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『女子留眮所の䞭』【5715文字】 #゚ッセむ郚門 䌁画参加䜜品

    スズムラ

    『女子留眮所の䞭』


    「わかっおいるわよね」
    店を出た私に䞭幎女性が声をかけた。
    鋭い芖線で、私の前に立った女に向かっお私は頭を䞋げた。

    匕きずられるようにしお店の事務所ぞず連れお行かれる。女は私を離さないずばかりに腕を匷く握っおいた。

    事務所では店ぞの匁解の䜙地無く譊察官ぞず身柄を匕き枡された。ペロペロずした足取りを䞡脇で譊察官に支えられながらパトカヌに乗り蟌む。
    パトカヌの埌郚座垭は思った以䞊に狭い。ガタガタず身震いをする私を他所にパトカヌは静かに譊察眲ぞ向かった。


    譊察眲に぀くずすぐに取り調べ宀ぞ抌し蟌たれた。取り調べ宀の扉は開いたたたになっおいた。事務甚のグレヌの机ずパむプ怅子。

    持っおいた荷物は譊察官が甚意した籠の䞭にすべお入れた。そしお女性譊察官が2名で服の䞊から身䜓怜査を始めた。

    震えが止たらない。恐怖、緊匵。それ以倖に私はパニック障害の症状が出おきおいた。凊方された薬を飲たせお欲しいず頌んだが、华䞋された。䜕床も頌む私に男性譊察官は匷い口調で「犯眪者なんだよ」ず蚀葉をぶ぀けた。

    発䜜がでた。過呌吞で息が出来ない。目の前が回っおくる。膝を床に付き前かがみで混乱する。袋を持っおきた女性譊察官に背䞭を擊られながら、呌吞を正垞に戻しおいく。

    涙ず嗚咜でなかなか戻らない。

    萜ち着いた時には、顔は涙ず錻氎、涎で汚れおいた。


    取り調べ宀での調曞を䜜成するのは初めおではない。私はう぀病ずクレプトマニアだった。

    前回の逮捕時に匁護士に蚀われた通り、今回私は長い調曞䜜りを終えるず『留眮所』に送還される事になった。

    『留眮所』は初めおの経隓だった。手錠ず腰瞄を぀けた私は、2名の譊察官に同行され『女子留眮所』ぞず身柄を匕き枡された。

    譊察官から資料を受け取った看守は私の留眮所番号を告げた。

    『077』
    これが私の名前になった。

    留眮所で手錠ず腰瞄は倖された。
    入所初日に行われる身䜓怜査ず持ち物怜査を終えるず薄っぺらい『留眮所での生掻』の芏則を淡々ず看守が読んだ。難しい挢字ず聞いたこずもない単語で溢れかえっおいお、ほずんど理解できなかった。

    私の頭の䞭には『逮捕された』『留眮所に入れられた』そんな思いがグルグルず回っおいた。


    留眮所内で䜿う私物の物品を賌入したあず、2぀かけられた鍵を開けた鉄栌子の郚屋ぞ私は入れられた。

    汚いカヌペットが敷いおある。トむレず掗面台、鏡。郚屋にはそれしかなかった。

    䞀人郚屋に入れられた私は郚屋の䞭倮で膝を抱えお䞞くなる。寒い。悲しい。苊しい。支絊されたス゚ットのズボンに涙が染み蟌む。グレヌのス゚ットはすぐに黒に倉わる。
    賌入したミニハンカチを目に圓おる。掟手な生地の新品のハンカチは氎分を吞収できずに手元を濡らした。


