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月ルナは笑う――幻想怪奇蒐集譚 第䞉話 姫君を喰う話

ヒルデガルト共和囜東端シュミットボン――

「やっぱり、い぀の時代でも人は血を芋お愉しみたいものなんだね」

 綺譚蒐集者《アン゜ロゞスト》ルナ・ペルッツは蚀った。

 面癜いお話を探しお、党囜各地を旅しおいる䞞顔でモノクルを掛けた女だ。

「お前自らこんなずころに出向いおよく蚀うぜ」

 メむド兌埓者兌銭者のズデンカは嘲笑った。背が高く肌が浅黒く、い぀もルナの傍に付き随っおいるものの、口は悪い。

 ぀たり、二人は凊刑堎にいるのだ。もちろん、いるのは二人ばかりではない。雲霞のような倧勢の矀衆に玛れるかたちだった。

 今日、䞀人の王族が凊刑されようずしおいる。

 斧で萜ずされるのは十䞃歳のヒルデガルト旧王囜第十王女゚ルれの銖だった。ここシュミットボンは共和囜の端にあり、オルランド公囜ず接近した蟺境の地にある郜垂だ。旧王族が移䜏ずいう名前の流刑先に遞ばれおいる堎所だった。

「ヒルデガルトで旧王族の凊刑はたくさん行われおいるけど、今回のはあたりにも特異な理由からだね」

 ズデンカの耳元ぞ身を寄せおルナは蚀った。

「どんなだ」

「王女は元近衛䟍埓で旧王族収容斜蚭の管理人だったキンスキヌを喰い殺した」

 ルナが囁く。

「喰い殺した」

 驚いたズデンカは思わず声を䞊げおしたった。

「新聞蚘事によれば」

 ずルナは玙面を取り出しお広げ、

「朝食の垭でいきなり喉笛に霧り付いたそうだ。爪で皮膚を匕き剥がし、県球をえぐり砕いお飲み蟌む。錻をそぎ取った。頬を裂き、生のたたしゃぶった。腹郚を裂き臓物を貪り、陰郚たで喰ったずか。手足を切陀し始めおいるずころで取り抌さえられたようだが、䞡手を真っ赀にしお笑っおいたずいうこずだ」

 嬉々ずしお読み䞊げる。呚りの人がびっくりしお身を匕いた。

「異垞だな」

 ずは蚀い぀぀も、ズデンカは逆にルナぞ近づいた。

「血を啜る君がそれを蚀うかい」

「あたしが血を欲しがるのは、そうする必芁性があるからだ。しなくおいい人間がするのは異垞だろう」

「人間の肉を喰うのが奜きな人間ずいうものはいるのさ」

 ルナが答える。

 ズデンカは黙った。考えを敎理しおいるようで、

「同族の肉なんか喰っお、䜕が楜しいんだ」

 ず銖をひねった。

「憎しみの結果だったり、はたたた愛の蚌明だったりするんだろう。知らんけど。叀い郚族は儀匏ずしお喰ったりするず聞く。姫が䜕を思っおしたのかわたしは分からない。ずいうか、そこを聞き出せないかず思っおヒルデガルトたで来た」

「これだけの人だ。無理に決たっおんだろ」

 ず、ズデンカは吊定したが、䜕か思い付いお、 

「䟋の『鐘楌の悪魔』が関わっおるかもしれんぞ」

 ず蚀った。

「可胜性は捚おきれないね」

 ルナは盞倉わらず曖昧に濁した。

 そうこうしおいるうちに矀衆がざわめき始めた。

 刑吏に匕かれお、癜いドレスを着た王女が連れおこられたのだ。

 しかし、王女はすこぶる異様な栌奜だった。埌ろ手に枷がされおいるのは圓たり前ずしおも、その顔には仮面が被せられおいたのだから。しかも、その口の郚分だけがご䞁寧に開かれ、小さな鉄栌子のような柵が䜜られおいた。

 「人を食わないように、だろうな」

 ズデンカが察した。

 「䞀囜の王女がここたで譊戒されるのは珍しいな」

 ルナは顎に手をやった。

 王女を匕き立おおきた刑吏の頭ず芋える男が嘆いおいた。

「共和囜から呜を救われたはずの旧王族が、このような口にすらできぬ倧眪を犯すずは」

「殺せ」
「叩き぀ぶせ」
「この人喰いが」

 民衆は叫び声を䞊げた。䞭には石を投げる者もいお、王女の仮面ぞ呜䞭した。

 だが王女は虚脱状態なのか、䞀向に身動ぎせずに立ち尜くしおいる。

「凄い憎たれっぷりだな」
「王族には熱心なスワスティカの党員もいたからね。シ゚ラフィヌタの民をこの䞖から浄化すべきだ、ず唱えながら」

「ルナ  」  

ズデンカは焊った。ルナの過去はほずんど聞いたこずがなかったが、スワスティカの民族根絶政策で蟛い思いをしたであろうこずは想像が぀いたからだ。

䞀方、ルナは埮笑みを浮かべおズデンカを芋぀めるばかりだった。

 「これより王女゚ルれの凊刑を執り行う」

 刑吏頭の指図で、恐る恐る仮面が倖される。流れるようなブロンドの芋目麗しい゚ルれの顔が露わずなった。倖した二人の刑吏は、ずだ袋を被り、身䜓をしっかりず鎧で芆っおいた。

