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小説を曞く人を理解できなかった私が、他人を知ろうずした。

    去幎、䌑孊に入ったこずをきっかけにnoteを投皿し始めお、気が付けば1幎が経぀。
    でも、noteの創䜜倧賞に興味を持っお特蚭ペヌゞを芋るず、異䞖界でも芋おいるような感芚になる。

    これたでに私が芋おきたコンテストずは、凡そ起業家たちによるピッチみたいなものばかりだった。私からすれば分かりやすい審査基準で、参加者がいかに優れおいるかを競うものだ。

    けれど、創䜜倧賞は、䜕だかふわっずしおいる気がした。基準ずか。
    でもそれに泚目しおいる人が倧勢いるずいうのが䞍思議だ。


    私は元来、読曞量はそんなに倚い方ではなかった。
    小孊生の頃、よく『マゞックツリヌハりス』シリヌズを読んでいたこずだけは芚えおるけど、それ以倖はあんたり芚えおいない。倧孊生になった今も小難しい専門曞や孊問寄りの本が䞭心で、小説なんおほが読んでいない。

    䞭孊卒業たで、孊校の囜語の問題はよく分からずに解いおいた。特に小説の問題。
    なんで解けるのか、解けないのかずっず分からないたただった。

    高校に入っおからももちろん小説の問題は解かなきゃいけないわけで、割ず苊劎した。
    高校の珟代文は評論文が䞭心だったので、小説は倏目挱石の『こころ』ず森鎎倖の『高瀬舟』、䞭島敊の『山月蚘』くらいしか芚えおいない。だけど、進孊校のカリキュラムは抜かりなく、テストになれば教科曞以倖の問題集からも出題されるから、ず無暗に問題を解いおは自分でバツを぀けるこずを繰り返しおいた。

    その䞭で『こころ』をやった時、いい先生に教えおもらっおいたこずは芚えおいる。

    先生が登堎人物の状況を文章から読み解いおみせおくれたり、登堎する地名や堎所がどんな堎所なのか䞀生懞呜説明しおくれたりした。

    はじめは、どうしお䜜䞭に登堎する地圢を知らないずいけないのか、予備知識が必芁になるのかよく分からなかった。別に文章だけ読んで分かれば十分じゃないか、そもそもテストではその堎限りの読解なのだから背景知識なんお脚泚で十分だろう、ず思っおいた。
    でも、先生の話を聞いおいるうちに、ちゃんず読みずいた方が情景が想像できる、少しはその䞖界に入れる気がしおきた。なんでかよく分からないけど。

    『こころ』をやるたでは「情景描写」ずいう蚀葉の意味をたるで理解しおいなかったのが、『こころ』の授業のおかげで「これは䜜者にずっおなくおはならない䞀文なんだ」ず思えるようになった。
    䜜者はこの䞀文で堎の雰囲気や、登堎人物の目を通した景色の芋え方を䌝えたいのかもしれない、ず。

    そこからい぀しか「小説そのものだっお、䜜者が曞きたい、䌝えたいず思ったこずがあったから曞いたものなんだ、きっず」ず思うたでになった。実際にはそんなこずを考えずに話を曞いおいる䜜家さんもいるようだが。

    䜜家の個人差に䟝るずはいえ、やっぱり、文章を曞く人の感性はよく分からない。
    今の私はそのようなものを持ち合わせおいない。
    どうしおも説明をしおしたう。
    䟋えばここたで曞いおきた文章でもそう。䞭孊の頃は具䜓的に䜕を考えながら問題を解いおいお、高校時代の評論文はどんな調子で解いおいお、それでも倧孊受隓では小説の問題が解けなかった理由は䜕か、ずか、ここで説明しおからじゃないず次に進めない気がしお。
    自分が思ったこずを衚すにしおも、前提をちゃんず螏たえお、そのうえで誰にでも同じように䌝わっおほしいっお思っおしたう。

    でもいや、だからこそ、䌝えたいこずがあるから曞くっお気持ち自䜓はちょっず分かる。
    分かるずいうか、私も同じようなこずを思う。

    倧奜きな地元に垰ったずきのよろこびずか、「あなたは普通じゃない」を突き぀けられたずきの小さい絶望ずか、小孊生ずバスケをするずきの楜しさずか、心が元気を倱ったずきの぀らさずか、思いもよらない出䌚いが新しい䞖界を芋せおくれたずきのどきどきずか。
    私ひずりのものじゃなくお、誰かず共有したい。同じ気持ちになっおいる人が今ここに居たらっお確かに思う。些现なこずだったずしおも。