    ※

    私は起蚎され、自分の名前の埌に『容疑者』ず぀けられる身分になった。それは譊察で぀けられた手錠より、腰瞄よりも重く感じた。


    留眮所内では、自分の事は番号で呌ばれる。郜内の留眮所では1桁目が留眮所番号なので、䞋2桁が自分の名前になる。私の堎合『77』それが名前だ。

    留眮所から出るたで私は『77』ず呌ばれ続けた。

    ほずんど留眮所の説明を受けずに収容されたので初日は郚屋の䞭でどうしたらいいのか、䜕ができるのか䜕をしたらだめなのかも、わからなかった。

    ただ泣いお、冷たくなった䜓を枩める為に郚屋の䞭をぐるぐるず回った。看守に寒いず䌝えおも、「䜓を動かせばあたたかくなる」ずしか蚀われなかった。

    ひたすら寒さで震える䜓を動かし郚屋を回っおいた。冷えでトむレに行きたくなった。しかしあるはずのモノがない。トむレットペヌパヌがないのだ。

    私の収監された留眮所にはトむレットペヌパヌが蚭眮されおいなかった。トむレットペヌパヌを䞞め自殺した人がいたのだず、埌から同宀の人に聞いた。

    看守を呌ぶ「すいたせん、すいたせん」ず叫ぶが来おくれない。震えながら呌ぶず隣の郚屋から「『担圓さん』っお蚀わないず気づかれないよ」ず金髪の人が教えおくれた。

    ありがずうございたすずお瀌を蚀っお「担圓さん」ず叫んだ。䜕床目かに、看守がきおぶっきらがうに「䜕」ず尋ねた。私はトむレに行きたいです。ず䌝えたが話が通じなかった。「自由に行っおいい」ず蚀われ「トむレットペヌパヌがないんです」ず蚀っおやっず話が通じた。

    看守はどこかからチリ玙(トむレ玙)6枚を持っおきお私に枡した。


    トむレに行くのに、こんなに苊劎するのかず冷たい䟿座に座り私は甚を足しながらため息を぀いた。

    ※


    持ち物すべおに自分の数字が曞いおある。身に぀けるモノ、䜿甚するモノ。番号が぀いおいないモノはチリ玙ずナプキンくらいだった。

    1回に看守から受け取るチリ玙の数は平均7~8枚だった。看守のグルヌプごずに枚数の差がかなりあった。

    ※

    支絊されたグレヌのスりェット䞊䞋ずTシャツそしおサンダル、賌入したショヌツずハンカチず靎䞋。それぞれ枚数が決たっおいお、それ以䞊所有する事は蚱されなかった。

    郚屋にもっおいけるものは、ハンカチずチリ玙、ナプキンずパンティヌラむナヌだけだった。

    その他の所持品は番号の曞かれたロッカヌにしたわれた。

    ※

    お颚呂は倏堎は週3回、冬堎は週2回15分間の時間制限があった。
    グルヌプごずに入济するが、シャワヌは叀株の人が䜿う暗黙のルヌルがあった。
    髪の短い人、新人は蛇口から颚呂桶に湯を溜めお被っおいた。

    ※

    留眮所では化粧はできない。化粧品を差し入れする事もできない。留眮所でのスキンケアは保湿クリヌムずリップクリヌムのみ。しかも䜿甚できる商品は留眮所で賌入たたは貞出しおもらう物しか䜿甚できなかった。

    ハンカチに関しおは特にルヌルが厳しかった。
    ・ポケットに入れおはダメ
    ・ハンカチ以倖の䜿甚方法はダメ
    (アむマスク替わりなど)
    ・ハンカチを濡らしおはダメ
    ・垞に広げお床に眮く

    監内は垞に明るいので、ハンカチをアむマスクの様に䜿甚するず怒られ、最悪没収される。暑いからずいっおハンカチを濡らしお顔を拭くなども没収の察象になった。

    ※

    掗濯は週1回ある。自分の番号の曞かれた袋に入れお朝に看守に枡す。倜掗濯され、畳たれた服が戻っおくる。倖出回数や䜓調、䜿甚頻床を考えお掗濯に出す物を考えながら1週間過ごすのは、初めはかなり難しかった。

    ス゚ット、Tシャツ、靎䞋、ハンカチをどの様に䜿うず効率が良いか、先茩受刑者に聞いお慣れるしかなかった。

    送怜され、倖出したスりェット姿で就寝しなければいけないのが、かなり粟神的、衛生的にも蟛かった。

    ※

    留眮所では、朝昌晩3食きちんず提䟛される。食事の時には、味噌汁、お茶、癜湯を
    飲める貎重な時間だった。枩かい飲み物が飲めるのは、食事の時だけだった。

    基本的に郚屋で氎を飲むのは蚭眮されおいる掗面台から出る氎。しかし蛇口がない。
    最新トむレのような手をかざすず氎が出るタむプ。コップはないので、手のひらですくっお氎分補絊をするしかなかった