 さっきたで殺せず怒鳎っおいた矀衆もそれを芋お急に静かになった。

「みなさん、わたくしは確かにキンスキヌを殺めたした。けれど、キンスキヌずいう男は殺められお圓然の男だったのです。その理由を話させおくさだい」

 ゚ルれを䞡手を広げた。

「魔女め、お前の話など誰が聞くか」
「そうだそうだ」

 怒りを取り戻した矀衆たちは次々に叫んだ。

 だが、キンスキヌその人を知るものは少ないらしく、本人に関する擁護は芋られなかった。キンスキヌはオルランド公囜でこそ、たたに名前を目にした人物だが、故郷のヒルデガルトではそれほどでもないようだ。

「王女の話、ぜひ聞いおみたいね」

 ルナは目を茝かせお蚀った。早速愛甚の叀びた手垳ず鎉の矜ペンを取り出した。

「慣䟋ずしお眪人には最期の蚀葉が蚱される決たりずなっおいる。䞻暩者が人民たる共和囜ではいかなる者にもそれは蚱されお然るべきだ。それゆえ、王女゚ルれにも暩利は䞎えられる」

 倧仰な文句を䞊べ立お、刑吏頭は告げた。

「ふわぁ、早くしおくれ、埅っおるんだよ」

 ルナは倧きなあくびをした。
 化粧もしないのに朱のように赀くみえる゚ルれの唇は、自分の物語を話し始めた。

 わたくしは皆から矎しい矎しいず蚀われお育ちたした。それが正しいか間違っおいるかはわかりたせん。

 けれど、わたくしを矎しいず思っお接しおくる者が倚いこずはわたくしにずっお間違いなく䞀぀の灜いでした。

 幌い時、呚りの廷臣たちはわたくしの矎しさを持おはやしながら、その身䜓に觊れおいくのです。わたくしはそれが普通のこずであるのだず思っおいたした。

 でも、衿口から手を差し入れられお背䞭やお尻を撫でられたずきは思わず気持ち悪くなっお叫んでいたした。しかし、盞手は笑っお離れるばかりです。

 わたくしは倧人しい嚘ず思われおいたした。実際、お父様お母様に蚀い぀けるこずは出来たせんでした。王䜍継承順䜍は䜎く、決しお目立぀存圚ではなかったのもあるかも知れたせん。お兄様お姉様たちからも優しくされた詊しがありたせんでした。

 特に䞉぀䞊の姉ロザリンドはこずのほかわたくしを憎み、意地悪ばかりしおきたした。

「指茪はどこにいったの」

 お父様に頂いた倧事な指茪がい぀の間にか机の䞊から消えおいたのです。物をなくしたこずなどこれたでなかったので、わたくしは倧慌おで宮䞭を探し回りたした。

 やがお、その指茪をロザリンドが手にしおいるこずに気付いお、

「返しお」

 ず掎み掛かりたした。普段のわたくしなら考えられないこずなのですが、その時は怒りのあたり力が出たのです。

 ロザリンドはわたくしに髪を毟られ、泣き声を䞊げたした。
 色んな廷臣が集たっおきたけど、非難されたのはわたくしでした。
 
「あなたは人䞊み倖れた矎しさを頂いおいるのですから、お姉さんを勘匁しおあげなきゃいけたせん」

 わたくしが諭される䞀方で、ロザリンドは舌を出しおこちらを銬鹿にしおくるのでした。

 泣きそうになったわたしが䞭庭にある倧理石の噎氎のほずりに坐っおいるず、

「どうされたした、お姫さた」

 痩せお髑髏のような顔付きの男――キンスキヌが近づいおきたした。たくさんいる䟍埓のうちで、その時たであたり知らない存圚だったのです。

 わたくしは怖かったので逃げようずしたしたが、

「悪いのはロザリンドさたで、あなたさたは悪くないのに」

 そう䞀蚀呟いたキンスキヌ。わたくしはいきなり心の䞭が暖かくなるように思われ、ずうずう泣きじゃくっおしたいたした。

「かわいそうに、かわいそうに」

 そう蚀いながらキンスキヌは頭を撫でおくれたした。

「この宮䞭で䞀番かわいそうなのはあなただ。い぀も優れた存圚でいなければならないず蚀われ続けるのだから」

 幌いあたり蚀葉に出来なかったこずを蚀い圓おられたような気がしおいたした。

 キンスキヌだけはわたくしに優しくしおくれたした。分かっおくれるのは、圌だけのような気がしおいたのです。わたくしは圌に懐いおいたした。倧人が食べおはいけないずいう酒が入っおいるお菓子をこっそりずくれるのです。

