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四歳息子、初めて海を見る

一泊二日の帰省旅行。

初日、江ノ島海岸。
太陽は燦燦。
四歳息子初めての海は、絶好の日和となった。
砂浜に着くや裸足になり、ママと手を繋いで波打ち際へ。
突如、足元を冷たい水がさらう。
いたずらな波の洗礼に驚いて尻餅。
ズボンはドロドロ、口の中は砂交じり。
一瞬べそをかくも、楽しさが勝ったよう。
徐々に波のリズムに慣れると、スリルを味わうように。
小波が続くとむしろ自ら向かっていく。
ざっぱーん。きゃっきゃっ。
「すくったいよ」と笑い、やがて一人で波とじゃれ合った。
もっとやりたいと催促し、水族館で二回目のイルカショーを見る予定もキャンセルして遊び尽くした。

秋の波

子の足をひょいとこそぐる秋の波

(このあしをひょいとこそぐるあきのなみ)

季語(三秋): 秋の海、秋の波、秋の浜、秋の渚


帰りのモノレールはちょうど日暮れ前。
吹く風も涼しくなった。
江ノ島の海から鎌倉山へ。
喧騒から静寂への転換点。
懸垂式で吊り下がる車体がぐるり曲がると、
遠く向こうに富士山の影が見えてくる。
赤く染まり出した太陽と相まって、絶景。
しばし言葉を失っていると、息子が「できた」と肩を叩いた。
「モノレール窓に富士山夕日かな」
一句詠んだのかよ、いいね。
そうだよね、この景を詠まないわけにはいかないね。
パパも負けじとひねり出す。

秋夕映

モノレール湾曲し秋夕映へ

(ものれーるわんきょくしあきゆうばえへ)

季語(三秋): 秋の夕焼、秋夕映


翌日は、父の四十九日。
近隣の山寺へ、家族・親族たちと赴いた。
この日も晴天。
晴れ男だった父に相応しいわ、と母。
今日より父は俗世を離れ、仏の弟子として浄土へ旅立つらしい。
爽やかな風、揺れる木々、時折聞こえる鳥の声が前途を祝してくれている。
住職の方より戒名をいただいた。
がん闘病の六年間も欠かさず週三回、カラオケに通った父に相応しい「歌」と「前向き」にまつわる名。
お経の間、幾度と聞こえてくる戒名にしみじみ。
と、木魚に合わせてリズムを取ってしまう息子が目に入り、思わず破顔。
楽しい供養となった。
納骨の時。
永代供養のお墓の前でもう一度、私は覚えてしまった父の戒名を唱えた。

秋声


秋声へ父の戒名溶けにけり

(しゅうせいへちちのかいみょうとけにけり)

季語(三秋): 秋の声、秋声、秋の音


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以上、この秋の旅を代表する三景。
さらなる思い出づくりに、三句をそのまま、 #白杯応募 致します。
俳句を作り始めてまもなく一年。
少しは上達してるといいな。

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