
チャコール
世界はいつも、黒を一滴混ぜたような色をしていた。
皆が足を止めるような花が咲いていても、
私には美しいとは思えなかった。
いい香りはしないし、それでいて不快な音や味ばかりが伝わってくる。
そんな感覚が当たり前のものだと思い込んでいた。
でもあの夜、終わらないと思った長い夜をこえてから、世界が変わった。
空の青がこんなにも鮮やかなことを知った。
全世界が私を迎え入れてくれた。
当然、そんな日々は長くは続かない。
またあの灰色の景色が広がるようになった。
鳥のさえずりでさえ、私を攻撃した。
お前はここにいるべきではないと。
今も私は、体内をむしばむこの怪物と戦っている。
ずっと憧れていた、中庸という場所に辿り着くために。
でも、どこかでそれが手に入らないことを知っている。
いや拒んでいるのかもしれない。
中庸の先にあるのは、きっと平凡な私だから。
それを見るのが怖いのだ。
だから今日も耳をふさぐ。浅い呼吸で、それでも生きている。