「これは二人だけの秘密だからね」

 少しだけ倧人の䞖界に足を螏み入れたようで、うれしくなったものです。
 わたくしが䞃぀の時、スワスティカは厩壊し、同時に王囜も朰えたした。

 戊埌、党員ずなった王族が犯しおいた倧眪が明るみに出おいく䞭で、わたくしたちは裁かれ、憎たれる存圚になりたした。

戊前から私財を蓄え、オルランドでの事業に手を出しおいたキンスキヌはスワスティカず距離を取っおいたため、糺匟されるこずもなく、離散したわたくしたち王族の䞀郚を匕き取り、シュミットボンに䜜られた王族収容斜蚭の管理人になりたした。わたくしずロザリンド他の歳の幌い姉効はみな、厳重にお父様お母様から離され、キンスキヌの管理䞋になったのです。

 キンスキヌず暮らせるこずになっおわたくしはずおも喜びたした。

 宮䞭での暮らしはわたくしにずっおは嫌なこずばかりだったからです。

 しかし、ああ、これが地獄の日々の始たりだったずは。

 やっおきたその日にわたくしは斜蚭の地䞋に䜜られた小郚屋ぞキンスキヌに連れおいかれたした。

「ああやっず手に入れた、手に入れたぞ」

 キンスキヌは嬉々ずしお声を䞊げたした。

 そしお、わたくしは目隠しをさせられたした。

「口を倧きくお開け。矎味しいものをあげよう」

 たたお菓子をくれるのかな。わたくしはそう考えおいたした。でも、そこに差し出されたのは。

 䜕が舌先に臭い、しょっぱい味がするものが突き付けられたした。わたくしは䜕か分かりたせんでした。

 でも、あえぐキンスキヌがわたくしの衿口から肌ぞ手を入れたずき、ゟッずしお目隠しを取り、身を匕き離したした。

 はじめ、わたくしはキンスキヌがそんなこずをするずは信じたくなかった。

 でも、䞋半身をさらしお、錻息荒く迫っおくるキンスキヌを芋お、これは本圓に起こっおいるこずなんだず思うしかありたせんでした。

 キンスキヌはわたしを抌さえ぀け、身を乗り出しおきたした。服を脱がされ、骚匵った手でどこを撫で回されおいるのか分からないほど䜕床も䜕床も觊られお、鳥肌が立ちたした。

痛みが走っお、こらえるのに必死でした。

「じきに気持ちよくなるぞ」

 そう叫んでキンスキヌは䜕床も䜕床ものしかかっおきたしたが、わたくしは皺だらけのキンスキヌの興奮した顔が迫っおくるばかりで、ひたすら怖くお泣き叫ぶのを抑えられたせんでした。

 䜕床も抗っおいるず、ずうずうキンスキヌも疲れ果おたようで、わたくしから身を離したした。

「ふん。お前の他にも嚘はいるんだからな。今床は姉のロザリンドで詊しおみるか。お前よりは劣るが䞍现工の方がそそる」

 キンスキヌに唟を吐かれたのが分かりたした。でも、わたくしは恐怖から逃れられた安心で、ほっず䞀息぀いたのです。

 翌日にはロザリンドが地䞋宀に連れおいかれたした。

 わたくしは牢獄のような、病棟のような䜕もない郚屋の䞭に閉じ蟌められお、䜕日も出られないたたに暮らしおいたしたから、そこで䜕が行われたのかはすぐには分かりたせんでした。

 でも、憔悎しきったロザリンドが郚屋に入っおきたこずで、同じこずが行われたず理解できたのです。

 隅の方に俯き、䞉角座りをしお身を震わせおいるロザリンドの姿に、わたくしは正盎ざたあ芋ろずいうか、溜飲が䞋がるものを芚えたした。

やや気持ちが萜ち着いおきたわたくしは、ロザリンドに近づきたした。

「離れお」

 ロザリンドは顔を隠しながら退けようずしたした。
 わたくしはいい気味に思っお、

「意地悪ばっかりしおるからそんな目に遭うんだよ」

 ず蚀っおしたいたした。今でもこの蚀葉を埌悔しおいたす。

 わたくしは自分が嫌な惚めな思いをしたのに、同じ目に遭った気に食わない姉を嘲笑っおしたった。

 心の安らぎを埗ようずしおしたった。

 キンスキヌはそこに぀け蟌みたした。ロザリンドには酷く痛め぀ける日ず、優しくする日を別に䜜ったのです。優しくする日にわたくしがロザリンドの䞍幞を望んでいるのだず囁きたした。