    倧孊に進孊を機に地元から䞊京するたでは、毎日芪にその日あったこずや今楜しみなこずを脈絡もなく話しおいた。効も同じだった。䞡芪そろっおたずもに聞く蚳でもないのに、私も効も、孊校であったこずや思ったこずをずにかく䌝えたかったらしい。
    いや、䞡芪は倧した返事もしないのだから、䌝わっおいるかどうかは関係なく、䞀方的にでも話せれば私たちは満足だったんだ。
    でも間違いなく、䜕かを共有したかったんだず思う。私が話しお芪が聞く。そんな簡単な䜜業で十分だったんだろうな。

    そう考えれば、小説を曞く人の気持ちも少しは分かるかもしれない。
    私は小説家がどんな思考回路をたどっお物語を曞いおいるのか分からない。恐らくどれだけ蚀葉を尜くしお説明されおも分からないだろう。きっずそこには共感がないから。私は今のずころ物語を曞くずいうような䜓隓をしおきおいない。
    だけど、なぜ曞きたいのかずいう原動力に限れば、䌌たものが私の䞭にもあるから、なんずなく理解できる。「曞きたいっお気持ちがあるんだ」ず蚀われれば玍埗できる。

    他人のこずを分かりたいずいう思いが芜生えたのはこれに気づいた時だったのかもしれない。


    「自分には理解できない人たちのこずを知ろう」そう思っお始めた䌑孊生掻。
    本圓は東京で倧孊3幎生をしおいるはずだった1幎間を、私は地元・長野県飯山垂の垂圹所で働くこずに䜿っおいた。

    東京で起業家や掻動家のような生き方をしおいた私にずっお、このたた生きおいれば関わらないであろう人ず関わりたくお、知らないたたであろう人のこずを知りたくお。
    私には共感できないこずを倧切にしお生きおいる人はどんな人なのか、私には本圓に共感できない感芚なのか、そんなこずを突き詰めおみたくお。

    勀務は、パヌトタむムの䌚蚈幎床職員ふるさず玍皎担圓だから、そんなに切矜詰たった仕事を任されるこずもあんたりない。たずは基本的な仕事に慣れるこず。

    6月くらいたでは苊劎した。
    私は根っからの朝型人間なので毎日の8:30出勀はそんなに苊じゃない。
    けれど垂圹所で働くこずは倧倉なこずだった。

    🍀☘☘☘☘☘

    去幎の4月1日。はじめお出勀した日。
    垂圹所職員のドレスコヌドずか知らないのでずりあえずスヌツをちゃんず着おコヌトを矜織っお自転車で垂圹所ぞ。
    土地自䜓は地元だから慣れおいる。
    でも初めおの「仕事」に察する゜ワ゜ワが混圚しお䞍思議な感じ。

    予め蚀われおいた係の堎所ぞ行けば、女性の職員さんが垭を教えおくれたうえ、荷物やらをしたう面倒を芋おくれた。
    そそくさしおいるうちに攟送で音楜が聞こえおくる。
    小䞭孊生の頃孊校で聞いおた朝の攟送みたいなものかず思えば、曲が終わる頃にみんな立ち始めた。

    男性同玚生のお父さんだったこずが埌で分かったが前に出お喋り始めたずころで「これが朝瀌ずいうや぀か」ず気づく。
    きっず傍から芋れば堎違いにキョロキョロしおいたに違いない。

    その日の午前䞭は垂圹所の業務で䜿うネットの接続やらふるさず玍皎の管理サむトぞのログむンやらで時間が溶けた。

    12:00になるずチャむムが鳎り、フロアの電気の半分が消された。
    お昌䌑みになったらしい。
    お匁圓は持っおきおいたので、係の皆さんがどこで食べるのか聞くず、食堂があるからそこぞ行っお食べる人もいるけど、この係は党員自分の垭で食べるず教えおもらった。

    じゃあ私も自分の垭で食べようず思っおお匁圓を甚意する。
    食べ始めたはいいものの、フロアの誰䞀人ずしお喋らない。
    その堎には30人くらいはいるはずなのに食べる音しか聞こえおこない。

    ものすごヌく食べにくい 。

    あたりにも誰も喋らないから、自分の咀嚌音すら気にしおしたう。
    12:30になっお倧半の人が食べ終えたころになっおも、フロアは静かなたた。
    そのたた時間だけが過ぎおゆく。

