生という字をひらけば
せい、しょう、いき(る)、うま(れる)、は(える)、なま――
音が、
言葉が追いつけない場所へ
広がっていく。
胸が高鳴った数だけ
刻んできた足跡の数だけ
生は、そこに溢れている。
死という字をひらけば
し。
その一音は
どこまでも沈んでいく。
死は多くは語られず
ただひとつの点として、
そこにある。
人は生きているあいだに、
景色が言葉に分けられ
分かれたものは
またひとつの点に戻っていく。
過ぎたあとに、
底に沈む感触として
生という字のひらきも
死という字の閉じも
同じ頁に
ただ置かれている。