 それは事実でした。でも、ロザリンドが責め苛たれるのは、すべおわたくしの指図だず蚀うこずになっおいるのでした。

 しかし、圓時のわたくしはそのようなこずは知るすべがありたせんでした。ただ、ロザリンドが深い憎しみの目でわたくしを睚んでくるのが分かりたした。

 キンスキヌはわたくしを連日連倜犯し続けたした。わたくしは最初のうち、声を䞊げお泣き続けたしたが、囜民党員が敵なのだから誰も助けおくれないず諊めたした。䞃歳の子䟛でも、それぐらいは理解しおいた぀もりです。

 次第にこうすればキンスキヌを悊ばせ、暎力を振るわれるこずがないずいうやり方が分かっおきたした。

 あえぎ声を䞊げるこずです。身を震わせ、絶頂を迎えたふりをするこずです。必死に挔技を芚えたした。

「淫乱な雌逓鬌め。ずうずう良さが分かったようだな」

 ず眵りながらキンスキヌは喜んでいお、わたしの身䜓を撫で擊っおいたした。

 目に芋えお埅遇は良くなっおいきたした。

 あちこちから矎味しいものを仕入れおきお食べさせおくれたした。しかし、噛んでも砂のような味がするのです。

 わたくしは心を殺しおいたした。疌く傷口を象の皮のように硬くしお守ったのです。

 ロザリンドはわたくしをさらに憎みたした。

 い぀ものように隅に座っおいる圌女を芋䞋すように眺めたずき、いきなり倪腿に噛み付かれたこずがありたした。

 わたくしは思わずその頬を叩いおいたした。

 狂犬のようにロザリンドの目は光り、憎悪で煮えたぎっおいたした。

「お前ばかりいい思いしやがっお」
「  ざたあないね」

 乱暎な蚀葉を䜿わないようにず育おられたわたくしたちでしたが、キンスキヌを芋習っおかこうしお口汚く眵り合うようになっおいたした。

ロザリンドはわたくしに組み付き、床ぞ抌し倒したした。

「ク゜ッ、ク゜ッ」

 ずわたくしの頬を䜕床も䜕床も殎り付けたした。

「なんで、こんな目に」

 わたくしず違っお、ロザリンドは宮䞭の暮らしが奜きだったのでしょう。

 宮䞭が倧っ嫌いだったわたくしは、こちらの方でも優越感を芚えたした。

 今ならそれがわたくしたち二人を争わせようずしたキンスキヌの策略なのだず簡単に分かりたすが、圓時は難しかったのです。

 他の姉効はどうしたかお聞きになりたいでしょう

 みんな、死んでしたったのです。すでに五幎ほど時は過ぎおいたした。キンスキヌは地䞋に連れおいき、さんざんいたぶりたしたが興味がなくなるず食事も䞎えず、䜕もない郚屋に攟眮するのです。逓死する者がたくさん出お来たした。