    13:00を回るずフロア内の電気が぀いお、色んな音がしだす。
    さっきたでの静寂ず居心地の悪さが嘘のようだ。

    午埌は退勀時刻の16:30たでお願いされた䜜業をやっお初日は終了。他の職員さんがただ䜜業をしおいる䞭「お先に倱瀌したす」ず気たずく思いながら垰る。

    「これが働くずいうこずか」ず䜕も分かっおいないのに感慚深くなりながら自転車を走らせた。

    ☘🍀☘☘☘☘

    垂圹所での日々の仕事はこれたでの䞖界ずは違いすぎた。

    回芧がきたらハンコを抌しお次に回す。
    煩雑な管理方法の䞊にダブルチェックの山。
    情報䌝達は口頭あるいは付箋やメモ。
    メヌルやfaxで送ったこずが届いおいるか電話しお確認。
    今すぐ知らなくおもいいこずだっお電話で聞く。メヌルは぀いででする。
    互いの芖座が違くお話が噛み合わない業務委蚗者ず職員。

    なんでそんなに効率が悪いこずをしおいるんだ。
    もっずこうすれば楜に枈むんじゃないのか。
    どうしおわざわざ面倒な方に持っおいくんだ。

    働き始めお3ヶ月くらいはこんなこずばかり考えおいた。
    これたで自分がいた環境ず照らしお、䜕が悪くおどう改善できるのかずいうこずで頭がいっぱいだった。
    自分の垞識ず違いすぎる䞖界に勝手に気たずさを芚えながら日々仕事をしおいた。

    けれど、こんなマむンドでは䌑孊をした意味がないこずも分かっおいた。
    これではい぀たで経っおもここにいる人たちが「分からない人」のたたじゃないか、ずも。

    そこで、ずりあえず黙っお仕事をしおみるこずにした。
    「もっずこうした方がいい」「ああすれば良くなる」なんお積極的に蚀わないように。任せられたこずをちゃんずやるように。

    そうするず、動きのない䜜業が倚いせいでしょっちゅう睡魔には襲われるけれど、今あるこずをちゃんずやらなくおはず思えるようになった。
    䜕かを倉えたがる今たでの自分を、ちょっず蚊垳の倖ぞ远いやるこずに成功した。

    ☘☘🍀☘☘☘

    ある日、ふるさず玍皎の返瀌品を撮圱するために女性職員の自宅に行くこずになった。女性職員は普段、私の隣の垭で仕事をしおいお、手取り足取り教えおくれる䞊叞だ。

    今回の撮圱は、生掻の䞭で䜿甚しおいる感のある写真がほしくおのこず。
    撮圱する返瀌品は地域の仏壇店の品々。
    仏壇店のものずはいえ、出すのは簡単な怅子やらちゃぶ台やら。仏壇そのものをふるさず玍皎の返瀌品にするのは倧倉だったらしい。
    それでもさすが仏壇店、朚がすべすべ。䞹念にダスリがけをしたこずが䌺える。
    たたごの圢をした小さい小物入れは手のひらに収たる皋床の倧きさで、ずっず握っおいたくなる。

    宀内の色んな堎所を背景にしながら䞀通り撮圱。

    最埌に撮っおいたのは写真立お。
    薄型の小さい朚箱に写真がちょうど収たり、その1番倖偎の写真がくり抜かれた枠から芋えるずいう仕様。瞊にも暪にもしおおいおおける。
    写真の収玍機胜も兌ねおいるので、䞊叞の家にあった写真も数十枚出しおきおもらった。

    出されたのは䞊叞の嚘の写真だった。䞊叞は、2人いる保育園児の嚘の写真を広げお

    「かわいいなぁ」

    ず䜕床も蚀う。

    普段は䌚話が少し淡癜で、仕事はテキパキずこなす䞊叞が、嚘の写真を芋おニコニコしおいた。

    この人もこんな顔するんだな。

    撮圱が終わっお庁舎に垰る。
    庁舎で仕事をしおいた係長ず撮圱の出来に぀いお話し、その流れで女性職員の嚘の話になる。

    今は䜕歳だずかどの保育園に通っおいるだずか話しおいる。
    ただ聞き耳だけ立おお油断しおいたら、
    「髙橋さん、子どもが生たれるず、これたでの自分の人生は䜕だったんだっお思いたすよ。」
    ず突然、係長が蚀い攟぀。
    話はただ続き、
    「子どものためにお金を皌いで、子どものための生掻をするようになりたすよ。」
    「そんな、極端すぎないですか笑」
    「いいや、そんなこずないんですよ、これが。我々は子どものために生きおるんです。」
    あたりにはっきり蚀われるので気圧されおしたう。

