の夜に焼いて冷やしておけば、翌朝は切るだけで完了する。)
    葉物野菜と、ゆで卵、マリネ(じゃなくても切っただけのトマトなどでもいい)を一皿に合わせれば、とびきりの朝食になる。

    画像

    窓辺に寄せたテーブルには白いクロスをかけてキリッと、
    庭の緑は青々と濃くて、1年で一番森らしい景色。
    厚く切ったパテドカンパーニュにナイフを入れて、週末の窓辺モーニングがはじまる。
    日常を特別にするのは思うほど難しくないし
    日常が特別になれば人生は輝く。と信じている。

    画像


    ある週末のモーニング メニュー

    パテドカンパーニュ
    新玉ねぎのマリネ
    焼きトマトのマリネ
    蓮根のマリネ
    クレソン、ディル、スナップエンドウ、レンズ豆、ゆで卵

    新玉ねぎのスープ
    パン
    イングレッシュブレックファースト(紅茶)

    画像
    一晩寝かせたパテドカンパーニュ。


    パテドカンパーニュ(レシピ)

    <材料>18×9×6cmパウンド型1本分
    豚ひき肉  300g
    鶏レバー  100g(牛乳大さじ2に30分ほど漬け込む)
    ベーコンスライス  140g

    玉ねぎ  1/4個(みじん切り)
    セロリ  1/2本(みじん切り)
    にんにく  1かけ(みじん切り)
    クルミ(ローストしたもの)  30g

    卵  1個
    ナツメグパウダー  小さじ1/4
    シナモンパウダー  小さじ1/4
    クローブパウダー  少々
    胡椒  小さじ1
    塩  小さじ2
    赤ワイン  大さじ1
    ブランデー(あれば)  大さじ1
    ローリエ  3枚

    <作り方>
    1.レバーは牛乳をきれいに洗って、血のかたまりや筋を取り除き、水気をしっかり拭く。刻んでから包丁で叩いてペースト状にする。
    2.ボウルに豚ひき肉を入れる。塩、胡椒を加えて肉に粘りが出るまでよく練る。レバーを加えてさらに混ぜ、スパイス、野菜のみじん切りの順に加えて、都度よく混ぜる。
    3.卵、赤ワイン、ブランデーの順に加えてよく混ぜ、最後にクルミを加える。
    4.型にクッキングペーパーを敷いて、ベーコンを型のそこから外側に半分垂らすように少しずつ重なるように並べる。3の生地を少しずつ空気を抜くようにして詰めていく。
    表面を平らにならし、最後にふたをするようにベーコンを折る。
    表面にローリエをのせて、さらにアルミホイルでふたをする。
    5.バットに型を置き、バットの高さの3/4くらいまで湯をはる。
    天板にのせて160度のオーブンで55−60分焼く。
    6.オーブンから取り出し、型のまま底面を氷水で急冷し、粗熱が取れたら冷蔵庫で一晩寝かせる。型から外して、食べやすい厚さに切っていただく。4、5日寝かせてもおいしい。















     
     
    好きなことは、料理すること食べること、テーブルまわりをしつらえること。ことばをつなげて紡ぐことも好きです。何もない日も特別な日も、料理を作って盛り付けたらいつもの時間が始まります。特に好きなのは、サラダとスープ、そしてティー(おやつ)。Instagram akimarimekko

    あなたへのおすすめ