
カーテンを開けたAM4時/「いつかはハーゲンダッツ」だった私
目が覚めて、リビングに行った。
外は薄明かり。
カーテンを開けたのは、AM4時。
昔から、人様の綺麗な家を訪ねるたびに、なんとも言えない劣等感を感じていた。
我が家はいつも散らかっていて、ひどい有様だったから。
10年以上前に断捨離を知り、そこから徐々に捨て活を始めた。家の中から物が減っていくと、掃除もしやすくなり、ちょっとずつ我が家に快適が増えた。
でも、なんか満足はしていなかった。
自分が好きだと思える空間じゃなかった。
我が家は、安物ばかりだった。
何か物を買おうとすれば、好きか嫌いかよりも、いつだってお金が心の中の決定権を大きく左右した。
食べ物だって、安い物を選び、お菓子もあまり買わなかった。
アイスだって、安いのしか買わない。
「いつかはハーゲンダッツ」という、昭和を匂わせるような、キャッチコピーが私の頭の中にあったっけな。
私の母も口癖は「特価品」だった。
それは大人になった私にも染みつき、セール品や安物しか買わないようになっていた。
我が家を整え始めたのは、一昨年のたぶん今頃、リビングの壁面収納の処分を思い立ったことがきっかけだった。
壁一面を覆う壁面収納は、あるのが当たり前の景色で、無くすことなんてできないと思っていた。まるで、心の壁みたいに。
でも、壁面収納を片付け、処分した時、きっと、心の壁も崩れていったのかもしれない。
殺風景になった我が家の景色に可能性が生まれた。
それは、心が満足する空間作りへの可能性。
部屋作りが始まった。
一つずつ、「こんな高いの買えない」という思い込みを乗り越えていった。
オーク材のテレビ台と、杉の棚を買った。そんな高価な物ではないけれど、特価品ではない。
ソファも買った。お気に入りのダイニングテーブルも買った。
世間一般がどうかわからないけど、私にしては、頑張って購入した品だった。
カーテンも変えた。照明も変えた。
これは,私にとっては、なかなかなハードルだった。だって、壊れていなくて、変える必要がない物だから。
そして、なにより、夫の了承なんてもらえない。そんな風に思っていた。
それは、夫が悪いというわけではなく、私が、卑屈だっただけ。ただの思い込みだった。
夫とはたくさん話し合った。
意見が合わず、こっそり涙したこともあった。でも、諦めずに、心地良い我が家を目指した。
その経験は、より私と夫の関係を正直なものにしたような気がする。
私は素直な思いを伝えられるようになり、夫の素直な気持ちを聴けるようになった。このことは、我が家に、目に見えない心の心地よさを与えている
カーテンの色はアイボリーを選んだ。
昔なら汚れるのがこわくて、選ぶことはなかっただろう。
でも、今は、家の壁に穴をあけるようなやんちゃな息子達も巣立っていった。
たまに、わずかではあるが、これは、ケチャップか?キムチか?
と思うような赤い汚れがカーテンについているのを発見し、慌てふためくが、その都度なんとか対応し、とりあえず、綺麗をキープしている。
夫も私も、アイボリーのカーテンとの付き合いを重ね、最善の注意を払うようになった。
気づけば、外は明るくなってた。
でもまだ5時。
今日は、何をして過ごそう。
ハーゲンダッツでも買ってみるか。