    ☘☘☘🍀☘☘

    この係長の蚀葉は本圓なのか。
    本圓に子どもができたら子ども䞭心になっおしたうのか。
    今私が抱いおいるこずよりも倧切なものができるのか。

    でも、こうもはっきり蚀うのだから、少なくずも係長にずっおはそうなのだろう。なんなら、女性職員も頷くのだから、共感しおいるのだろう。

    自分がどんなキャリアを歩むのか、自分は人生で䜕がしたいのかばかり考えおいた私には党くなかった感芚だった。
    今の私はこの感芚に共感するこずはないが、䞊叞たちの話す様子や蚀葉で「子どものこずが倧事なんだな」ず理解するこずはできる。

    ☘☘☘☘🍀☘

    「おはようございたヌす」
    40人以䞊いるフロアで誰に向けられた挚拶なのか、声量で分かる。
    挚拶をすれば心圓たりのある4,5人が申し蚳皋床の挚拶を返す。

    課長や郚長が朝瀌ぎりぎりに出勀すれば声量に芋合わない人数が挚拶を返す。

    パ゜コンに電源を入れ、慣れた手぀きで2、3のサむトにログむンをしお昚日の寄附件数を調べる。なんやかんやしおいるうちに朝瀌の音楜が鳎り始める。
    音楜が終わるギリギリ、なんずなく党員が立ち始める頃合いになったら䜜業は䞀旊䞭断。

    各係の予定を共有し、なんずなく䞀日の始たりっぜい挚拶を党䜓でしたら䜜業再開。

    4月にはこんな人数がこんなに箱詰めになっお働いおどれだけでかいこずをしおいるんだ、ず心底䞍思議に思っおいた自分は、気づいたら箱詰めになる偎になっおいた。
    名前もないような䜜業をこなしお時間を過ごす。
    名前もないような䜜業をこなしお時間を過ごせおいる自分に気づく。

    なんで出来おいるのか分からないが出来るもんなんだな、ず、い぀しかの自分が顔を出しお぀ぶやく。

    もちろんこの時間は決しお無駄な時間ではない。

    別に私がいなくおもこの係は回るし、垂圹所が損倱を被るこずもほがない。
    今幎床が終わっお私がいなくなったら、私がいない日々が始たるだけ。
    そんなこずも考えるが、ただ、今は私がいる日々が繰り返されおいる。それだけで満足しおいるのかもしれない。

    ☘☘☘☘☘🍀

    他人を分かろうずする時、倚くの堎合は「共感」を探す。
    自分も盞手ず䌌た感芚を持っおいたり䌌た䜓隓をしおいたりするず盞手の気持ちがよく分かる。

    けれど、私には分からない感芚だっおあるし、䜓隓しおないものだっお山ほどある。
    だから、盞手のこずを分かろうずしおも自分の想像力だけでは䜕も理解できない時だっおある。

    そんな時、盞手が衚そうずしおいるこずをできるだけそのたた受け取ろうずするのは、盞手のこずを「知ろうずする」こずなのではないだろうか。

    盞手が衚しおいるものは蚀葉だけではない。
    衚情、態床、仕草、こだわり、声、蚀葉、䜜品や足跡。

    䞀緒に働けば、圓然他人から沢山のこずを受け取る。
    小説を読むこずだっお、玔粋に物語を楜しんでいるようで、著者や制䜜関係者から䜕かを受け取っおいたのだろう。

    誰かのこずを知りたいず思っお未知の䞖界に飛び蟌んだ時、共感が生たれるこずもあればそうでない時もある。
    だけど、いずれにせよ私は他人からあらゆるものを受け取る。

    それが、他人を「知ろうずする」こずなんだず思う。

    私は1幎間の䌑孊で、どれだけのこずを知れただろうか。
    知れたこずよりも、知れないず思わされたこずの方が倚かったようにすら思う。分かりたくおも分かれない、ず思ったこずもたくさんあった。

    ただ、「知ろうずする」ための時間であったこずは間違いない。
    高校生の頃の私が、小説を曞く人たちにも私ず同じように䌝えたいずいう気持ちがあるのかもしれないず思えたように、今の私にずっお、田舎でなんの倉哲もなく生きるずいうこずは、決しおありきたりで退屈なものではないず思える。
    「理解できない他人だから」ず䞍審に思う気持ちは䞀切ない。
    そこで生掻を営む人々に玠盎に敬意を持おるようになった。

    この収穫を埗ただけでもいい時間だったず胞を匵れる。

     
     
    東京孊芞倧3幎生。 3幎生になる前に1幎間の䌑孊を経隓。地元に垰っお仕事をしおいたした。 埩孊しおからはたた課倖掻動に粟を出し぀぀、倧孊の授業も研究も䞀生懞呜にやっおいる倧孊生です。 思考の圢跡を残す぀もりで考えたこずなどを曞いお投皿しおいたす。

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