
待っているだけでは、本当に必要な人に届かない。展示会で考えたリード獲得のこれから【モビリティの現場から考える⑤】
本業で、法人向けのモビリティサービスに関わっています。
車を販売して終わりではなく、導入後の運用や車両管理、安全運転管理まで含めて、企業の移動をどう支えていくか。
そうしたテーマに日々向き合う中で、今回、仕事として展示会に参加する機会がありました。
ブースに立ち、来場された方と話をしながら、改めて考えさせられたことがあります。
それは、展示会という接点だけで、本当に必要な人に情報は届いているのだろうか、ということです。
もちろん、展示会には意味があります。
実際にサービスを見てもらえる。
担当者と直接話せる。
来場者の反応から、市場の空気感を感じることもできる。
資料やWebサイトだけでは伝わらないこともあります。
ブースに立っているからこそ分かる反応がある。
短い会話の中で、相手がどこに関心を持ち、どこで少し引っかかるのかも見えてくる。
そういう意味で、展示会は今も大切な接点だと思います。
一方で、実際に展示会に参加していると、少し違和感もありました。
情報収集に来られる人には届いている。
でも、本当に課題を抱えている人ほど、そもそも展示会には来ていないのではないか。
そんなことを感じました。
車両管理の領域は、非常に現場に近いテーマです。
車両台数が増えてきた。
安全運転管理の運用が属人的になっている。
アルコールチェックや日報管理が徹底しきれていない。
直行直帰時の記録が曖昧になっている。
事故や違反が起きてから、初めて課題として顕在化する。
本来は、こうした課題を抱えている企業にこそ、情報が届く必要があります。
でも、その企業が展示会に来てくれるとは限りません。
むしろ、日々の業務に追われている企業ほど、情報収集のために展示会へ足を運ぶ余裕がない。
課題を課題として認識する前に、日常業務の中に埋もれてしまっている。
ここに、今のリード獲得の難しさがあると感じます。
今は、AIや自動化、DXが当たり前のように語られる時代です。
展示会の各ブースでも、ITツールを使った業務効率化やDXが訴求されています。
一方で、その接点づくり自体は、依然として「展示会に出て、ブースを構えて、来場者を待つ」という従来型のスタイルに依存している部分もある。
もちろん、それが悪いわけではありません。
ただ、これからは「来てくれる人を待つ」だけでは不十分なのだと思います。
必要なのは、自ら課題を見つけにいくこと。
業界や企業の状況から仮説を立てること。
その企業にとって、なぜ今このテーマに向き合う必要があるのかを考えること。
そして、こちらから問いを届けにいくこと。
最近、協会や団体に対して、コンプライアンスや安全運転管理の切り口で、会員企業向けのセミナー提案を進めています。
これは、単にリードを増やすための活動ではありません。
車両管理に課題を抱えている可能性がある企業に対して、課題が顕在化する前に情報を届けるための取り組みです。
特に中小企業では、車両管理の専任者がいないケースも多いと感じます。
総務、経理、現場責任者、経営者が兼務しながら、何とか日々の運用を回している。
そうした企業に対して、いきなり「車両管理DXです」と言っても、すぐには届かないかもしれません。
でも、
安全運転管理は大丈夫ですか。
アルコールチェックの運用は形だけになっていませんか。
直行直帰時の記録は残せていますか。
事故が起きた時に、会社として説明できる状態になっていますか。
こうした問いであれば、届く可能性があります。
リード獲得とは、名刺の数を集めることだけではない。
本当に必要な人に、必要なタイミングで、必要な問いを届けること。
そのために、こちらがどれだけ現場の課題を理解し、仮説を持って動けるか。
そこが、これからますます重要になると感じています。
車両管理は、単なる管理業務ではありません。
人の移動を支える仕事であり、企業の安全を支える仕事であり、働く人を守る仕事でもあります。
自動車メーカーとして、車をつくって終わりではない。
売った後も、安心して移動できる環境をどう支えるのか。
そこに、自動車メーカーが車両管理サービスに取り組む意味があるのだと思います。
車両管理は、自社の車だけを対象にするものではありません。
企業では、さまざまなメーカーの車が使われています。
購入、リース、レンタカーなど、保有形態もさまざまです。
それでも、車を使って仕事をしている以上、安全に、効率よく、継続的に移動を支える必要がある。
だからこそ、自動車メーカーとして、車両というプラットフォームを提供する立場から、売った後の安心にも向き合う必要があると感じています。
展示会に出ること自体が目的ではない。
リードを取ることだけが目的でもない。
本当に必要な人に、どうすれば情報を届けられるのか。
課題に気づく前の企業に、どうすれば問いを届けられるのか。
今回の展示会は、そのことを改めて考える機会になりました。
待つ営業から、仮説を持って届ける営業へ。
モビリティサービスに関わる一人として、車両管理の領域でも、接点のつくり方そのものを変えていく必要があるのだと感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この「モビリティの現場から考える」では、法人向けモビリティサービスや新規事業の現場で感じたことを書いています。
ただ、ここに至るまでのキャリアは、決して一直線ではありませんでした。
製紙メーカーでの法人営業。
人材業界での採用支援。
カーエレクトロニクスメーカーでの営業・企画。
そして現在のモビリティ領域へ。
その時々では、悩んだことも、遠回りに感じたこともありました。
でも振り返ると、一つひとつの経験が今につながっていました。
そんな経験をまとめたのが、
「キャリアは、あとからつながる」です。
▼note版「キャリアは、あとからつながる」
https://note.com/suzukikohei/m/md845355e3abf
また、最初から希望通りの場所に進めなくても、そこでどう動くかでキャリアは変わっていく。
そんな考えを書いた記事はこちらです。
▼入口は選べなくても、動き方は選べる
https://note.com/suzukikohei/n/n9a5520ce9ca8?sub_rt=share_pw
これからも、モビリティの現場で感じたこと、そして会社員としてのキャリアについて、自分自身の経験と言葉で発信していきます。