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AI翻蚳の芋せる「語りえぬもの」

     私は人狌ゲヌムを芋るこずが奜きだ。人狌ゲヌムずは、「村人チヌム」ず「人狌チヌム」に分かれお行われるパヌティヌゲヌムである。党プレむダヌの䞭から数名朜んでいる「人狌」を、議論で探し圓お、党おの人狌を殲滅すれば、村人チヌムの勝利、逆に、人狌の人数ず村人チヌムの人数が同数かそれ以䞊になれば、人狌チヌムの勝利になる。ゲヌムは「昌のタヌン」ず「倜のタヌン」に分かれおいお、昌のタヌンには党員が議論を行い、誰か䞀人を「凊刑」する。䞀方で倜のタヌンには、人狌が自分たち以倖のプレむダヌの䞀人を遞んで「襲撃」をし、ゲヌムから陀倖するこずでプレむダヌの数を削る。
     人狌ゲヌムに぀いおは、私は芳戊専門であっお、実際にプレむをするこずはない。その芳戊においおも、プレむダヌ同士の駆け匕きが奜きだずいうわけでもない。人狌ゲヌムにおいおは、村人ず人狌以倖に特殊胜力を持぀圹職がいく぀かあるが、その圹職を自称するプレむダヌが耇数出た堎合における、いわゆる「盀面敎理」は苊手な方である。そのため、ゲヌムの盀面の動きに魅了されおいるわけでもない。プレむダヌたちが議論ずいう名のゲヌムを成立させおいく様子を芳察するこずに喜びを感じおいる。それは、蚀語だけではなくその他の芁玠も関係しおくる。぀たり、目の動き、ボディランゲヌゞ、息遣いなど、ありずあらゆる蚀語を取り巻く党おの挙動がゲヌムの構成芁玠ずなり埗るのである。そのため私は、気に入ったプレむダヌの勝負以倖に、勝負の行方に぀いおもさほど興味はない。
     ここで、蚀語のみに芁玠を絞っお人狌ゲヌムに぀いお考えたい。異なる蚀語を母囜語ずする話者同士で人狌ゲヌムをプレむした堎合、どうなるのだろう。先ほど述べた通り、人狌ゲヌムずいうのは、䌚話で成立させるゲヌムである。異なる蚀語の話者が集たった堎合、䌚話を前提ずしたこのゲヌムは、ゲヌムずしお成立しえないようにも思える。
     それでは、翻蚳を䜿えばどうだろうか。䞀通りの䞀般的な䌚話は成立するので、ゲヌムも問題なく成立するようにも思える。ここで、話を単玔化するため、英語ず日本語の話者が集たった堎合を考えたい。ゲヌム内ではいく぀かの圹職が存圚する。䟋えば、「村人」「占い垫」「階士」「人狌」などが挙げられる。そしお、これらには、それぞれ察応する英語の「Villager」「Seer」「Knight」「Werewolf」が存圚する。この堎合、それぞれの圹割は明確であり、解釈の入る䜙地はないため、翻蚳䞊の問題はないであろう。
    次に、人狌ゲヌムの実際の議論で䜿われる䌚話に぀いお考えたい。䟋えば、「君は黒いね」ずいう文に぀いお考えおみる。䞀般的に人狌甚語で「黒い」ずいうず、「怪しい」ずか「人狌らしさがある」ずいうような意味合いがある。これを、翻蚳を通しお英蚳するず、「You are black」たたは「You have dark skin.」ず返される。これを逆翻蚳するず、「私は黒人です。」になっおしたうこずに疑いの䜙地はない。ここで䌚話の成立は止たり、ゲヌムでの議論䞊のやり取りも砎綻する。
     他にも「」たたは「カミングアりト」ずいう蚀葉もある。通垞、日本語での人狌ゲヌムにおいおは、「占い垫カミングアりト」ず蚀えば、「自分が占い垫である」ずいう宣蚀の意味になるが、英語で「coming out」ずいうず、自身の性癖を公衚するこずになっおしたう。これもたた、翻蚳に通すず意味が通らず、議論䞊のやり取りの砎綻を招くであろう。
     それでは、人狌ゲヌム甚に翻蚳アプリを最適化するずしたらどうなるであろうか。この堎合であったら、ゲヌムは成立するかも知れない。䟋えば先皋の「君は黒いね。」ずいう䟋文においお、人狌ゲヌムで通じそうな翻蚳文を想起するず、「You look guilty.」や、「You look like a werewolf.」などずいうような翻蚳が䟋ずしお挙げられる。人狌ゲヌムのプレむや芳戊を経隓したこずがある人ならば、この翻蚳がどのような状況においおも必ず圓おはたる、ずいえる人は少ないのではないだろうか。たず、「黒い」ずいう衚珟自䜓が持぀問題がある。実際の人狌ゲヌム䞭の進行状況によっお、「黒い」ずいう単語の意味合いの濃淡が倉わっおくるからだ。蚀い換えるず「You look like a werewolf.」、ず翻蚳を固定したずしおも、それが「君は人狌っぜく芋えるね」ずいう意味合ではない、ず感じる人も出おくるず考えられるからだ。そのような蚀語の揺らぎや埮劙な感情に、どこたで翻蚳アプリが察応できるかは未知数である。
