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辞めたいのは、甘えなのか――3年間働いて分かった「合わない職場」の話


「仕事を辞めたい」

そう思ったことがある人は、きっと少なくない。

でも、辞めたいと思ったとき、多くの人が一度は考える。

「自分が甘いだけなんじゃないか」

「もう少し我慢すればいいんじゃないか」

「これくらい、どこの会社でも普通なんじゃないか」

私も、かなり考えた。

そして今、3年間働いた会社を辞めようとしている。

この記事は、会社を辞めることを勧める話ではない。

ブラック企業だから絶対辞めろ、という話でもない。

ただ、

「辞めたいと思っている自分は、本当に弱いのだろうか」

と悩んでいる人に、私自身の経験を書いてみようと思う。


施工管理として3年間

私は現在、施工管理の仕事をしている。

現場には職人さんがいる。

職人さんの中には、私よりはるかに長い経験を持っている人もいる。

施工管理という立場では私の方が上でも、現場経験では職人さんの方が上。

だから、教えてもらうことは当然ある。

むしろ、経験のある人から教えてもらえることはありがたい。

ここには何の不満もない。

問題は、「教えてもらう」ということと、「どういう言い方をされても我慢する」ということは別だと思っていることだ。


私は耳が悪い

ここで、少し自分の身体のことを書いておきたい。

私は真珠腫性中耳炎の手術歴があり、両耳に軽度から中度の難聴がある。

現在は補聴器を使っている。

つまり、普通に会話をしていても、状況によっては聞き取りにくいことがある。

もちろん、仕事に支障が出ないように自分なりに対策している。

聞き返すこともある。

聞き取れなかったら確認する。

補聴器も使う。

それでも、完全に「聞こえる人」と同じにはならない。

これは私自身が努力すれば100%解決できる問題ではない。

だから職場でも、私の耳が悪いことは知られていた。


「お前、耳悪いんけ!?」

ある日、聞き取れなかったことがあった。

すると職人さんから、

「お前、耳悪いんけ!?」

と、普段より強い口調で言われた。

その人は、私の耳が悪いことを知っている。

そこで私は、

「耳悪いんすわっ!」

と言い返した。

自分でも、言い方が良かったとは思っていない。

そこは反省している。

すると今度は、

「なんや、その口の聞き方は」

と言われた。

このとき、私はものすごく違和感を覚えた。

聞こえなかった。

耳が悪い。

それだけのことだったはずなのに、

いつの間にか、

「私の口の聞き方が悪い」

という話になっていた。

もちろん、私の言い返し方にも問題はあったかもしれない。

でも、

「聞こえなかったなら、もう一度伝える」

という選択肢もあったはずだ。


「職人さんから教えてもらっていると思え」

この件について会社側と話したとき、社長から言われたのは、

「職人さんから教えてもらってると思ってくれ」

ということだった。

言いたいことは分かる。

職人さんには経験がある。

私より現場を知っている。

だから、技術的なことを教えてもらう。

そこは私も理解している。

でも、

技術を教えてもらうことと、強い口調で言われることを受け入れることは、同じではない。

私はそう思う。

「ここはこうした方がいい」

なら、私は聞く。

「このやり方では危ない」

なら、私は考える。

「こういう理由だから、こうしてほしい」

なら、話し合える。

でも、

「なんで分からんのか」

「お前、耳悪いんけ」

という方向になってくると、それはもう単純な技術指導とは違ってくる。


私が過去にやってきた仕事

そして、ここが今回の話で一番大きい部分かもしれない。

私は今の仕事に就く前、労務管理、ハラスメント対策、教育、仕組みづくりなどをかなり徹底してやってきた。

人に注意するとき、どう伝えるか。

問題が起きたとき、誰かを責めるだけで終わらせないためにはどうするか。

同じ問題が繰り返されないためには、どんな仕組みを作ればいいか。

そういうことを考えて仕事をしてきた。

そして、それなりに評価もしてもらってきた。

だから私の中には、

「人を強く押さえつけて動かすより、仕組みや教育で動きやすくする」

という仕事観がある。

ところが、今の職場では、それがほとんど通用しない。


「自分が間違っているのか?」と思い始める

ここが一番怖かった。

強い口調で言われる。

反論すると、

「なんや、その口の聞き方は」

と言われる。

会社側からは、

「教えてもらっていると思え」

と言われる。

そうなると、

「自分が悪いのかな?」

と思い始める。

もっと我慢すべきなのか。

もっと素直になるべきなのか。

自分が社会人として未熟なのか。

何度も考える。

でも、少しずつ分かってきた。

「自分が悪いかどうか」と「この職場が自分に合っているか」は、別の問題なのだ。


ブラック企業じゃなくても、辞めたくなる

ここは、私自身が今回かなり考えたところだ。

「ブラック企業」と聞くと、

長時間労働。

サービス残業。

給料未払い。

明らかな違法行為。

そういうものを想像する。

でも、職場がしんどくなる理由は、それだけではない。

人との接し方。

会社の文化。

価値観。

上司との関係。

相談しても改善されない感覚。

自分が大切にしてきた仕事観とのズレ。

そういうものが積み重なって、

「ここではもう働き続けられない」

となることもある。

それは必ずしも、

「会社が100%悪い」

という話ではない。

逆に、

「自分が弱い」

という話でもない。

ただ、

合わない。

それだけなのかもしれない。


3年間やってみた

私は今の仕事を始めて3年になる。

3年やってみた。

合わせようともした。

職人さんの経験も尊重してきた。

会社の考え方も理解しようとした。

それでも、しんどさはなくならなかった。

むしろ、仕事に行くこと自体がかなり苦しくなった。

仕事中に泣いた。

震えた。

動けなくなった。

仕事を休んだ。

そこで初めて、

「これは、もう単純な我慢の問題じゃないんじゃないか」

と思った。


「逃げる」と「環境を変える」は違う

辞めることを考えていると、

「逃げたくない」

と思う。

私もそうだった。

でも、よく考えてみると、

自分を壊してまで残ることが、本当に「逃げない」ということなのだろうか。

仕事は人生の全部ではない。

会社を辞めることは、

これまでの自分の努力を否定することでもない。

まして、

「3年間続かなかった」

という話でもない。

3年間やったからこそ、自分には合わないと分かった。

そう考えることもできる。


どちらが正しいかではなく

職人さんにも、社長にも、それぞれの考え方がある。

職人さんは、経験をもとに仕事をしている。

社長には会社を守る立場としての考えがある。

私にも、これまで仕事をしてきた中で作ってきた価値観がある。

どれが絶対的に正しいのかは分からない。

でも、

「正しいかどうか」と「自分に合うかどうか」は別だ。

そこに気づいてから、少し楽になった。


辞めようと


私自身は、今の会社を辞める方向で考えている。

まだ迷いが完全になくなったわけではない。

でも、少なくとも一つ分かったことがある。

私は、

「どんな環境でも我慢して働ける人間」

になる必要はない。

自分がこれまで大切にしてきた、

人を尊重すること。

教育すること。

仕組みを作ること。

問題を起こした人を責めるだけではなく、問題そのものを改善すること。

そういう仕事の仕方を、

「古い」「甘い」「理想論」

として捨てる必要もない。

ただ、

それを大切にできる場所で働けばいい。

3年間働いて、ようやくそう思えるようになった。

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