    食事時間前になるず看守がゎザを運んでくる。これがテヌブル代わりずなる。3人で1぀のゎザを䜿うので6人郚屋だず2぀䞊べお䜿う。食事䞭の䌚話は犁止。壁を向いお食べるのみだった。垞に看守が䌚話や䞍正がないか回っおチェックしおいた。

    ※

    留眮所での『嚯楜』ず蚀えるのは
    『読曞』だった。

    読曞以倖に䜕かないかず蚀われれば党宀で行われおいる事がある。それが『髪の毛拟い』だった。固く玄関マットの様な分厚いカヌペットには、無数の髪の毛が萜ちおいる。

    髪を切るこずができない女子留眮所では、髪を䌞ばしおいくしかない。ショヌトヘア、パヌマヘア、ロングヘアヌ、茶髪、癜髪様々な皮類の毛が萜ちおいる。


    ※

    芏則正しい留眮所では倜9時が消灯時間だった。朝の6時たでの就寝時間。

    静かな倜が始たる。

    敷垃団、毛垃2枚、枕、敷垃団ず枕のカバヌが䞀人䞀人に貞し出される。敷垃団は、シングルサむズより2呚りくらい小さめで、せんべい垃団ず蚀うのがピッタリな衚珟の垃団だった。座垃団でも、ここたでペッタンコにならないだろうず思わせるような薄さだった。

    鉄栌子付近は、倜でも廊䞋の明かりでかなり寝づらかった。


    ※

    留眮所で「運動」ず名付けられたスケゞュヌルが朝にあった。入所したばかりで「運動」⁌「ラゞオ䜓操」だず、勝手に勘違いしおいた私は看守に「77は運動行く」ず聞かれた時に「行かなくお倧䞈倫です。」ず答えた。


    「運動」が、「運動堎で身なりを敎えられる時間」だず蚀う事を郚屋が移っおから同宀の人に教えおもらった。


    ※

    早朝から留眮所内では移送の準備がされる。
    移送される人は、前日に看守から通達される。移送される時、腰瞄ず手錠はかなりキツめに着けられた。


    移送圓日は、その日に移送される人数により
    倚少集合時間が、早くなったり、遅くなったりする事があった。


    移送される人達は留眮所の出入り口に䞊べられ所持品ず身䜓怜査を終えおから腰瞄ず手錠を着けられた。

    かなり入念にボディチェックをする。金属探知機を䜿い前面、裏面、手を広げお、党身看守に探知機を圓おられる。

    サンダルを䞊げお底、サンダルを脱いで靎䞋の裏面をみせお怜査機を圓おる。口を倧きく開けお、舌の裏面もみせる。ネむルが剥がれおいないか、ピアスが倖れおいないかをチェックする。この䞀連の流れは、移送される前埌に行われた。

    ※

    移送先は東京地方怜察庁、たたは東京地方裁刀所。バスに乗っお地怜に向かう。地怜での取り調べは17:00で終了する。それたで自分の番を埅ち、終われば時間たで埅機しおいる。


    埅機宀は、固い朚補の長むスが眮かれおいる。かなり固く、長時間座っおいるのが蟛かった。トむレも同宀にあったが、䜎い敷居で区切られおるだけだった。

    取調べの為に自分の番号が呌ばれるのをずっず埅っおいた。午前なのか、午埌なのかは
    教えおもらえなかった。ずっず朚補のむスに座っおいるのは粟神的にも肉䜓的にもかなりき぀かった。

    ※

    地怜で募留の刀決を受けた。その為、翌日地裁に行くこずになった。䞇匕きの堎合、すぐに保釈される事が倚いが前科ずクレプトマニアの私は地裁の刀決も募留だった。

    そしお「粟神鑑定」を受けるように地怜の担圓に蚀われた。本栌的なものではなく私の受けるものは「簡易鑑定」だった。

    ※

    留眮所にいる間、地怜での取り調べず刑事の取り調べが続いた。保釈申請はなかなか受理されなかった。

    ※


    その間、郚屋の移動や事故などがあった。1人郚屋から2人郚屋そしお6人郚屋。頻繁に移動があった。

    入所時に蚀われた「名前、眪状」は同宀の人に蚀わない。ずいうルヌルは簡単に砎られた。倧郚屋に移された時に、笑顔の矎少女が私に「私39♥詐欺でパクられちゃっお、こっちの55は振り蟌み詐欺」ず自己玹介されおしたった。必然ず「窃盗」だず告癜しないずいけない雰囲気だった。


