
かわいそうな食事ってなに?
長い間、具合が悪い原因がわからないまま、
時間だけが過ぎていました。
ようやく病名がつき、
そのまま、ほぼ緊急入院という形になりました。
正直に言うと、この時の一番の気持ちは「安心」でした。
やっと病名がついた。やっと治療が始まる。
これで、この辛さから解放される。
何ヶ月だろうが、何だろうが、もうどうでもいい。
とにかく、今のこの状態を、どうにかしてほしい。
そう思っていたので、
不安よりも、その希望のほうが大きかったのです。
今出ている症状や、その原因。
そして病気のこと、治療のことや入院期間のこと。
先生と、入院前の最終確認のような話をしていました。
この入院は、3ヶ月だと言われていました。
ステロイドパルス療法という治療のためです。
大量のステロイドを、短期間で点滴していく治療法。
急速に症状を抑えるために行います。
そのあと、薬の量を少しずつ減らし、
内服薬でコントロールできるようになるまで、
医師の管理のもとで様子を見ていく。
その期間が、3ヶ月でした。
先生は、私の話を聞きながら、
パソコンにパチパチと入力していました。
入院の手続きも、その場で進めていきます。
食事の指示を入力していた、そのときでした。
先生の、ボソッという声。
「え〜っと、これじゃあかわいそうだから…
サラダをつけたほうがいいね…」
聞き逃しませんでした。
え、かわいそうって何?何が?
かわいそうな食事…?
えっ!どういうこと????
頭の中が、一気にざわつきました。
その時の私は、
座っているのもしんどいくらい具合が悪くて。
それでも、これから電車とバスを乗り継いで、
歩いて家まで帰らなければいけない。
その体力と気力を、残しておかなくてはいけない。
のに…心のどこかが、じわじわ消耗していくのを感じました。
そんなことを考えながら、先生の話を聞いていました。
サラダをつけるって言ってたよね?
サラダが救世主?
どんな役割を果たすのか…サラダ…
どんな食事が出てくるの?
怖っ……
ぐるぐる、ぐるぐる。
食事に関して、それから説明がありました。
治療のため、タンパク質と塩分を制限した食事になる、と。
塩分の制限は、なんとなくわかります。
でも、タンパク質を制限した食事というのは、
食べたことがありません。
知識としては知っていても、その味は、
まったく想像がつきませんでした。
まさかこのあと、あんな衝撃が待っているとは、
この時の私は知る由もありません。
先生は、食事の処方箋を打ち終えると、
「よし、これでいいかな」
とつぶやき、
入院日を確認して、私は家に帰りました。
家に帰ってから入院までの間も、
「かわいそうな食事」のことは、
頭の片隅に残っていました。
でも、体調があまりにも悪すぎて、
いつもならとことん調べるのですが、
調べる余力もありませんでした。
そして、入院初日の夜。
はじめての食事が、トレーに乗って運ばれてきました。
トレーには、名前と制限の内容が書かれた札。
蛋白質40グラム、塩分6グラム
加熱食
ヨーグルト✖️
牛乳✖️
毎食サラダ➕…(あっ書いてある…)
見た目は、いつも見ていた、ごく普通の病院食でした。
でも、一口食べようとした瞬間——
あれ? なんか、違う。
いつも見ていたはずなのに…何かが違う。
そう思ったのです。
(この続きは、また次の記事で。笑)