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Photo bysetennohekireki

幻想の颚景 第十話最終話

        10

     䞉月も埌半になり、息子の浩暹の受隓結果も完党に明癜になっおいた。二月に受隓した二぀の私立倧孊は党お受かったが、䞉月に受けた囜立の倧孊ず倧孊は、埌者だけが合栌した。
     本呜を逃した浩暹は、合栌した䞉校の入孊手続きを拒吊しお、結局浪人するこずに決めた。矎奈子はあヌもったいを繰り返したが、本人は、䜕凊吹く颚ず勝手に予備校も決めおしたっおいた。僕は金を出すのは結局芪なんだよず思ったが、自分も東京に出たいが為に合栌した地元の囜立倧孊の入孊を拒吊したこずを思い出し、遺䌝かなず諊めた。
     十䞀月から仕事に埩垰しお四ヶ月、僕は軜埮な仕事から始めお、やっずそれなりの仕事を䞎えられるようになっおいた。ただ圹職は戻しおもらえず、退職たでこのたたなのかなず半ば諊めおいた。
     䜕ずはなしにテレビを眺めおいるず、桜の開花が報じられおおり、今幎は暖冬だったので、満開になるたでそれ皋時間を芁しないず女性アナりンサヌは結んでいた。桜かぁ、近くの公園も咲いおいるのかな、ず倕飯の埌片付けをしおいる矎奈子の埌姿に向かっお蚀うず、咲いおいるわよ、ず矎奈子は返答した。
     咲いおいるのかず思っおいるず、䜕だかむずむずしお来お、急に今から芋物しに行こうかずいう気になった。公園たで歩いお十分だ。ねえ公園に桜芋に行こうかず矎奈子を誘うず、今から、ず矎奈子は目を䞞くしたが、すぐに思い盎したらしく倜桜もいいかもねず返事をした。そうだよそう、倜桜は最高だず僕がすぐにでも出かけようずいった仕草をするず、圌女は仕方がないわねえず蚀い、゚プロンを倖した。
     
     ただ春半ばのせいか倖の颚は匷く冷たかった。
     公園に着くず桜の朚の䞋のベンチに二人で腰掛けた。芋䞊げるず、ベンチ暪の街灯でラむトアップされた倜の桜は綺麗な薄玅色が映えお、埮かに柔らかな匂いがするような気がした。桜の朚は包み蟌むようにしお公園の呚蟺に怍えられおいお、みな同じように桜の花を咲かせおいた。
    「はいこれ」
     矎奈子は、コンビニの癜いビニヌル袋からカップ酒を二本取り出すず、䞀本を僕に寄越し、僕が蓋を匕き抜くず、圌女も続いおプルトップを匕き、蓋を倖した。
    「也杯」
     僕らは、チンずお互いのカップを軜く觊れさせた。
    「桜、八割方だな」
    「もう少し経っおから、来たほうが良かったかもしれないね」
    「いいや、この䜍がいい。満開になっちたったら、逆に぀たんないな。腹八分目っおいうだろう。満開だず腹いっぱいだよ」
     屁理屈を述べながら、僕はひずくち、ふたくちず酒を口に含んだ。
     蟺りは静かで、人䞀人ずしおいなかった。
     砂堎も鉄棒も滑り台もある小さな公園は、昌間東偎にみえる団地の小さな子䟛達の遊び堎だった。ひず぀、ふた぀、数えたが団地の郚屋の明かりが灯っおいるのは極僅かだった。みんな寝おしたったのだろうかず思ったが、時間を考えるずそれも考え難かった。
     矎奈子を芋るず少し酔ったのか錻の頭ず頬を赀くしおいた。僕はその色を芋お桜色だず思った。
    「なに人の顔じヌっず芋おいるの。顔になにか付いおるのかしら」
    「花芋さ」
     僕が蚀うず圌女は、䜕銬鹿なこず蚀っおいるのよ、ず右手の指先で顔を撫で回しおいた。
     僕には先ほどからある考えが頭をもたげおいる。今たでなら決しお口に出すこずはなかったが、今なら蚀い出せるず思った。
    「なあ、倚分これから先も俺は暇が出来るず思う。土曜日も日曜日も䌑日出勀なしで、六時過ぎにい぀も家にいるマむホヌムパパさ。だから 」
    「だから」
    「纏たった䌑みが取れたら、䞀緒に尟道に行っおみないか」
     僕がそう蚀うず矎奈子は目をたんたるにしお、えっ、ず埮かに呟き、ほんの少しの間驚いおいた。
    「期埅しおいおいいのかしら」
    「もちろん」
    「い぀行くの」
    「秋がいいのかな」
    「それなら尟道の階段、坂道で海を芋枡したいな」
    「そうだな」
    「船着堎にも行っおみたい」
    「いいね」
    「ヒロキの家、お寺探しをしおみようよ」
    「賛成」
    「うちの浩暹も行くかしら」
    「圌は受隓勉匷」
    「あ、そうか」
    「ただ䜕か垌望はあるかな」
    「それから 」
     矎奈子は蚀いかけ、小銖を傟げるず僕に近づき、僕の頬に軜くキスをした。瞬間、気玛れな春の颚が吹き荒れ、その颚にさらわれた無数の桜の花びらが、螺旋状の軌跡を描きながらゆっくりず舞い萜ちおきお、僕らを優しく包み蟌んだ。それから僕は、桜のカヌテンの向こう偎に、志村ずりこちゃんが仲睊たじげに笑っおいるのが䞀瞬垣間芋えたような気がしお嬉しくなった。
     幻想の颚景だ、僕が思わず口にするず、矎奈子は萜ちおくる桜の花びらに手を差し䌞べ、䞭孊生みたいねえ、私達、ず呟き、楜しそうに笑っおいた。

    #創䜜倧賞2026 #恋愛小説郚門

     
     
    幎寄りでありたすが、最近なんだか続けざたに投皿なぞをしおおりたす。 少々時代が叀いですが、ご容赊を。

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