
🌹**【願い】** −最終話−
**ここまで読んでいただいた方へ**
『願い』最終話です。
読んでくれている人がいる。
それだけで大きな励みになって、ここまで書き続ける事ができました。
本当にありがとうございます。
予告でもお伝えしていましたが、この最終話ではえなにとって、この物語にとって、とてもとても大切な曲が出てきます。
リンクが貼り付けられているタイミングで再生ボタンを押して聴いていただきたく、ぜひイヤホン等、音を聞ける環境でお読みください。
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最終話
その日は…
夜中になっても中々眠ることができませんでした。
ベッドの上で音楽を聴きながら、本を読んだり絵を描いたりするけど、それでも眠れない。
それでも絵を描き続け、本を読み続け、朝方になりやっとウトウトしてきました。
起こしていたベッドを倒して、布団にもぐり込みます。
そして目を瞑るといつもの森が。
……
あ〜やっぱり落ち着く
……
しばらく森を眺めていました。
すると
目の前に茶色い馬が
ふわぁ〜
と浮いてきました。
こっちを向いている。
え、なんで馬?
馬をじっと見ていると、その馬にまたがる誰かの足がありました。
え、何?なんで急に。
天女と私以外は誰も入ったことのないこの空間。
この空間に誰かがいる。
不思議な、それでもやっぱり心地よい感覚で、その馬とまたがる足を見つめていました。
そして、胸の奥で急に何かを思い出しました。
あれ…馬?
もしかして
…とし君?
もう一度馬の方をよく見てみると、やっぱり。
すごく穏やかな笑顔で、こっちを見ているとし君がいました。
……
私は何も言えずに、とし君と馬をずーっと眺めていました。
しばらくすると、とし君はすごく幸せそうに
「えなちゃん」
「ありがとう」
…
そして馬に乗ったまま
ゆっくりと、空高く登っていきました。
…ゆっくり
…ゆっくりと
高く高く登り
空の中にすい込まれていきました。
__
とし君、ほんまにとし君なん?
涙がとまりませんでした。
ずっと、とまりませんでした。
私はすごく優しい気持ちに包まれ、いつの間にか涙のまま眠りについていました。
_______
「えなさん朝食でーす」
そのまま私はぐっすり寝ていたようで、目が覚めたのは朝ごはんが運ばれて来た時でした。
「寝てたんですか?珍しいですねー」
笑いながら元気な看護師さんが言います。
「わ~~」
いつもはもっと早く起きて、朝のルーティーンの為の準備なんかをしているのに。
慌ててしまいさっき見た夢?の事は忘れていました。
看護師さんにも
「ちょっと急いでくださいねぇ」
と急かされながら慌ててごはんを食べます。
そしていつものようにシャワーを浴び、先生の回診でよく診てもらい、とりあえずひと段落。
ふ~っ
と一息。
午前の予定は、あとは雪だるまになっていくだけ。
ガーゼに包帯、ハサミやテープ、塗り薬。
ベッドの上で準備をはじめます。
この雪だるまの時間は、いつもスマホで音楽を検索し、それを聴きながら包帯を巻いていました。
ゆったりとした気分で、丁寧に体に巻いていくこの時間が、好きな時間の一つでした。
この日は何の曲を聴こうか、なかなか決められず迷っていました。
ん〜
あ、そういえばあの曲聴きたいなぁ。
昔お兄ちゃんがライブで唄っていた、とても癒される曲を思い出しました。
ただ曲名もアーティスト名も思い出せない。
でも無性に聴きたくなっていたので、覚えている歌詞から検索してやっとその曲に辿り着きました。
そして、そのアーティストさんの曲がランダムで流れるように設定して、再生ボタンを押しました。
〜〜 ♪♪
あぁやっぱり癒されるなぁ
知らない曲も、全部心地が良くて。
ゆったりと、良い気分で包帯を巻いていました。
〜〜♪♪
そして半分ぐらい巻き終わった頃に、ふっと今朝のことが頭によみがえってきました。
そういえば、
あれは何やったんやろう。
ほんまにとし君やったんかな。
とし君、成仏したんかな…
そして、その不思議な感覚を思い出しながらスマホを見ると
『 11:11 』
わっ、また。
すごいなぁ。
と思った瞬間、
ほんとにその瞬間
~~~♪
ギターの心地よいメロディーが流れてきました。
聞いたことないけど良いメロディ
すごく癒される
包帯を巻きながら聞き入っていました。
~~~♪
~~~♪
悲しまないで
もう過ぎた事
何も悪いことなんてないよ
忘れておくれ
もう終わった事
誰も君を責めたりしないよ
…
…
え?
息が止まった。
……
……とし君?
〜〜〜♪
〜〜♪
〜♪
…
…
動けなかった。
手の中の包帯が涙でぐちゃぐちゃになっていた。
__僕はもう苦しみの外
……
伝えにきてくれたんやね。
ずっとずっと心配で見守ってくれてたんやね。
私がもう大丈夫って安心できたんやね。
__
とし君
私は幸せでいる。絶対に。
私と、
私の大切な人たちが笑顔でいられるように
強く、生きていく。
とし君
本当にありがとう。
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この出来事からしばらくして、私は退院しました。
数年経った今も、私の病気は完全には治っていません。
これからだって、何度も苦しんで、何度も泣いて生きていくんだと思う。
忙しい日常にもまれて、いろんな事を忘れていくんだと思う。
きっと、ちぐはぐの記憶をあわないピースで組み続けて、一生きれいなパズルになることはないんだと思う。
それでも、幻のようなあの出来事を忘れることがあったとしても
あなたの願いが証となったから
私は強く生きていける。
今は言える。
生まれてきて良かった。
_____
私は今、桜町という桜のきれいな街で暮らしています。
はる君、まもる、えみと。何も変わらずに。
許せない人がいても良い
優しくなれなくても良い
愛せなくても良い
憎んだって良い
苦しんだって良い
自分が自分を許せたら
それは
”優しさ” として
”想い” として
伝わり続けていくものだと思うから
…
…
あなたにほんの少しの優しさが届いたら
こんなに幸せなことはありません
…
…
ふぅ〜〜〜〜〜
終わっちゃったよぅ。
たのしかったよぅ。
本当にありがとうございました。
えな
『願い』〜終〜