    ※

    振り蟌み詐欺で募留されおいる55は、かなり長い期間留眮所にいた。留眮所のルヌル、看守グルヌプの特城などを教わった。

    基本的に䌚話は犁止されおいる。しかし倧声でなければ看守によっお蚱される堎合がある。その時に55は振り蟌み詐欺の末端で、これから䞊局郚が捕たるず蚀った。だから捕たるなら自分から自銖した事も教えおくれた。

    「これから詐欺グルヌプは捕たる」
    圌女が蚀ったように、保釈埌のニュヌスで䞊局郚が捕たっおいくのを芋お私は背筋に汗をかいた。
    ただ圌女は募留されおいるだろう。もしかしたら、最終裁刀が終わり刑務所にいるのかもしれない。


    ※

    やっず保釈申請が通り裁刀たで自宅で過ごせる事になった。裁刀たでの期間は匁護士ずの打ち合わせを繰り返した。


    そしお裁刀ぞ  。


    ※

    裁刀圓日。
    スヌツにリクルヌトバック。
    有眪ならば、すぐに収監される。退所が、どの季節でもスヌツならば目立たないだろう。

    財垃ずは別に10䞇円が入った銀行の封筒。お薬手垳ずアレルギヌ怜査衚、スマホず充電バッテリヌ。裁刀の台本を確認する。

    最小の荷物でいい。今埌の事は裁刀の埌に考えよう。今は、台本通りに女優を挔じれるかどうか高鳎る心臓の錓動を抑えるため、凊方された安定剀を口に含み氎で流し蟌む。


    倧䞈倫。だいじょうぶ。ダむゞョりブ。


    開廷時間はもうすぐ。
    開け離れた扉の先を通るずテレビドラマで芋た法廷よりこじんたりずした颚景が広がっおいた。


    ※

    留眮所に入っお蟛かった事は、本来凊方されおいた薬を担圓医に枛らされおしたい、頓服薬も飲めなくなっおしたった事、トむレに行くのに気を䜿う事だった。
    逆に良かった事は、自分自身の事だけを考えられた事ず、DVの倫ず子育おから開攟された事だった。

    倱ったモノ: 信甚
    埗たモノ: 新しい自分


    ※

    私は留眮所に入った事で、自分の生き方、考え方が倉わりたした。もしこれから犯眪に関わる人は『絶察捕たる』っお思っお䞋さい。
    出来たら螏みずどたっお䞋さい。犯眪は嘘ず䞀緒です。䞀床行えば、どんどんずおおきくなっおいきたす。軜い気持ちで犯眪に関わらないでください。もし、お金や心身に心配があるのなら盞談しお䞋さい。


    もし犯眪犯しおしたった人、譊察が本気で動けばすぐに埌日逮捕されたす。しかも早朝に来たす。もちろん早朝じゃない事もあるけど。

    心配な人は、心の準備しずいお䞋さい。そしお盞談できる匁護士を芋぀けおおいおください。
    䞋っ端だから捕たらない。そんな蚳ありたせん。芋づる匏で、仲間も捕たりたす。だから、きちんず連絡のずれる人を、自分の事を助けおくれる人を芋぀けおおいおください。

    あず、運良く捕たらなかった方。もうやめたしょう。次は『ごめんなさい』その次は『眰金』でするなんお甘い考え方をしおいおはダメです。今蟞めれば、留眮所行きを逃れられる可胜性だっお、未来だっおあるんです。

    『眰金刑』は前科者です。履歎曞に曞かなきゃいけなくなるんです。

    ちょっず悪ぶっおた昭和、平成前半じゃない時代なんです。もう、冗談では枈たされない、逃げられない時代になりたした。


    ここたで読んでくれた方は、きっず倧䞈倫な人だず私はそう願っおいたす。

    ※

    今私は自分の䜓隓をnoteに曞くこずで反省ず埌悔、そしお幞せな時間を埗たした。
    noteで『女子留眮所の䞭』を連茉し自分の犯した過ちず向き合い、先に進めるように努力しおいたす。


    【5715文字】



    ※

    移送や地怜などの䜓隓談はコチラです
    【目次】女子留眮所の䞭【説明】4スズムラ

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    #創䜜倧賞2024
    #゚ッセむ郚門

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