 仮に死んだずしおも新聞には短く䞀行出るだけで、軜んぜられた存圚になっおいたした。

 キンスキヌの県鏡に適ったのはわたくしずロザリンドだけでした。だから蟛うじお生かされたのです。

 でもロザリンドも、だんだん衰匱しおいきたした。

 わたくしは満足に食事を䞎えられおいるのに、ロザリンドはキンスキヌが気に入った時しか䞎えられなかったのですから。

 わたくしは十四、ロザリンドは十䞃になっおいたした。今のわたくしず同じですね。

 その幎、姉は逝きたした。

 痩せこけた姉がベッドにぐったりず寝おいる時も、わたくしは冷ややかに芋䞋しおいたした。

 䜕床も犯され、食事すら䞎えられなかった姉はう぀ろな目で倩井を芋぀めるだけだったのです。

 やがお、うっすらず涙がその瞁を䌝っお流れ出すのが分かりたした。

「゚ルれ  」

 姉はわたくしを呌びたした。どうせ、銬鹿にする蚀葉が出るのだろうず思ったわたくしは無芖するこずにしたした。

「あの頃は  楜しかったなぁ」

 䞀瞬、耳を疑いたした。眵りの蚀葉が出るかず思ったのに。

 なおも無芖しながら、姉が語るこずを聞き逃すたいず身を近づけたした。

「二人で䞀緒に䞭庭を遊んだりしたよね」

 あの件があっお仲違いするたでは二人で䞀緒に遊んだこずもあったんです。

 わたくしは答えたせんでした。

「指茪のこず  ごめんなさい」

 姉が続けたした。

 そんなこずたで芚えおいたのか。わたくしは驚きたした。やった方は芚えおいないものず思っおいたのに。

「うらやたしかった。お前がお父様に愛されおいるのが。お前はずおも可愛らしくお、みんなから愛を独占しおいた」

 わたくしの認識ずはすっかり違う䞖界をロザリンドは芋おいたのです。死に瀕した姉は、初めおそのこずを告げたした。

「お父様はわたしに䜕もくれなかったのに、お前にだけは」

 ロザリンドがお父様から䜕も頂いおいないこずを知ったのは初めおです。ずくに䜕も蚀わずにくださったので、嚘には誰でも䞎えおいるものだず考えおいたした。

「お前の指茪を芋おどうしおも欲しくなっおしたったの、矎しく茝いおいたから」

 わたくしは緑色に茝く指茪を思い出しおいたした。急いで郚屋の䞭をさぐり、抜斗の奥深くに眠っおいたそれを取り出したした。倚くの持ち物はキンスキヌが抜き取っおいたしたが、子䟛の指に入るものでずおも小さかったためか忘れられおいたようです。

 わたくしは䜕も蚀わず、指茪を姉ぞ差し出したした。

 ロザリンドは匱々しくそれを撫でたした。

「子䟛の時、あんなに欲しかったのにね」
「今は欲しくないの」

「もう倧人だもの。それに  」
「それに」

 ロザリンドは答えず、わたくしの手を握り返しおきたした。

「ロザリンド」

 わたくしは思わず名前を叫んでいたした。

「わたし、死にたくない。死にたくないよ」

 そう怯えた顔で呟く姉の目から光が消えおいくのが分かりたした。

 今たで思っおもみなかった姉ぞの思慕の感情が、突然湧き䞊がりたした。

 わたくしは枩もりが消えるたで姉の亡骞を抱きしめおいたした。
 なぜ、姉は謝ったのでしょうか。死を前にしおわたくしぞの怚みが消えたのでしょうか。

 姉もたた被害者なのだ。

 キンスキヌに察する怒りすら、姉は衚珟出来ずに死んだのです。
 時間が経぀ごずにわたくしは自分の無力さが情けなくなり、キンスキヌを蚱せなくなっおいきたした。

 キンスキヌは最埌たで生き残ったわたくしを衚面的には䞁重に扱いたした。

 どう思われおいるかも知らず。

 メむドを雇い、わたくしの身の回りのお䞖話をするように呜じたのです。

 たるで昔の王女に戻ったようですが、結局どこぞも出るこずは出来ないし、毎日毎日、キンスキヌに抱かれるばかりの日々です。

 嬌声をあげ、挔技だけは䞊手くなりたしたが、抌し殺しおきた憎しみの炎が消えるこずはありたせんでした。

「お前は王女の䞭で䞀番矎しい。お前が残るのは圓然のこずだ」

 わたくしが䜕床矎しく生たれたこずを呪ったこずか。

 二床子䟛を堕ろしたこずもありたす。

 キンスキヌは醜い自分ず矎しいわたくしを掛け合わせるのが嫌なのだず呟いおいたしたが、結局は遺産分割で本劻の子ず揉めるのを嫌っただけのこずです。

手術が終わった埌、麻酔が芚めおいくう぀らうすらずした意識の䞭で、䜕者かが傍にた぀のが感じられたした。

 メむドでした。いえ、メむドなのですけれど、どこか他人のようにわたくしは感じたした。

「キンスキヌを殺したいんだね、姫君゚ルれ」

 驚くほど、冷たい声でメむドは問いたした。 わたくしは朊朧ずした䞭でキンスキヌぞの殺意を口にしたのでしょう、メむドに聞かれたら倧倉なこずになるず、䞍安な気持ちになりたした。

「その願い、叶えおあげるよ。䞀週間埌、はっきり意識を取り戻しおもただその思いが倉わらないなら、倜寝る前にボクを呌んで。姫君」

 およそ人間めいたものは感じ取れない声でしたが、わたくしには心匷く思えたのです。

 わたくしは頷いおいたした。

 メむドからキンスキヌにこのこずが告げられた様子はありたせんでした。であれば䜕を眮いおも打擲されるはずです。

 䞀週間埌、わたくしは倜ベッドに腰を掛けお、

「キンスキヌを殺したい思いは倉わりたせん。わたくしをこのような目に遭わせたあい぀が憎い」

「キミが死ぬこずになっおも」

 声は闇の䞭から問い返されおきたした。

「もちろん、構いたせん。こんな暮らしをずっず続けるより、死んだ方がたしです」

「よかった。どちらにしろキミは死ななければならない。倧眪を犯したヒルデガルトの王族は党お。いや、王族だけじゃない。党おの囜の民は死ななきゃいけない。ボクに喰われなきゃならないんだ」

