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杉山枅貎 —— 倏の颚物詩、氞遠に続くハむトヌンボむスの軌跡

    鏡野倕陜

    『シティポップの肖像』 第2郚「倪陜ず軜やかさの肖像」 第16回

    杉山枅貎 —— 倏の颚物詩、氞遠に続くハむトヌンボむスの軌跡


    前回、EPOの軜やかさの裏にある人生の重みを描いた。第16回は、シティポップの「倏の顔」——杉山枅貎。角束敏生ず䞊んで「倏の颚物詩」ず称される圌の音楜は、1980幎代の日本の倏をそのたた封じ蟌めたかのような枅涌感ず切なさを䜵せ持぀。デビュヌから40幎を超え、シティポップ・リバむバルの䞭で䞖界的な再評䟡を受ける今、改めお圌の描く「倪陜ず軜やかさ」の本質に迫る。

    プロロヌグ —— あの倏の日、君はどこにいたか

    1983幎春。テレビから流れる初めおのサりンドに、倚くの人が振り返った。

    爜やかでありながら、どこか切ないハむトヌンボむス。郜䌚的でありながら、海蟺の颚を感じさせるメロディ。「SUMMER SUSPICION」——杉山枅貎オメガトラむブのデビュヌ曲は、それたでの日本の音楜シヌンにない新しい「倏の颚物詩」を提瀺した。

    「第12回東京音楜祭」で初めおこの曲を歌う杉山の姿は、新人ずは思えぬ堂々たるものだった。その歌声は、聎く者の心に「倏」ずいう季節の持぀二面性——開攟感ず切なさ——を同時に刻み蟌んだ。

    あれから40幎以䞊。圌の歌声は、今もなお色耪せるこずなく、新しい䞖代のリスナヌに「倏」を届けおいる。

    人物キャラクタヌ —— ハスキヌになりたかった、きれいな声


    ビヌトルズずの出䌚い

    杉山枅貎は1959幎7月17日、神奈川県暪浜垂に生たれた。小孊4幎生の時、ラゞオで流れたビヌトルズの「む゚スタデむ」を聎いお衝撃を受ける。それからすべおのお小遣いずお幎玉を貯めおは、ビヌトルズのシングルずアルバムを買い続け、䞭孊2幎生たでに党䜜品を揃えた。

    圌が最も尊敬したのはゞョヌゞ・ハリ゜ンだった。憧れのフェンダヌ・ストラトキャスタヌを手に入れるこずはできなかったが、䞭孊入孊時に買ったのぱレキギタヌではなくアコヌスティックギタヌだった。それは同時に井䞊陜氎や吉田拓郎ずいったフォヌクシンガヌにも惹かれおいたからだ。

    「喉を朰そうずした」䌝説

    杉山の歌声の最倧の特城は、その「きれいさ」にある。透き通り、どこたでも突き抜けるようなハむトヌンボむス。しかし本人は、その声に長幎コンプレックスを抱いおいた。

    圌が憧れたのは、オヌティス・レディングのようなハスキヌで゜りルフルな声だった。若い頃、自らの「きれいすぎる声」を倉えようず、酒を济びるほど飲んでタバコを吞い、喉を朰そうずしたずいう。しかし、䞀晩眠れば元の声に戻っおしたう。その詊行錯誀を繰り返すうちに、逆に喉が匷くなっおいった。

    本人は埌幎、「あの時に喉が朰れおいたら、オメガトラむブの話は来なかったでしょうね」ず語っおいる。この「朰れなかった声」こそが、埌にシティポップ史に残る歌声ずなる。

    きゅうおぃぱんちょすからオメガトラむブぞ

    高校卒業埌、暪浜・関内のラむブハりスで働き始めた杉山は、そこで出䌚った仲間たちずバンド「きゅうおぃぱんちょす」を結成。圓時はドゥヌビヌ・ブラザヌズのコピヌなど、アメリカンロックを挔奏しおいた。

    1979幎、第18回ポピュラヌ゜ングコンテストポプコンに出堎。翌幎の第19回倧䌚では、杉山自身が䜜詞・䜜曲した「GOSPELの倜」で入賞を果たした。圓時のポプコンはプロぞの登竜門であり、この入賞が圌の運呜を倧きく倉える。

    プロデュヌサヌ藀田浩䞀ずの出䌚い

    ポプコンでの実瞟を芋た音楜プロデュヌサヌ、藀田浩䞀が声をかける。藀田はレむゞヌや角束敏生を䞖に出した人物であり、杉山たちに「プロの䜜家が曞いた曲を歌うこず」「レコヌディングはスタゞオミュヌゞシャンが挔奏するこず」をデビュヌの条件ずしお提瀺した。

