
CHANELが教えてくれた「信頼される人」の作り方
売れる人より、選ばれる人になりなさい。
これは、私がCHANELで働いた約30年間で、言葉としては一度も言われなかったけれど、毎日の仕事の中で静かに教えられ続けたことです。
私はかつて、CHANELのビューティーアドバイザーとして、東京のカウンターに立っていました。当時の私は「売上」という数字に一生懸命向き合いながら、いつしかもっと大切なものを探し始めていた。それが「信頼」でした。
ラグジュアリーブランドの世界では、セールストークや値引きで商品は売れません。スペック説明でもなく、流行でもない。お客様がCHANELのカウンターに足を運ぶのは、ものを買いに来ているのではなく、自分を確かめに来ているのだと、少しずつわかるようになりました。
この記事では、私がCHANELでの約30年間の経験から体得した「信頼される人の作り方」を、実践的なノウハウとして書き記します。ビジネスの場に立つすべての女性、そしてこれから自分のブランドを築こうとしている方へ、届けたい言葉です。
はじめに──「信頼」とは何か
ビジネスの世界で「信頼」という言葉はよく使われます。でもその実態を正確に語れる人は、意外と少ない。
信頼とは、約束の積み重ねです。
大きな約束ではなくていい。「明日9時にご連絡します」と言ったら、9時にする。「お似合いです」と言うなら、本当にそう思ったときだけ言う。「あなたのために選びました」と言うなら、本当にその人のことだけを考えて選ぶ。
そういう小さな一致が、何十回、何百回と積み重なって、「信頼」になる。
CHANELのカウンターで私が学んだのは、信頼とは「つくる」ものではなく、「積む」ものだということです。一夜にしてできる信頼はなく、一瞬で崩れることはある。だからこそ、毎日の小さな言動に丁寧であり続けることが、プロフェッショナルとしての根幹になります。