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【舌は忘れない】Caffè Shakerato/カフェ・シェケラート

夏の暑い日、冷たいコーヒーが飲みたくなったら、皆さんは何をオーダーしますか?

氷がたっぷりと入った、キンキンに冷えたアイスコーヒーは最高ですよね!でも、もしイタリアを旅している時に飲みたくなったら、特に北~中部イタリアを訪れているのなら、ぜひトライして頂きたい飲み物があります。

それが、冷たいコーヒー:Caffè Shakerato/カフェ・シェケラート。前回の『イタリアでスマートにコーヒーを飲むために』の時、そういやコレを書いていなかった!と思って今回ご紹介。


カフェ・シェケラートとは?

Shakeratoとは、イタリア語で『シェイクされた』という意味。英語のshakeが語源です。その名の通り、エスプレッソ、砂糖(またはシロップ)、そしてたっぷりの氷をカクテルシェイカーに入れ、激しくシェイクして泡立てて作る冷たいコーヒードリンク。というより、泡の立った冷たいエスプレッソ、と言う方が正しい表現かも?

基本的にイタリアでは、日本やアメリカのように『ドリップコーヒーを氷で冷やす』というアイスコーヒー文化は根付いていません。最近では、ミラノやローマなどの観光客が多い大都市のカフェでは、メニューに入れている店も見かけるようにはなりましたが、一般的なバールでは、特に地方部の小さな町や村のバールでは、今でもメニューにはありません。

イタリアで、暑い時期に“冷たいエスプレッソ”を楽しむために生まれた飲み物が、カフェ・シェケラートなんです。夏にバールで冷たいコーヒーを頼むと、バリスタがシャカシャカとシェイカーを振って作ってくれます。提供されるグラスも、マティーニグラスやシャンパングラスなど、脚(ステム)付きのカクテルグラスが定番という、なんともお洒落な一品。

歴史としては意外と新しく、1980年代から1990年代にかけて生まれたと言われています。発祥の土地やバールは不明ですが、南イタリアよりも、中部~北イタリアの方が根付いていますね。エスプレッソを美味しいまま冷たく楽しむにはどうしたら良いか?そんな中で、バーテンダーが使うカクテル用のシェイカーに目をつけたのが始まりだと言う説もあり。熱々のエスプレッソを氷や砂糖と一緒に激しくシェイクすることで、氷が溶け切って味が薄まる前に急速冷却でき、さらにエスプレッソのクレマ(泡)が空気を含んでクリーミーに仕上がる。ある意味、画期的な発明品という訳。

北イタリア率が高い訳

イタリア人にとって、コーヒーの基本はあくまでもエスプレッソ。単に“カフェ”と頼むと、シングルのエスプレッソが出てきます。氷をたっぷり入れたグラスにエスプレッソを注ぎ、ただ薄めてしまうような『アメリカや日本式のアイスコーヒー』は、彼らのコーヒーに対する美学と味覚に反するものなのですよ。我がカルディナーレ家の年配層も、未だにアイスコーヒーには抵抗があると言っています。

ミラノやフィレンツェなど、北~中部イタリアにシェケラート率が高いのには、きちんとした理由があります。夏はとにかく暑い南イタリア各地には、昔から地元に根付いた冷たいコーヒードリンクがあったから。シチリアではGranita:グラニータ、ナポリ周辺で愛されるCrema di Caffè:クレマ・ディ・カッフェ(またはCaffè Crema:カッフェ・クレマ)や、プーリア州のCaffè Leccese:カッフェ・レッチェーゼ(冷たいエスプレッソにアーモンドから作った激甘ミルクシロップを入れる)などなど。

ローカルに特化した『冷たいコーヒードリンク』が存在していなかった北~中部イタリアで生まれたと言われるシェケラート。カクテルグラスで提供されるというところとか、なんかPoshな北イタリア気質にピッタリじゃないですか?気持ちはサレルニターナのアラカンとしては、納得できちゃうところがあるというか。でも、味はきちんと美味しいから、ふん、と言いつつ飲んじゃうのですけれど。

シェケラートが美味しい3つの理由

なぜわざわざシェイクするのか?単に冷たくするだけなら氷を入れるだけで良いのでは?と思うかもしれません。でも、『シェイクする』という工程には、コーヒーを劇的に美味しくするポイントが3つあるのです。

シルキーな泡による極上の口当たり

激しくシェイクすることで、エスプレッソのクレマ(表面の泡)と空気が混ざり合って、非常にきめ細やかでクリーミーな泡が生まれます。まるでベルベットのような滑らかさ。イギリスでギネスビールの生を飲んだことがある方、あの滑らか~な泡と同じ、アレです!