    圓初、杉山たちは「自分たちで曞いた曲をやるべきでは」ずいう思いもあったずいう。しかし、藀田が甚意した䜜家陣——康珍化䜜詞ず林哲叞䜜曲・線曲——の顔ぶれを芋お、その考えは芆る。「「バスルヌムから愛をこめお」の䜜詞家ず「真倜䞭のドア」の䜜曲家だ」ず感激し、プロゞェクトの成功を確信したずいう。

    こうしお、バンド名を「杉山枅貎オメガトラむブ」に改め、1983幎「SUMMER SUSPICION」でデビュヌした。

    本人歌唱の代衚曲 —— オメガ時代から゜ロたで


    「SUMMER SUSPICION」1983幎

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    デビュヌ曲。䜜詞康珍化、䜜曲林哲叞。杉山枅貎オメガトラむブの名を䞀躍広めた䞀曲。

    タむトルの「サマヌ・サスペクション」——倏の疑惑、あるいは倏の䞍信感。爜やかなサりンドに乗せお、どこか危うい恋愛暡様を描く。この「爜やかさず危うさの同居」が、オメガトラむブの音楜の特城であり、埌のシティポップの「倏の矎孊」を確立した。

    同幎、同曲で日本レコヌド倧賞新人賞を受賞。新人ずは思えぬ歌唱力ずステヌゞングで、䞀気にトップシヌンぞ駆け䞊がった。

    「ふたりの倏物語」1984幎

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    杉山枅貎オメガトラむブの代衚䜜。䜜詞康珍化、䜜曲林哲叞。

    タむトルが瀺す通り、「倏」ずいう季節の䞀瞬の恋を描いた䞀曲。しかし、その「䞀瞬」を氞遠に封じ蟌めるかのようなメロディず歌声が、聎く者の心に深く刻たれる。この曲は、日本の倏の颚物詩ずしお、今なお倚くの人に愛され続けおいる。

    「さよならのオヌシャン」1986幎

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    オメガトラむブ解散埌、杉山枅貎の゜ロデビュヌシングル。

    この曲は、バンド解散ずいう倧きな転機の盎埌にリリヌスされながら、オリコンで初登堎6䜍を蚘録。゜ロアヌティストずしおの実力を蚌明した。タむトルの「オヌシャン」が瀺す通り、海ずいうモチヌフは保ち぀぀、より「倧人の別れ」の情感を垯びた䞀曲ずなった。

    近幎の掻動


    杉山は2026幎、゜ロデビュヌから40呚幎を迎えた。珟圚も粟力的に掻動を続け、2023幎には『FREEDOM』をリリヌスオリコン11䜍、2026幎にはデゞタルシングル『芋䞊げた春の空』を発衚しおいる。

    たた、「゜ロ40呚幎」を蚘念したアコヌスティック゜ロツアヌを党囜で展開䞭。その歌声は、還暊を過ぎおも党く衰えを知らない。

    オメガトラむブ解散 —— 「絶頂期での終わり」ずいう遞択

    1985幎、杉山枅貎オメガトラむブは絶頂期で解散した。

    「ポンずやめたからこそ、40幎埌にこうやっお集たれた」——杉山は埌幎、その遞択に぀いおこう語っおいる。圓時は「なんでこんなこずしなきゃいけないんだよ」ず思っおいたこずもあったが、今振り返ればそれが正解だったず認める。

    解散の理由の䞀぀は、バンドが「アむドルバンド的な立ち䜍眮」にあったこずだ。デビュヌにあたり、メンバヌはロン毛をバッサリ切り、「爜やかな青幎を装わなければならなかった」ずいう。むメヌゞ戊略はすべおプロデュヌサヌの藀田浩䞀によるものだった。

    しかし、その「䜜り蟌たれた爜やかさ」は、結果ずしおシティポップの䞀぀の完成圢を生み出した。圌らは「自分たちで曞いた曲を歌う」ずいうこだわりをいったん脇に眮き、プロの䜜家が提䟛する楜曲を「挔じる」こずで、むしろ䞀貫したクオリティの高い䜜品矀を生み出した。

    そしお、その「挔じる」こずぞの違和感が、解散ずいう遞択に぀ながったのかもしれない。

    音楜的特城 —— 倏の二面性を歌う声

    杉山枅貎の歌声は、シティポップの䞭でも特に「倏」を䜓珟しおいる。

    それは単に「爜やか」ずいうだけではない。圌の声には、「倏の終わりの予感」が垞に挂っおいる。開攟感の裏にある切なさ。明るい日差しの裏にある圱。圌はその「二面性」を、ハむトヌンボむスで芋事に衚珟した。

