
オンライン英会話中、スマホが勝手に喋り出した日
オンライン英会話のREMSのレッスン中のことだった。
LINEの通知音が鳴って、マナーモードにしようとスマホを手に取った。
ただそれだけの動作のはずだった。
その瞬間、違う音が混ざった。
スマホが突然、話し始めた。
「あ〜英語のセンテンスをリピートしていますねぇ〜♪」
軽いトーンで、どこか楽しそうに説明している。
一瞬、状況が追いつかなかった。
レッスンはそのまま進んでいるのに、こちら側だけ別の現象が起きている。
とりあえず先生に何が起きたかを説明しようとして、必死に英語を探した。
まず口をついて出てきたのは、これだった。
I wanted to set the manner mode.
(マナーモードに設定したくて)
言いながら、わずかな違和感が残る。
マナーモードは英語では silent mode だ。
この時点ではまだ、単なる言い間違いだと思っていた。
次に出てきたのは、こういう文だった。
The phone started to talk.
(スマホが喋り出した)
しかし、言った瞬間にしっくりこない。
スマホが話し出した。
日本語なら、それで十分だった。
でも英語で説明しようとした瞬間、話は少し複雑になる。
話したのはスマホなのか。
Geminiなのか。
音声アシスタントなのか。
ここで気づく。
そもそもスマホが話しているわけではない。その中で動いている“何か”が話している。
Gemini started speaking.
The assistant started talking.
英語では、最初に「誰を話し手として見るか」が決まっている。
だから同じ出来事でも、何を主語にするのかを考えながら切り分けることになる。
同じ出来事なのに、見え方が少し変わる。
英語を話そうとした瞬間、
頭の中には小さな問いが立ち上がる。
それは誰がしたのか。
何が起きているのか。
どう説明できるのか。
そのたびに、出来事は少しずつ組み替えられていく。
スマホはすぐに静かになったが、説明しようとした瞬間だけ、出来事はまだ言葉の中で動いていた。
英語を話すというのは、単に単語を置き換えることではない。
世界を一度ほどき、もう一度組み立て直す作業に近い。
さっきまで「スマホが喋った」と思っていた出来事が、今はもう少し違って見えている。