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早く辞めたい。でも辞めたくない

    きっかけは、執行部の缶詰執行委員会の準備で議題を考えていたときだ。

    最初は単純だった。

    来期、何に取り組むか。 中期計画の最終年度をどう締めくくるか。

    そんな話を整理するつもりだった。

    ところが、議題を考えているうちに話が少しずつ変わっていった。

    加入説明会の目的は何だろう。

    なぜ組合に加入してほしいのだろう。

    私たちは何のために活動しているのだろう。

    そんな話になった。

    思えば遠くへ来たもんだ。

    加入説明会の話をしていたはずなのに、気づけば組織の未来の話をしている。


    私は委員長になって12年になる。

    第5期からだから、気づけばずいぶん長い。

    昔から組合活動に熱心だったかと言われると、どうだろう。

    少なくとも、自分ではそんなつもりはない。

    ただ、副書記長だった頃に、当時の書記長から

    「なんでそんなに熱量あるの?」

    と言われたことはある。

    今思うと、熱量というより、気になっていたのだと思う。

    なんでこの活動をやるんだろう。

    なんでこの会議をやるんだろう。

    なんでこの仕組みなんだろう。

    そんなことばかり考えていた気がする。


    私は長い間、自分は書記長タイプだと思っていた。

    整理するのが好きだったし、資料を作るのも嫌いじゃなかった。

    会議の進め方を考えるのも好きだった。

    だから、自分は裏方なのだと思っていた。

    ところが委員長をやってみると、気になっていたのはその先だった。

    私たちはどこへ向かうのか。

    何を大事にしたいのか。

    何を残したいのか。

    どうやら私は、書記長タイプだと思っていた委員長タイプだったらしい。


    そのせいか、気になると自分でやってしまう。

    活動方針も。

    中期計画も。

    会議の進め方も。

    役割整理も。

    気づけば、自分で考え、自分で整理し、自分で形にしてきた。

    それが必要な時期もあったと思う。

    でも最近は少し違う。

    書記長に設計してほしい。

    執行委員に考えてほしい。

    執行部として議論してほしい。

    そんなことを思うようになった。


    私は人を育てるのが得意ではない。

    むしろ勝手に育ってくれと思うタイプだ。

    ただ、育つ環境は作りたい。

    前任者から受け取ったもの。

    12年間で学んだこと。

    失敗したこと。

    上手くいったこと。

    それらを少しずつ言葉にしてきた。

    会議の進め方。

    役割の考え方。

    活動方針の作り方。

    OSなんて呼んでいるけれど、本当は大したものではない。

    ただ、次の誰かが考えるための足場になれば良いと思っている。


    最近、自分でも変なことを考えている。

    早く辞めたい。

    でも辞めたくない。

    矛盾している。

    でも本当にそう思う。

    辞めたいのは、全部を考える役。

    辞めたくないのは、その先を見てみたいから。

    そして、託したい。

    私がいなくなった後の執行部を見てみたい。

    次の委員長を見てみたい。

    次の書記長を見てみたい。

    私のコピーになってほしいわけではない。

    むしろ、ならないでほしい。

    自分たちなりに考えて、自分たちなりに変えていってほしい。


    活動方針を残したいわけではない。

    答えを残したいわけでもない。

    「こうするべきだ」という正解を残したいわけでもない。

    残したいのは、

    「なんでこれやってるんだっけ?」

    と問い直せる組織だ。

    缶詰の議題を考えていただけなのに、ずいぶん遠くまで来てしまった。

    でも、たぶん悪くない寄り道だったと思う。

    そしていつか委員長を退任した後に、そんな執行部をこっそり見られたら、それはそれで幸せなことなのかもしれない。

     
     
    ユーザー系システム会社で業務アプリエンジニアをしています。非専従で労働組合役員もしています。

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