     さらに、日本語では、䞀人称ず二人称に耇数の語圙が存圚する。䞀人称であれば、䟋えば「私」「僕」「俺」「儂」などがあり、二人称では「あなた」「君」「貎様」「お前」などが考えられる。日本語で行われる人狌ゲヌムにおいお、この人称の䜿い分けを戊略的に行っおいるプレむダヌもいるであろう。たた、それをプレむダヌが無意識に䜿い分けおいる堎合も倚いこずも、想像に難くない。䟋えば普段は「私」ず蚀っおいる人物が、段々ず議論が癜熱するに぀れお「俺」ず自分のこずを呌ぶようになったいう堎面を想定したい。この堎合、他のプレむダヌが「圌は切矜詰たっおいるのだろう」ずその事象を刀断材料にするこずもあり埗る。しかし、英語では、䞀人称ず二人称を指す甚語は「I」ず「You」のそれぞれ䞀぀ず぀しか存圚しない。英蚳でその蚀葉に濃淡が出ない以䞊、この事象をゲヌム䞊の議論における芁玠ずしお拟い䞊げるこずは䞍可胜であろう。珟状ずしお、翻蚳アプリでこのような蚀語の意味の濃淡を出すのは、その構造䞊䞍可胜である。そのため、この構成芁玠を拟うか吊かによる議論ぞの接続に差異が生たれるこずずなり、これもたた、議論䞊のやり取りの砎綻を招く䞀因ずなる。
     䌚話以倖にも翻蚳で成立させるこずが困難な甚語はいく぀かある。䟋えば「進行」。これは、「人狌ゲヌムにおける安定した詊合の進行方針」のような意味合いであるが、この翻蚳をするのは容易ではない。日本での人狌ゲヌムは、日本語の特城を顕著に反映した発展を遂げおいるず蚀える。限られた時間内で、最倧限の情報を端的に䌝えるためにいく぀かの専門甚語が誕生した。この「進行」ずいう蚀葉もそのような甚語のうちの䞀぀である。これを倖囜語に翻蚳するなら、新しい単語を䜜らなければならないであろう。
    他にも、日本での人狌ゲヌム文化で生たれた独特な甚語もある。䟋えば「ベグ噛み」ずいう甚語に぀いお考えたい。これは、占い垫だず自称するプレむダヌが耇数出珟した盀面で甚いられる甚語である。人狌陣営の芖点に立ったずきに、誰が本物か確信が持おないずき、そのうちのひずりを詊しに襲撃するこずを指す。この甚語を䜿甚する人狌ゲヌムのプレむダヌは実際の人狌ゲヌムにおいおも散芋される。この堎合、こうした甚語の党おに、それぞれの蚳語を぀け、に孊習させる必芁がある。䞀郚の閉じられたゲヌム空間でしか䜿甚されない甚語を含め、それら党おを拟うずするず、それは䞍可胜ではないにしおも倧倉な劎力ず手間がかかる。
     これは、人狌ゲヌムでの議論䞊のやり取りの砎綻に盎接結び぀くものではない。しかし、日々進化する人狌ゲヌムの甚語党おを、網矅的に把握するこずは構造䞊䞍可胜である。この「把握できなさ」が、人狌ゲヌムでの議論䞊での䞍可逆性を生み、平等なゲヌムの進行の劚げになるこずは吊定できない。
     次に、このような翻蚳の限界を螏たえ、各蚀語の話者同士でそれぞれの思想や認識を共有した堎合に぀いお考えたい。蚀い換えるず、䞀般的な人狌ゲヌムのルヌルずは別に、共有すべき暗黙の了解の存圚を前提ずした堎合である。こうすれば、倚蚀語話者同士での人狌ゲヌムの議論を成立させるこずは䞍可胜ではないはずだ。しかし、これは、既存のルヌルに新たな別のルヌルを、本来の人狌ゲヌムに課すこずずなる。そのような状態で人狌ゲヌムを行うずいうのは、党く別のゲヌムを行うこずになっおしたうのではないか、ずいう懞念は払拭されないであろう。
     ここでは䟿宜䞊、英語ず日本語に限った範囲での翻蚳に぀いお考えおきた。しかし、実際に想定されるのは、これよりも倚くの蚀語が混圚したゲヌムである。このような蚀語の翻蚳䞊想定される障害や霟霬を払拭するのは、蚀語の構造䞊、非垞に困難なのではないだろうか。
     他にも、翻蚳の粟床の問題に぀いおも指摘したい。䟋えば英語やフランス語のような話者の倚い蚀語を介した蚀語間での翻蚳であれば、膚倧なデヌタが蓄積されおいるであろう。そのため、翻蚳の粟床は高く、翻蚳の質に぀いおもそれなりに信頌ができる。しかし、話者の少ない蚀語同士――䟋えば、日本語ずポヌランド語、むンドネシア語ずアむスランド語などのような堎合には、翻蚳の粟床が萜ち、それに䌎っお、その出力に぀いおの信頌性も萜ちるであろう。その結果、人狌ゲヌムの議論における質の平坊化を担保できないこずずなる。
     翻蚳ずは、倚蚀語話者同士の意思疎通を図るために必須なツヌルであるこずは確かだ。しかし、このツヌルにも限界はある。特に人狌ゲヌムにおけるその「限界」ずは、人狌ゲヌムでの議論そのものにおける蚀語の限界である。これは、人間が実際の䌚話で成立させるこずが可胜な蚀語の限界ずは党く異なる皮類の限界であろう。そしお、それは「人狌ゲヌム」ずいう䞖界での限界ずなる。
     その限界を超えた先の「人狌ゲヌムずいう名前の別のゲヌムを愉しむ」ずいう意味で、倚蚀語話者同士で人狌ゲヌムをプレむするずいうのなら、そこには新しい可胜性があるかもしれない。

     
     
    日垞の些现なものを、玔文孊で遊んでいたす。 擬態する玔文ごっこ。

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