 䜕を蚀っおいるかは分かりたせんでしたが、わたくしの願いはキンスキヌを殺したい。それだけでした。

「じゃあ、たずキミから頂くね。姫君」

 耳元で声がはっきり聞こえたした。

 かくしお、わたくしは死んだのです。

 続いお、キンスキヌも死にたした。

 そしお、これから死ぬのはあなたたちです。

 矀衆に響めきが䞊がった。死んだのだずすれば、今目の前にいる゚ルれ王女は誰なのか。

 死ぬのは自分たちだずは、䞀䜓どう蚀う意味か。

 困惑の波があたりに広がった。

「実に面癜い綺譚《おはなし》だ」

 ルナは満足したようだった。勢いよく矜ペンを走らせ曞き終えるず、手垳を懐ぞしたった。そしお、

「しかも、おたけたであるらしい」

 ず付け加えた。

「䜕だよ、䜕が起こるっお蚀うんだ」

 ズデンカたで戞惑っおいた。

 返事をする代わりにルナは王女゚ルれを指差した。

 今たで話しおいた王女の腹郚が突然赀く血に染たり、十本の指が突き出された。やがお服ごず皮が匕きちぎられ、二本の腕が露わになるず、頭がにょっず珟れた。

 ずたんに王女の顔はしわしわず萎れおいき、皮䞀枚になった。嵌められおいた枷はそれずずもに䞋ぞ萜ちた。

 王女の䞭にいたのは背のずおも䜎い少幎――

 いや、少女だった。

 短く刈り䞊げた髪が、居䞊ぶ者たちにそう誀認させたのだ。
 身にたずうのは誰も芋たこずがないかたちの倖套で、銖の郚分に頭を芆うフヌドず玐が付いおいた。

 胞郚には愛ず憎しみリヌベ・りント・ハヌスず赀ず癜の糞で瞫い取りされおいる。

 ――もちろん、党おは血に塗れおいたものの。

「初めたしお。ボクの名前は――そうだな。仮に『倧蟻喰』ずでも呌んでくれ。反救䞖䞻だ。これでも、この䞖を滅がす者でね」

「反救䞖䞻。神に逆らう存圚――今たで、その名を隙った者は倚くおさ」

 ルナはそう蚀っおニダリず笑った。

「ボクは人を食べる。いずも気軜にね。そしお食べた人間の蚘憶や胜力を党お埗るこずができるのさ。だけじゃなく、こうやっお皮を被ればそい぀に成り代わるこずもできる。姫君の思い出を君たちに話せたのはこう蚀ったわけさ」

 少幎のような少女は、゚ルれの皮をおや぀のように噛み食いながら凊刑台を歩きたわった。

「怪しいや぀」

 呆然ずしおいた二名の刑吏が我に返り、斧を倧蟻喰ぞ振りかざしおきた。
 あくびをしながら倧蟻喰は䞡手を巊右に振った。

「だるい」

 瞬時に二人の刑吏の銖が萜ちおいた。
 倧蟻食は返り血を济びながら、萜ちた銖を拟い䞊げおその頬肉を囓った。

「たずいな」

 そうは蚀いながら倧蟻喰は物凄い速床でがりがりず頭の皮を削り、髑髏が芗くたでにした。

「さお、みんな。ボクはね、キミたちを食べなきゃならない。人間ずいうクズな蟻を吞い尜くす蟻喰こそがボクなのだから」

 そう蚀いながら、䞀気に抌し寄せる刑吏たちの間を擊り抜け぀぀、その足や腰を切断しおいった。

「法によっお定められた刑の執行を劚げる䞍届き者め」

 そういう刑吏頭の腹ぞず手を突っ蟌んで腞を匕き出し、゜ヌセヌゞのように噛み切る倧蟻喰。

 「ボクが法だ」

 悶える刑吏頭を螏み぀けながら、静かに宣蚀した。

 その銖を捻り切るず、頭蓋をこじ開け䞭に詰たっおいる脳味噌を指で掻き回し、舌ぞ手を持っおいき、ねぶった。

 矀衆は阿錻叫喚を䞊げ、逃げ惑っおいた。

「ボクは姫君ずの玄束を守っおキンスキヌずやらを喰った。もちろん、死ぬたである皋床息が続くようにはしおやった。苊したせおあげなきゃいけないからね。それから、わざず捕たった。君たちを食べるためだ」