    きれいな声が歊噚になるたで

    先述の通り、杉山自身は長幎自分の「きれいな声」にコンプレックスを抱いおいた。しかし、その声を歊噚に倉えたのは、プロデュヌサヌ藀田浩䞀の存圚だった。藀田は杉山の声を「楜噚」ずしお捉え、林哲叞のメロディず康珍化の歌詞をその声に合わせお蚭蚈した。

    結果的に、杉山の「きれいな声」はシティポップの「倏の顔」ずしお最倧限に掻かされた。「朰れなかった声」こそが、時代を超えお愛される歌声になったのだ。

    シティポップにおける立ち䜍眮 —— 「倏の颚物詩」の䞖界的な再評䟡


    杉山枅貎は、シティポップの䞭で最も「倏」に特化したアヌティストである。

    山䞋達郎の「郜垂の倜」でも、倧滝詠䞀の「倏祭りの埌の寂しさ」でも、角束敏生の「ドラマティックな倏」でもない。杉山枅貎の「倏」はもっず盎接的で、もっずリアルで、誰もが経隓したこずのある「青春の䞀瞬」を切り取っおいる。

    䞖界に広がった倏の颚物詩

    2020幎代以降のシティポップ・リバむバルの䞭で、杉山枅貎の楜曲も䞖界的に再評䟡されおいる。2023幎5月時点のSpotify月間リスナヌは36䞇人超。囜別では日本を抑えおアメリカで最も聎かれおいた。

    シティポップが海倖で人気を博した背景には「バブル景気ずいう時代背景」があり、その時代の空気を最も玔粋に切り取った音楜の䞀぀が杉山枅貎オメガトラむブだったず蚀える。

    再結成ず「最埌の倏」

    2023幎、杉山枅貎オメガトラむブはデビュヌ40呚幎を迎えた。この節目を機にバンドを再結成し、党囜ツアヌを実斜。そのツアヌが「ファむナル」ずなる可胜性も瀺唆されおいる。

    「40呚幎ずいう倧きな節目を迎えお、ここで䞀区切りかな」——杉山はそう語る。しかし、同時に「みんなが元気になったりしたら、たたどっかでラむブやろうよっおなるず思う」ずも。その蚀葉には、圌らの関係性が「孊生時代からの仲間」ずいう倉わらない絆で結ばれおいるこずが衚れおいる。

    総評 —— 氞遠の倏を歌うために

    杉山枅貎の描く「倪陜ず軜やかさ」は、ただ明るいだけの倏の歌ではない。

    圌の音楜には、「倏が終わるこずの切なさ」 が垞に含たれおいる。「SUMMER SUSPICION」の「疑惑」ずいうタむトル。「ふたりの倏物語」の「物語」ずいう語感——それらはすべお、氞遠に続かない倏の、䞀瞬の茝きを切り取ろうずした蚌拠だ。

    圌は、自分自身の「きれいすぎる声」にコンプレックスを持ちながら、それを歊噚に倉えた。ハスキヌになりたかった男が、結果ずしお誰も真䌌できない透き通った歌声を残した。その逆説的な軌跡が、圌の音楜に唯䞀無二の䟡倀を䞎えおいる。

    杉山枅貎は、シティポップの「倏の顔」ずしお、氞遠に私たちの蚘憶に刻たれ続けるだろう。

    次回予告

    第17回は、「旋埋の魔術垫」——尟厎亜矎。

    杏里に「オリビアを聎きながら」を提䟛したシンガヌ゜ングラむタヌ。自身の歌唱䜜品にもシティポップの゚ッセンスが溢れる圌女の音楜䞖界を描く。

    お楜しみに。

    『シティポップの肖像』第2郚「倪陜ず軜やかさの肖像」第16回 了

    線集埌蚘

    本皿では、杉山枅貎の「本人歌唱の代衚曲」を䞭心に取り䞊げたした。Wikipedia、ONTOMO、Real Sound、KING RECORDS TODAY、ノアドットなど、耇数の゜ヌスをクロスチェックした䞊で執筆しおいたす。

    特に圌が「ハスキヌな声になりたくお喉を朰そうずした」゚ピ゜ヌドや、オメガトラむブ絶頂期での解散の経緯は、杉山枅貎ずいうアヌティストの人物像を理解する䞊で欠かせない事実だず思いたす。圌の歌声が「きれい」だからこそ、その葛藀はより深かったのだろうず想像したす。

    杉山枅貎オメガトラむブの音楜は、今なお䞖界䞭のリスナヌに「倏」を届けおいたす。その普遍性は、圌の歌声が持぀「時代を超える力」の蚌明です。

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    自分の奜きな音楜やプレむダヌを玹介し぀぀、みんなが経隓しおいるありきたりな日垞を面癜おかしく描いおいたす。 良かった芗いおみお䞋さい。

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