
epi54-自画像
中学生の時、美術の授業で自画像を描く時間があった。
鏡で自分の顔を見つめながら、せっせせっせと描いた。
しかし自分の顔を描くというのは、若干の願望が介入するらしい。
完成した絵を先生の元に持っていくと、
「雨咲さんは、顔のここらへんがもう少し削げてますね」
そう言いながらシュッシュッと鉛筆で線を入れる。
修正された絵は、確かに私であった。
まんまるの顔、まるまるの目のイラストが可愛いと流行っていた時代のことである。
先生は本物と比べての事実を伝えてくれただけだが、
子ども心ながらに「あなたはそんな可愛い顔ではない」と暗に言われたような感覚で、やるせない気持ちになった。
そこから数十年後、YouTubeで整形の番組が流れてきた。
なぜ流れてきたのかはわからない。
しかしその中で、「エラを落として、顎をシャープにして」とコメントされた顔で「可愛い〜!」とスタジオが盛り上がっていた。
それを見て、あれ、それは私の輪郭の特徴だな、とふと自画像のエピソードを思い出したのである。
私の輪郭は人から羨まれるものなのだろうか。
あの頃はまんまるふっくらが可愛かったのにな、と。
結局、どんな輪郭でもそれぞれの好みはあるし、時代の流行りもあるし、いずれにしても、隣の芝生は青いってわけである。
だけど人はいつも、自分ではない誰かになりたがるし、自信がないからくすんで見える。
誰もが自分を愛せたら、世界はもっと平和なのだろう。