
私の歩幅で。
「辞めたい。」
その言葉は、退職したあとも頭の中から消えませんでした。
もう会社に行かなくていいはずなのに。
朝起きても、ご飯を食べていても。
気づけば口に出していました。
心だけが、まだ会社に取り残されていたのです。
私は三度目のうつ病になりました。
朝になると吐き気がする。
眠れない。胸が苦しい。
それでも、「もう少し頑張れば大丈夫」と、自分に言い聞かせていました。
頑張ることは、昔から得意でした。
頼られることが嬉しくて、「大丈夫です」が口癖になっていました。
でも、その「大丈夫」は、本当の気持ちではありませんでした。
私はずっと、自分は社会人に向いていないと思っていました。
疲れやすい。
人より傷つきやすい。
周りと同じように働けない。
そんな自分を何度も責めてきました。
でも、退職が決まってから、少しだけ考え方が変わりました。
私はHSS型HSPという気質を持っています。
新しいことに挑戦するのが好きです。
興味を持ったことには夢中になれます。
でも、人の感情や空気に敏感で、知らないうちに心が疲れてしまうことがあります。
挑戦したい。
でも疲れてしまう。
前に進みたい。
でも立ち止まってしまう。
以前は、この矛盾が嫌いでした。
でも今は思います。
向いていなかったんじゃない。
自分に合わない場所で、一生懸命頑張っていただけだったのかもしれません。
そしてある日、母と妹に会いました。
気づけば、たくさん笑っていました。
「こんなに笑ったのはいつぶりだろう。」
そう思うくらい、心が軽くなっていました。
母は私に、お守りを渡してくれました。
「これ、orinに。」
その小さなお守りを受け取った瞬間、
何歳になっても、母は私にとって安心できる場所なんだ。
そう気づいた日でした。
私は二人に、これからやってみたいことを話しました。
自分らしい働き方を見つけたいこと。
その一歩として、自分の分身のようなキャラクターのピヨ志を育て、
絵本を作りたいこと。
自分で事業に挑戦したいこと。
まだ形にはなっていません。
不安もあります。
きっと失敗することもあると思います。
それでも二人は、
「やってみなよ!」と応援してくれました。
その日、帰り道の景色が少しだけ違って見えました。
何かが解決したわけではありません。
不安がなくなったわけでもありません。
それでも、
「応援してくれる人がいる」
その事実だけで、人はまた前を向けるのだと知りました。
私は疲れやすい人間です。
だから、また立ち止まる日もあると思います。
思うように進めない日もあると思います。
でも、それでいい。
頑張り続けることだけが、前に進むことではないと知ったからです。
これからは、自分の体調を後回しにしない働き方を選びたい。
頑張る日があってもいい。
休む日があってもいい。
走る日もあれば、ゆっくり歩く日があってもいい。
そんな働き方を、自分でつくっていきたいと思っています。
退職は、終わりではなく
自分の人生を選び直すスタートでした。
もし今、
「自分は向いていない。」
そう思いながら毎日を過ごしている人がいたら、伝えたいことがあります。
向いていないんじゃない。
合っていなかっただけかもしれません。
人には、それぞれ歩きやすい道や歩幅があります。
速く走れる人もいれば、
ゆっくり歩くことで力を発揮できる人もいます。
私は、ずっと誰かの歩幅で歩こうとしていました。
だから苦しかったのかもしれません。
今も私は回復の途中です。
不安がなくなったわけではありません。
でもあの日、母がくれたお守りを見るたびに思います。
焦らなくていい。
比べなくていい。
自分の歩幅で歩けばいい。
何気ない一言やきっかけが少しずつ心をほどいて、前を向く力をくれました。
だから今日も、私は自分の歩幅で歩いていこうと思います。