急冷効果で香りが飛ばない

熱々のエスプレッソを氷と一緒に一気に振り混ぜ、急速冷却することで、コーヒー特有の良い香り(バリスタの方などは“芳醇なアロマ”などと表現されますね)が、飛ばずに済むということ。風味が落ちない、ということですね。

苦みがコクに変化

本場のシェケラートには、必ずと言っていいほどたっぷりの砂糖(または激甘ガムシロップ)が入っています。エスプレッソの強烈な苦味と砂糖の甘みが、シェイクすることにより見事に中和されるのか分りませんが、コクが深くなる感じがします(ダークチョコレートやキャラメルの後味にあるような、あの風味)。

ツウなオーダーの仕方

現地で飛び交う、ちょっとかっこいいオーダーの仕方をいくつかご紹介。

基本フレーズ

カフェ・シェケラートをひとつください。
Un caffè shakerato, per favore.
ウン・カッフェ・シェケラート、ペル・ファヴォーレ
※ふたつならDue(ドゥエ)

甘さを調整する

本場のシェケラートは、エスプレッソの苦味に負けないよう、かなり甘みが強いのがデフォルト。

砂糖少な目で
Poco zucchero, per favore. (ポコ・ズッケロ)

砂糖なし(ブラック)で
Senza zucchero. (センツァ・ズッケロ)
※砂糖なしにすると、泡立ちが控えめになり、早く消えやすくなる

砂糖多めで
Dolce, per favore. (甘くして)

リキュールをプラスする

エスプレッソに少量のアルコールを足すCaffe Corretto、これはシェケラートでもあります。お好みのリキュール名を言えばOK。歩き疲れた午後にクイっと1杯、景気づけにおススメ!

Shakerato con Baileys. (ベイリーズ入りで)
Con Amaretto. (アマレットを入れて)
Con Grappa. (グラッパ入りで)

ナッツ好きの方には、Frangelico/フランジェリコ(ヘーゼルナッツのリキュール)、Nocello/ノチェッロ(クルミのリキュール)をおススメ!柑橘系だとやはりLimoncello/リモンチェッロでしょうか?ただ、個人的にリモンチェッロはそのまま飲む方が美味しいと思います(笑)。

Shakerato Correttoにすると、ディナー前のAperitivo(アペリティーボ:食前酒)代わりにもなりますよ。

ミルク入りにする

やや邪道と言う人もいますが、オーダーは可能。

Shakerato con latte. (ミルク入り)
Shakerato Macchiato. (カフェ・マッキアートの冷たい版、con latteよりミルク量少なめ)

夏の始まりを感じる音

バールのカウンターに響くシャカシャカ音は、イタリア人にとって『夏の始まり』を告げる音でもあります。イースター休暇が終わり、気温がだんだん高くなってくると、オーダーする人が増えてくる感じ。冬場は、メニューから無くなるバールも多いので、季節を感じる飲み物でもある訳です。

地元の人々の定番は、カウンター(バンコーネ)での立ち飲みがほとんど。そもそも、時間をかけてゆっくり飲む品ではありませんし、カウンターとテーブル席では、同じものをオーダーしても値段が違いますしね。

馴染みのバールでバリスタに『Ciao!』と挨拶し、世間話をしながらシェイカーを振る姿を眺め、差し出されたマティーニグラスに入ったカフェ・シェケラートをキュッと飲み干し、再び『Ciao!』と言ってバールを出ていく。これぞ、イタリア人にとっての“粋”というもの。

エスプレッソ、氷、砂糖。たったこれだけのシンプルな材料なのに、『シェイクする』というひと手間を加えただけで、極上のドリンクへと姿を変えたカフェ・シェケラート。

見た目の美しさも重要視されるコーヒードリンクなので、バール毎の、そして作るバリスタ毎の“美学”みたいなところも垣間見ることが出来ます。イタリア文化ウォッチング的にも、いろいろなお店で飲み比べてみると、楽しいと思いますよ~。ぜひ現地で、楽しんでみてください!Buon Caffe!

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