 倧蟻喰は手を空に向けお広げ、

「血の雚よ、降れ 『貪食《フェラガむ》』」

 小さい身䜓の腹郚が突き砎られるほど膚匵し、巚倧な口――䞊び立぀凄たじく尖った歯を持぀肉塊がうねりながら、矀衆ぞ襲いかかった。

 倧蛇のように動きで逃げ惑う矀衆をあたすこずなく噛みちぎり、飲み蟌んでいく肉塊。

 骚が砕け、髄が散り、凊刑を芋に蚪れた者は結局自らも凊刑される偎ずなっおいたのだった。

 だが、倧蟻喰は芖線をルナずズデンカに移した。既にだいぶ矀衆から身を匕き離しお、たろび萜ちた臓物の海の䞭で冷ややかに立っおいる。

「ルナ ルナ・ペルッツ」

 倧蟻喰は嬉々ずしお叫んだ。

「やっぱり、キミが来たんだね」

 蜟音ず共に己の身内に肉塊を匕っ蟌めるず、倧蟻食はルナ目掛けお凄いスピヌドですっ飛んでいった。

「ボクはルナの倧脳が食べたい。小脳が食べたい。延髄が食べたい。脊髄が食べたい。食道が暪隔膜が心臓が肺臓が肝臓が脟臓が胆嚢が腎臓が十二指腞が結腞が倧腞が小腞が虫垂が膀胱が卵巣が子宮が膣が食べたい。キミの党おを食べお、食べ尜くしお䞀緒にならならなきゃならないんだ」

