
日記の日の日記
2026年06月12日
すいすいと泳ぐように狭い道を進む車の助手席から「今日は日記の日」と書いてある看板が目に入った。
6月12日は「日記の日」
1942年のこの日、アンネ・フランクが、13歳の誕生日に『アンネの日記』を書き始めたことに由来しているらしい。
最近、人の日記を読むことが好きで(悪趣味な言い方かも)私も書いてみたいな〜とほんのりと思う。 看板を見た瞬間、今日の日記を絶対に書こうと決めたのでした。

私は車の運転を一度もしたことがない。
街中の狭い道を泳ぐように進めたら、それは気持ちよさそうだなと思う。
運転しているすずしろさんは、一体どんな顔をしているのか覗き込んでみた。
眉間に皺を寄せ、頭から水滴の絵文字が出ているのではないだろうかというくらいの焦りで真剣な顔をしていた。
慎重な性格をとても尊敬する。
私ならすいすいと進めたら気持ちよくなって、臆せず進み、いつか事故を起こしてしまいそう。
だから、私は無免許なんだなぁと常々思う。
個展のご褒美旅行に連れて行ってもらった。
大好きなさくらんぼを際限なく食べられるという天国にドライブをしながら向かう。
入道雲が遠くでもくもくとしている。
空は青さが増した気がする。
青が濃くなって、光の色が夏の色になっているように感じる。

天国こと、さくらんぼ農園に着くと農園のおじさんがルールを説明してくれた。
早く食べたくてウズウズしている気持ちがバレちゃったのかと思うくらい、簡単に説明をして私たちを野に放つ。
おいしいさくらんぼは、手の届く所にはもう残っていなくて、脚立に乗って上の方のさくらんぼを取って食べてみる。
脚立に乗ることがそもそも楽しいのに、さらにおいしいさくらんぼを右から!左から!ちょっと手を伸ばして先の方も!と贅沢に食べることができる。
さくらんぼのプチっと口の中で弾けてジューシーさが広がるところが好き。
さっぱりとしている味が好き。
赤くて可愛いから好き。
熟して甘いさくらんぼより、まだ熟しきっていないさくらんぼのが好き。
自分なりのおいしいさくらんぼを探しながら歩く。
脚立に乗るすずしろさんが上の方のさくらんぼを取って、私の口の中に放り込む。
私は雛鳥になった気分で、親鳥の取ってきてくれたおいしいさくらんぼを口を開けて待っていた。
ここは天国だあ。

さくらんぼ狩りのあと、甲府に初めて降り立った。
写真を撮っていると、この街はいい街かどうかがすぐにわかる。

大前提、大体がいい街なんだけれど、スナップが楽しいか、そうではないかはすぐにわかる。
言葉で説明できないけれど、なんとなく共通認識としてすずしろさんにも伝わっていることに驚く。
すずしろさんは写真を撮らないのに、スナップする時の私の気持ちを理解しているのがすごい。
お!ってなると、同じく「おぉ、いいねぇ」と言うからびっくりする。
私は写真を撮って、すずしろさんは文章にする。
それは、手段が違うだけで、目につくものは同じなのかもしれない。
すぐに2人で「いい街だね」と意見が合致した。
なんとなくの感覚と好奇心で生きている。
直感で行く方向を決めて、気になる方に向かって進む。大抵そこには素敵な光景が広がっている。
スナップを撮る私は、街歩きの熟練者なのかもしれない。
どちらに進むかは自分の直感を信じている部分もあるし、自分の才能だと自信満々に思っている部分もある。
それと、自分はラッキーな人間だと思うこともある。
自分を過信している部分もあるし「自分は運がいいんだ」という気持ちがお守りになって、背中を押してくれることもある。
この道はどこに続いているんだろう。
わたしの人生はどこに向かうのだろう。
考えていたら凄くわくわくしてきて、面倒なこともひょいっと出来る。さらに前向きになって、なんでもできるパワーが湧いてくる気がする。
無免許な理由がもうひとつある。
「どこまでも行って帰ってこなそうだから」
写真をはじめてから、私をどこまでも連れて行く理由ができた。
行きたい場所、見たい景色が増えた。
ただ、やっぱり慎重な性格は兼ね備えていないので、すぐに事故を起こしてしまい。
当分は、無免許だ。
プロの助手席管理人になれるように精進いたします!


助手席スナップは最高ですので、このまま甘えていこう!それでは、また!