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管理職のあなたなら頷けるnote



    追記しました🌿.∘
    2026.7.7 第6話  
    2026.7.14 第7話
    2026.7.22 第8話
    2026.7.29 第9話
    2026.8.4 第10話
    2026.8.11  第11話 完結




    20数年勤めた会社を辞めるまで。

    人生には、
    あとになって振り返ったとき、

    「あの日が、すべての始まりだった。」

    そう思う出来事がある。

    わたしにとって、その日は、
    育児休業を終えて職場へ戻った日だった。

    当時のわたしは、
    20数年勤めた会社を辞めることになるなんて、
    想像すらしていなかった。

    新卒で入社してから、
    毎日が順風満帆だったわけじゃない。

    失敗して落ち込んだ日もあった。

    思うようにいかず、
    悔し涙を流した日もあった。

    それでも、
    この会社で働けることが誇りだった。

    結婚をし、
    出産を経験し、
    育児休業を取得しても、

    「またここへ戻って、仲間と一緒に働く。」

    それが、わたしにとって
    当たり前の未来だった。

    育児休業に入る日。

    職場のみんなに
    「また戻ってきます。」

    そう笑顔で挨拶をして、
    わたしは会社をあとにした。

    あのときのわたしは、
    何ひとつ疑っていなかった。

    職場も、
    仲間も、
    自分の居場所も。

    すべてが、
    これまでと変わらず続いていくと信じていた。

    だけど──。

    育児休業を終えて職場へ戻ったその日、
    わたしは小さな違和感を覚える。

    その違和感は、
    まだ言葉にできないほど小さなものだった。

    けれど今振り返れば、
    あれがすべての始まりだったのだと思う。


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    第1話

    育休から戻ると、職場は変わっていた。



    久しぶりに会社の駐車場に車を停めた朝。

    エンジンを切っても、
    すぐには車から降りられなかった。

    ガラス越しに見える会社の建物は、
    見慣れているはずなのに、
    少しだけ遠く感じた。

    「今日から復帰か…」

    そう心の中でつぶやくと、
    胸の奥がほんの少しだけざわついた。

    育児休業に入ってから、しばらくの間は
    仕事から完全に離れていた。

    子どもの成長はあっという間で、
    気づけば復帰の日を迎えていた。

    不安がなかったわけではない。

    でもそれ以上に、
    「またここで働ける」という
    気持ちのほうが大きかった。

    わたしはこの会社に、
    新卒で入社した。

    20数年という時間の中で、
    楽しいことばかりではなかったけれど、

    仕事を通して人に恵まれ、
    責任ある仕事を任されるようになり、

    気づけばこの場所が、
    わたしの“日常”になっていた。

    だから育児休業に入るときも、
    大きな迷いはなかった。

    「また戻ってきます。」

    そう言って職場をあとにしたとき、
    本当にその未来を疑っていなかった。

    この場所は、ずっと続いていくものだと。

    車から降りて会社へ向かうと、
    いつもと変わらないはずの景色が広がっていた。

    朝の挨拶、
    出勤してくる人たちの足音、
    ロッカーの鍵の音。

    ただそれだけなのに、
    どこか懐かしく感じた。

    「おかえり。」

    誰かがそう声をかけてくれた気がして、
    少しだけ肩の力が抜けた。

    やっぱり、この場所は変わっていない。

    そう思った。

    わたしが育休に入っている間、
    代わりに異動してきた女性がいた。

    ここでは、T子と呼ぶことにする。

    T子とは、
    以前から同じ会社で働いていた。

    ただ、一緒に仕事をしたことはなかった。

    すれ違えば挨拶をする程度の関係。

    それ以上でも、それ以下でもない。

    だから、わたしの代わりとして来ると
    聞いても、特に不安はなかった。

    むしろ、
    「きっと上手くやってくれているんだろう」と
    思っていた。

    わたしが復帰したら、
    自然と元の体制に戻る。

    そんなふうに信じていた。

    ところが、
    その考えはすぐに少しだけ揺らぐことになる。

    復帰して間もなく聞かされたのは、
    T子がそのままこの部署に
    残るという話だった。

    一瞬だけ、言葉が止まった。

    「そうなんだ…」

    それ以上でも、
    それ以下でもない反応だったと思う。

    驚きはあった。

    でも、深く考えることはしなかった。

    むしろ、自分が休んでいる間に
    頑張ってくれていたのだから、
    自然なことなのかもしれないと思った。

    「じゃあ、一緒にやっていけばいいだけだよね。」

    そのときのわたしは、
    本当にそう思っていた。

    ただ──。

    数日が過ぎた頃から、
    ほんの少しだけ違和感が生まれ始める。

    職場の空気が、
    どこか違う。

    大きく変わったわけではない。

    でも、
    前に感じていた“流れ”のようなものが、
    少しだけずれているような気がした。

    そして、何かが変わってしまったような感覚だけが残った。

    そのときのわたしは、
    まだ知らなかった。

    この小さな違和感が、
    やがて20数年勤めた会社を
    離れることにつながっていくなんて。

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