 そうやっおよだれを垂らしながらルナに囓り付こうずするずころを匷烈な殎打の䞀撃がはじき飛ばした。

「気色悪りぃんだよ」

 ズデンカだった。

「わたしは君に食べられおもいいよ。でも、今はだめだ。他にするこずがあるから」

 ルナは盞倉わらずだった。

「お前たでなんなんだよ。おい、こい぀知っおるのかよ」

 ズデンカは焊った。

「うヌん、すぐには出お来ない、かな」

 ルナは銖をひねった。

「この姿じゃ芚えおないかもね。でも  」

 ゆらゆらず立ち䞊がったかず思うず、倧蟻喰は再び跳躍しお、ルナの元ぞ近づいた。 

 それを抌さえようず遮るズデンカ。

「食べちゃえばそんなの関係ない」

 倧蟻喰は勢いよく手刀をズデンカの額ぞ突き立おた。

「脳を食べさせおよぉ」

 しかし、血は流れない。ズデンカは冷ややかにニダリず笑った。

「脳が  ない  」

 倧蟻喰は埮かに驚いたように芋えた。その腹ぞ思い切りズデンカの回し蹎りが入り、地面ぞたたき䌏せられる。

「あたしは吞血鬌《ノルダラク》でね。脳味噌はずっくの昔に腐れ萜ちお、痛みすら感じねえよ」

 額にぜっかり空いた暗い傷口がみるみるうちに塞がっおいく。 

「ノルダラク  知胜が䜎い僻地の䞍死者かぁ」

 血の混じった唟を吐き、倧蟻喰はうそぶいた。

「ルナに觊れんじゃねえ」

「やヌだよ」

 靎で倧蟻喰の顔を蹎り぀けるズデンカ。盞手はその足を掎んで握り぀ぶそうずした。

 力ず力のぶ぀かり合い。どちらもが物凄い力で抌しおいる。

 ややあっお二名は柘抎が匟けるように巊右に分かれた。

 再び、激しい勢いでぶ぀かり合う。

 ズデンカず優に二倍近くの身長差があったが、倧蟻喰は軜々ず跳ね回り、蹎りや手刀を腕に䜕床も叩き蟌んだ。

 激しい勢いで斬られおもズデンカはすぐに再生しおいく。

「キミ、よっぜど、ルナが奜きなんだねぇ  ムカツク」

 倧蟻喰の声に少し怒りが混じった。

「おめえはむカれおるよ」

 ズデンカは倧蟻喰の打撃を受け止めながら叫んだ。

ルナはそれを冷ややかに芋ながらパむプを取り出しお煙草を詰め火を点した。

「幻解《゚ントトむシュング》」

 ルナが次々ず吐き出す煙が、あたりを芆い尜くした。

「ああ、ルナの幻想だぁ  」

 倧蟻喰はうっずりずした顔をした。

 煙はやがお䞀぀のかたちになっおいった。それは先ほど倧蟻喰が己の腹の䞭から匕き出した、肉塊ず同じかたちをしおいた。

「ただ、たき散らされた脳の䞀぀が生きおいたらしい。最埌に芋た光景を再珟出来たようだ」

 ルナは平然ずしおいた。ズデンカは倧蟻食から離れお、それを急いで暪抱きにしお走り出した。 

 肉塊は倧蟻食ぞず雪厩懞かっおいく。

「しけたげんそヌにむくいあれヌ」

 自分の腕の䞭でぞらぞらず半笑いで決たり文句を唱えるルナをズデンカは枋い顔で芋぀めおいた。

ヒルデガルト共和囜シュミットボン郊倖――

 
「あんだけの隒ぎだ。生存者ず芋なされたら官憲から事情聎取されるかもしれん」

 やれやれず蚀ったようにズデンカは぀ぶやいた。

 二人は銬車に乗っおシュミットボンを離れ去ろうずしおいた。

「我々を調べおも䜕も蚌拠は出ないだろ」

 ルナはただパむプを燻らしおいた。

「䜕も出なくおも、しばらくは拘留される。ずっず同じずころにいたらお前は退屈するぜ」
 
 ズデンカは蚀った。
 
「わたしのこずがよく分かっおるじゃないか」

 ルナは答える。

「分かりもするさ。い぀も行き圓たりばったりなんだからな」

 ズデンカは呆れた。

「倧蟻喰 だっけは簡単に死にそうなや぀じゃない。シュミットボンごず食い尜くすかもしれないよ。我々が留たっおいれば救えた呜かも知れない」

「それは  」

 ズデンカは躊躇った。

「ふふ。君が真面目に思い悩むのが面癜くおあえお蚀った」
「お前なあ  」

 ズデンカは曰く蚀い難い声をあげた。

「わたしも君のこず分かっおきただろ」
「半分も分かっちゃいねえな」

「非垞に厳しい答えだ。倉な奎の盞手はごめん被りたいのが人情だよね。我々の旅は人助けじゃなく、面癜い綺譚《おはなし》を探しおいるだけなのだから」

 前発蚀で自分の心を惑わせたこずの埋め合わせなのかずズデンカは頭の䞭で考えた。

「や぀はお前のこずを知っおいるようだった」

「あヌ、心圓たりはあるけどね。でも党然姿が違う」

「違うのになんでわかるんだ」
 
 ズデンカは蚊いた。
 
「雰囲気さ。䞀緒の時間を過ごした者しかわからないね」

「誰なんだよ」

「蚀いたくないんだ」
 
 ルナはう぀むいた。 

 ――たたかよ。

 ズデンカは舌打ちした。

 心の䞭で埮かに疌くものがあるのを感じる。ず、蚀っおもズデンカが痛芚をなくしたのは二癟幎も前だ。

 身䜓の痛みに぀いおは、こんなものかず想像するこずしか出来ない。だが、感情の揺らぎをずきどき芚え、それを疌きだず呌ぶこずにしおいる。

 今目の前に珟れた少女ずルナが二人だけの時間を分かち合っおいるのだず考えるず、疌くものを芚えるのだった。

「君は涙さえ流せる吞血鬌だけれど」

 ルナがたた話し始めた。

「脳はなくおも、舌はあるんだね。君の臓噚は」

「舌っお臓噚なのか」

 ズデンカは疑問に感じた。
   
「そうだよ。バラしたら倧蟻喰に食べられちゃうかもね」

 ルナは笑った。

「気持ち悪いこず蚀うな。長く生きおるず切れるこずもあったが、すぐ元通りだったぜ」

「ぞえ、面癜いね。でも脳がないのに、君はどうやっお考えるんだろう」

 ルナは興味接々だった。

 ズデンカは困惑した。

「わかんねえよ」

「君はどんな颚にこの䞖界を芋おいるのかな。わたしの堎合、この目から芋おいる。芖芚だね。聎芚があり、嗅芚に、味芚がある。觊芚も」

 ずモノクルを掛けた目、耳、錻をクンクンさせながら出した舌を指差し、その手をひらひらず動かす。

「あたしも倉わんねえよ。臭いず味には鈍いが、分かりはする。人間だったずきず違うのは、痛みを感じねえだけだ」

「どう蚀う仕組みだろうね。君の頭の䞭には手で觊れない『透明な幜霊』がいるのかな」

「なんだよその衚珟は」

 ズデンカは詩を曞く。だから衚珟には厳しいのだった。

「誰かの詩からの匕甚だよ。君に限らず、倚くの人間の脳の䞭にはこの幜霊がいるんだろう」

「あたしず脳がある人間が同じかよ。蚳わかんねえな」

「意識それ自䜓が幜霊だろう。そういう意味なら君もわたしも頭の䞭に幜霊を飌っおいるこずになる。脳があるかないかは倧差ない」

「じゃあ、゚ルれ王女や倧蟻喰の䞭にもいるのか」

「あそこで語られた綺譚《おはなし》は王女じゃなきゃ語れないよ。䞀時にもせよ倧蟻喰ぱルれの意識を宿したんだ」

 ずルナはパむプを眮き、手垳を開いお読み返しながら蚀った。

「難しいこずはあたしにゃ分からん」

「倧蟻喰は圌女のなりのやり方で゚ルれに共感しおいたのかもね、っお話だよ」

「あんな残忍なや぀がねえ」

 ズデンカは信じなかった。

「王女は埩讐の代償に喰われるこずを蚱した。ならよかったじゃないか。いずれにしろ、わたしじゃあ王女の願いは叶えられなかった。叶えたのは倧蟻喰だ」

「  ほんずうに王女は幞せだったのか 埩讐を果たせたずしお、あんな最期」

「君は優しいんだね」

 ルナはほくそ笑んだ。

「優しかねえよ」

 そう蚀い終えお、ズデンカは手綱を動かした。


いいなず思ったら応揎しよう