
成人式の案内 #創作大賞2026 #小説部門 #ショートショート
「もう成人式の案内?」
ポストに入ったチラシの束を持ちながら息子が娘宛の『成人式の着物案内』を手渡してくれ、つい大きな声を出してしまった。
息子が成人式を迎える頃は、こんなに早く案内はなかった、最近は2年前から予約するのよとママ友からの情報を思い出す。
着物のカタログは数十ページの厚みがあり、金や黒、花魁風なものが載っている。今の流行なのだろうか?
ペラペラめくっていると「ただいま」と娘の声が聞こえる。「おかえり」と返し、一緒にカタログを見始める。「これが可愛い」「こっちは派手すぎ」と目をキラキラさせながら指を指している。
七五三の写真を撮ったのがこの前のように感じる。七五三もドレスがいいと、駄々をこねた娘は、今はウェディングドレスの試着でもこだわりをみせているようだ。カタログをテーブルに置き、取り出したスマホをスライドさせて「こっちがいい?」「こっちが似合う?」と何枚も見せてくれる。カラードレスの写真も多くニコニコ顔の娘が可愛い。
写真立ての子供達の七五三写真に視線を移す。息子も娘もニコニコ笑顔だ。子育てももうすぐ終わりだろうか。嬉しいような寂しいような気持ちだ。
着物のカタログを持って、「どれがいい?」と黒縁の中で笑う次女に声をかけた。
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